10月11日

仕事途中、なぜか松本市のアルプス公園に行った。松本城がある中心市街地より200メートルほど標高が高い。そのせいか、赤とんぼがあちこちに飛んでいた。そろそろ里まで下りて来る、ということはもう本格的な秋である。見上げたら、青い空。天気もいいことだし、スカッとした気分になりたくて、夕方に仕事をさぼってロードスターに乗ることにした。

そう考えると、少しうきうきした気分になってくる。いつもはのろのろとはかどらない仕事をさっさと片付けて、無言で仕事場を飛び出し、自宅でジムニーからロードスターに乗り換えて出発した。時間は5時前。

少し激しく乗ろうと、手袋を着け、開幌状態。いつもの山道を駆け上る。スーツの上着はとても滑る。少しアングルを付けて、ぎゅーんを軽くうならせながらコーナーを曲がっていたら、キノコ採りにでもやってきたと思われる人がわきを歩いていた。「いい感じの姿勢だ!」などと思っていたのに、はたから見たら極悪な車。とってもきまりが悪い。

ゴルフ場の出口から、R32スカイラインが下りてくるところだった。フロントグリルの形状からすると、GTRか。バックミラーで付いてきたのを確認。「追ってくるな」と思った。少しアクセルをゆるめていると、案の定。近づいた。自分のペースで走る。

美鈴湖で車を止め、相手が通り過ぎるのを待つ。通り過ぎるR32。少し時間をずらして、走り出す。この先は美ヶ原林道。幅細く、ロードスターには有利な道である。

しばらく走ると、追いついた。すると、後ろに気付いたからなのか、突然の急加速。こちらも相手に圧迫感を与えないぐらいの、一定の車間を開けて付いていく。

遅い。うっかりすると、車間が詰まってしまうので、踏めない。下手にあおったら、ガードレールに突き刺さるかも知れないし、ずっと煮え切らないまま付いていった。峠に出たところで、相手は武石村方面に下っていった。

稜線の道を走り、頂上の駐車場でUターン。山を下り、視界の開けた場所で車を止める。眼下に広がる松本の街の、銀河のようにも見える明かりを見ながら、缶コーヒーを飲む。この瞬間が、幸せ。

山では茶色に染まった葉が盛んに落ちている。もう1週間もたち、雨でも降ればとても走れる状態ではなくなる。だんだんと、走る場所が狭まっていき、降りた霜がなかなか解けなくなれば、今シーズンも終わりである。

10月10日

 晴れの特異日だったはずの体育の日が、休日から外れた途端、大雨の予報。やはりこれまでは、「運動会、晴れろ晴れろ」という日本人の念が雨雲を吹き飛ばしていたんだろうか。少なくとも覚えている限りこの日に雨が降った記憶はない。

 大雨の中、止めておいたジムニーに乗り込んだら、助手席の足下がびしょびしょに濡れていた。固い屋根が付いているくせに雨漏りである。我がロードスターだって、露骨には雨漏りしないのに、なんという軟弱な。したたっている場所を追跡してみると、ヒーター回りからの浸水らしい。平成元年式だから、これぐらいのガタは仕方のないことか。ロードスターなら大慌てですぐにでも手当をするのだが、ジムニーだとあまり気にならない。放っておく。

 そろそろオイル交換だし、ついでに車屋に見てもらおう、と思っていたら、車検の時期であることを思い出した。前の車検では、デフ回りのオイルシール交換が余分に掛かって10万円を超えた気がする。最近、激しくロードスターに金をつぎ込んでいるので、かなり痛い出費だ。F1観戦、友人の結婚式などなど、年末にかけて金のかかるイベントが目白押しのような気がする。

 足回りは来年か。

10月9日

治部坂から出勤した7日の夕方、大学時代の先輩から突然電話が入った。この先輩、先輩のくせして今年ようやく社会人1年生である。あまり先輩だと思っていなかったりする。東京で始まった生活の息苦しさから解放されようと、レンタカーを借りて戸隠まで来ていたのだった。もちろん「泊めてくれ」とのことである。

前日にも午前3時まで飲んでいたこともあり、かなり眠かったのだが、わざわざ松本に来ているのだから仕方がない。泊めてあげることにして、一緒にメシを喰らいに行く。お店でキノコ鍋を食べさせてあげようと思っていたら、日曜日だったので、扱っているお店がことごとく休みであった。居酒屋に入り、キノコ入りの湯豆腐を喰らう。ビールを1本。日本酒を1杯。ラストオーダーとなってしまったので、行きつけのショットバーに向かう。最近、車関係以外はいかにさえない生活かを話していると、満員だった店内がいつの間にか3人になっていた。

タクシーの中で空爆開始を知る。なぜかとばっちりを受けて、翌日はふらふらな足取りで出勤である。

1日中頭がスッキリしなかった。なぜかな、と思ったら、喉が痛くていつもより体がだるいことに気が付く。どうから風邪を引きかかっているらしかった。午後10時ぐらいに家に帰ったら、スーツ姿のまま意識を失う。

変な寝方をしたものの、長く寝ただけあって、どうやら直ったらしい。風呂に入り、再びスーツを着て出勤した。

昔より無理できなくなったような気がするな…。

10月7日

 友人Kの引っ越しを手伝った後、治部坂へ行ってきた。こうやって書くと中部ミーティングに参加したように見えるが、満面の笑みでこちらに手を振って会場の駐車場に誘導する係員に軽く会釈して、猛スピードで走り抜けてしまった。心が痛む。

 前日泊組みの集まりに潜り込んだのだった。今日はどうしても外せない仕事があったので、泣く泣く出勤である。

 三重のショップのデモカーに乗った。といっても助手席だが。ドライブした人は速過ぎて「変態」と呼ばれてしまう人。サーキット走行前夜、午前5時まで話を聞いていた人である。キャブ車でバネは前15キロ後13キロだったか? 13インチのSタイヤ。で、道路のギャップで目玉が飛び出し、首の骨がずれるかと怖がっていたら、乗り心地が良かった。自分の常識では考えられない、ものすごい動き方をした。「こんなスピードで突っ込むんですか?」「ここでさらにアクセル踏むんですか?」と、もはや別世界。もちろん、ドライバーは人の車だから遠慮して走っていたことは言うまでもない。

 その後、筑波サーキットで1分6秒台のドライブ(もちろんロードスターで)の車載カメラ映像を見たりして、宴会場で午前3時ぐらいまでずっと話を聞いていた。質問ばかり。

 上には上がいてきりがない。そんな思いを新たにするとともに、自分のちっぽけさを再認識する最近なのであった。

10月5日

今日は転職する友人Kを励ます会。なにわ料理の店で、たらふくうまい飯を喰らい、ビールを飲んだ。2次会は我が家に来てテレビを見ながらビールを飲んだりしてさわぎ、たったさっき、お開きになったところである。

その飲み会に来た友人の中にスープラに乗っているやつがいるので、飲み会の前に試乗した。5速、3LのNAのやつ。シートを調整したら電動式だった。これだけで何キロ重くなるか、考えただけで青ざめる。

さすが3Lもあるだけあり、トルクがものすごい。5速1400回転でもアクセルを踏めばちゃんと加速していく。2速で5000回転ぐらいまわすと、なかなかいい加速をする。

でも、やはり全体が重いのは否めない。ハンドルはクイックなのだが、パワステなどでうまい具合に味付けをしたんだな、というフィール。ロードスターのように、ドライバーを中心に、ひらりと向きを変えるような軽快さはない。

そのスープラで皆が我が家に来たので、ロードスターと並ぶことになった。その大きさといったら、完全に一回り違う。僕はロードスターのコンパクトさの方が好き。

でも、さすが6気筒、エンジンの回転フィールはやはり良かったのであった。

10月4日

 頭が痛い、気分が悪い。

 昨夜、仕事場でビールを飲みながらキノコ鍋を喰らい、物足りなかったので先輩とともに行きつけのショットバーに行った。何を飲んでもどんなつまみでも1つ500円と、とても明朗会計でお値打ち。大量に飲んでも1人5000円も飲めないので、安心して飲んでいられる。

 ここのマスターはとてもいい人で、しょっちゅう2人で来て大量に飲んで帰っていくので、懐具合を心配したのだろう。先輩はストレートのハーパーばかり、かぱかぱ飲んでいるだけだし、先日、「ボトル入れましょうよ」と誘ってきた。マスター曰く「でたらめに飲むんだから…。こっちの方がお得だから、ぜひ入れてくれ」。ショットバーなのに、ボトルキープ。変だが、とても得した気分。

 しかし、先輩はがんとして聞き入れない。「そんなことしてもらわなくても、いい。安く飲ませてもらっているんだし」と。マスターも譲らず、「入れろ」「入れない」の攻防が続く。仕方がないので、先輩が昏睡状態に陥ったところで僕が金を払って、ハーパーをキープすることにした。後で「キープしたのか」と怒られてしまったけれど。

 昨日は、キープしたお酒をメインに飲むことにした。他のバーボンも試しながら、仕事のことなどで語り合う。ストレート用のおちょこのような小さなグラスをいったい何杯空けたことだろう。来たときには満員だった店内がいつしか、2人だけになっていた。

 気が付いたらハーパーが空っぽ。15年もののバーボンを再びキープ。

 でたらめ、と言われても仕方がないか…。

10月3日

 転職する友人Kを励ます会を開こうと、同業他社の同期と連絡を取り合って、早速段取りを付けた。6人と人数は少ないが、のびのびと飲んでいられるメンツである。自分の会社や担当先でも開いてもらえるんだろうから、腹を割って話せる「しみじみ会」がいいだろうという趣向で、企画した。

 詳しく話を聞いてみると、友人K、かなり衝動的とも取れる、電光石火の転職だった。土曜日に新聞のちらしを見て、つい電話をかけ、翌日の日曜日に面接を受け、次の金曜日に会社に辞表を出したらしい。木曜日に一緒にメシを喰らっていたので「隠していたのはひどい」と非難したのだが、隠していたわけではなかった。日曜日の面接から連絡がなかったので、合格したかどうか分からなかったのだという。僕と別れて家に戻ると、留守電に合格の旨、吹き込まれていた。翌日、辞表。その翌日には、新しい家まで確保して、契約してきたのだという。何という行動力だ。

 その行動力を、少しでも仕事に使えば、かなり優秀だったのでは? と聞くも彼は笑うだけ。出先で会ったとき「あまりこの仕事に合っていなさそう。つらそうだな」と薄々感じていた。東京出身の彼、「実家に戻らずに、松本に腰落ち着けるのか」と聞くと「都会は嫌い」と一言。一生住んでも良いかな、と思わせる風情や人情が、この北アルプスの麓の街にはある。

 引っ越しを手伝うつもり。ヘッドを積んだり、エンジンを買うのに付き合ってもらったんだもの、おやすいご用。引っ越しなどで、いろいろ入り用になるはずだから、うまいモノをたらふく喰らわしてあげよう。

 どうするのが自分には合っているんだろうな、と物思いにふける。

10月2日

 私の携帯に電話するのはダレ?

 私用の携帯に「非通知設定」で電話がかかってきた。出ると、すぐに電話が切れた。何だろうな、と思い携帯の表示を見てみると、「着信あり」となっている。それまでに2回、同じ番号の人から電話がかかってきていた。この番号、以前に無言電話のようなものが数回かかってきてから、「着信拒否」にして置いたのだ。相手は僕の番号にかけても、電話が切れたときの音がするだけでつながることはないのだが、こちらは着信があったことが分かる。半月前にもこの番号から2回かかってきた着信履歴を見た覚えがある。

 何だろう、と思っていると、再び「着信あり」の表示が出た。再び、その電話番号からかかってきたのだ。

 着信を繰り返すこと6回。次に着信音が鳴り、「非通知設定」でかかってきた。出たら、すぐ切れてしまった。完全にいたずら電話な気がする。番号通知でつながらないものだから、着信拒否であることを察知して、非通知設定にして再びかけたんだろうか。

 この電話番号にかけてみれば、誰かが出るかも知れないのだが、別に知り合いではなさそうだし、気味が悪いし、放って置いてある。

 人の恨みを買うようなことは一切やった覚えがない。第一、私用の携帯の番号を教えるのは限られた人。仕事で携帯の番号を教える場合は、仕事用の携帯の番号を教えている。

 気の向いた番号にいたずら電話をかける、暇で馬鹿げた人間が、果たしているんだろうか? でも、番号を通知しているから、違う気もするが。

 分からぬ。

10月1日

 サーキット走行前夜の「弱体化合宿」中、同業他社の友人Kから電話が掛かってきた。松本に来てから丸3年の付き合いで、ヘッドを積むときと予備エンジンを運ぶときに手伝ってもらった人である。

 仕事をやめることになった、という。前日、一緒にメシを喰らいに行ったばかりだったので、耳を疑った。前日にはそんな気配はまったくなかったのに、あまりにも突然すぎる。今の仕事に合っていなさそうだな、とは思っていたけれど、やめるぐらいまで思い詰めていたとは思わなかった。

 松本市内に転職するので、会いたければ簡単に会えるのだが、生活のサイクルが変わってしまうので、これまで通りの付き合いとはいかない。

 車関係では友達がたくさんできて、充実しているのだけれど、仕事関係では同じ担当が1年以上続いていたり、難しい人間関係があったりして、マンネリ化と行き詰まりを感じ始めてきたおりなので、一日中仕事をやる気も出ずに、放心状態ですごした。確かに、転職して環境を一気に換えてしまうという手もあるな、と悶々と考えていた。仕事には手を付ける気にならず、サーキット報告を一生懸命書いていた。

 しかし、車をいじるには先立つものがいる。毎月ちゃんと給料が入る今の仕事を変える気なんてさらさらない。まあ、だらだらと数カ月を過ごしつつ、来年の春か夏にはどこかへ飛ばされるんだろう。

 それまでに、エンジンだけは積み替えるべし。