3月25日

 先日、松本であった山火事。全国ニュースでも流れるほどの注目を浴びたが何を隠そう、あの火事は我がホームコースであるいつもの山道の山全体がもえちゃった形なのだ。

 ふもとで燃えていた火事も、台風のような突風にあおられ、あっという間に飛び火していき、上へ上へと進んでいった。美鈴湖や浅間カントリー付近にまで火が行ったという情報を得て、一番心配だったのが、どれだけの面積が焼けてしまったか、ではなく、いつもの山道がどうなっているかだったのである。

 土曜日に、見に行くことにした。いつものペースで走るわけにもいけない。いつものペースでコーナーを抜けた途端、ホースを持った消防士が道の真ん中に立っているのが目に入ったとしたら、我が人生はそこで終わってしまう。何よりも、前を走るのはパトカー。ぶち抜くわけにもいかず、左右を伺いながらゆっくりと走る。

 ゴルフ場入り口付近から、道路脇が黒こげになっている場所があった。ヘアピンを2つ抜け、南側の斜面になった途端、つんと火事独特のにおいが鼻を突いた。松林。木全体が燃えているわけではなく、下草が焼けて根のあたりが黒く焦げた程度。木は枯れないと思われる。途中の道では、消防車が一台止まって、枯れ草をめくった上で、まだくすぶっているところを念入りに消火していた。

 火元へ下る方向の谷では、谷に沿って猛烈に火が上がってきた跡がある。さすがにここでは木の根ばかりでなく、幹の中程まで葉が焼けていた。一番、やけ方がひどかったのは、まだ植林したばかりの斜面。1メートルほどの高さの木が全焼していた。また、植林し直さなければならない。

 コースの半分ほどの長さの沿道が焼けている感じ。土日となれば出現するライダーたちもさすがにこの日は走っていなかった。道路自体に被害はないので、ほとぼりが冷めれば再び走ることができるかな。

3月24日

 東京あたりでは桜がすでに葉桜になりつつある、というのに、松本は冬に逆戻りしたような寒さ。それなのに、午後11時に仕事が飛び込みやがった。

 仕方なくジムニーに乗ろうとすると、うっすらと雪化粧。松本の市街地でも雪が舞ったらしい。なぜか制服を着た人がうじゃうじゃいるスーパーの前に張られた黄色いテープの近くで、カメラをぶら下げながら立ちつくしていた。数日前なら、風もやわらかくて春のにおいがしていたのに、こんな日に限って刺すように冷たい。

 私事ながら、やらねばならないことをやっていたら、いつしか時計の短針が下の方を指す時間になっていた。帰宅して寝る。今日は休みなのだが、飛び込んだ仕事の後始末をしなくてはならない。

 夕方、諏訪の某氏とブツを交換するために、ロードスターを開幌状態にして走り出す。塩尻峠の気温は0度だった。せっかく空燃比計が付いているのだから、高いところを走って燃調がどうなるのかを見てみたい。霧ヶ峰に進路を取る。

 スキーシーズンも終わりかけたこの時期、暗くなった高原に向かう車は皆無。路面は乾燥状態。凍っていないか注意しながら、快調に走る。

 霧ヶ峰にたどり着くと、燃調は諏訪より1濃くなっていた。海面でぴったりと燃調を合わせて、標高600mの松本に来ると、全体に0.9くらい濃くなる。それだけ空気が薄い、ということである。松本の平らではあまりフルスロットルをする機会もないので、少し薄くして、山を駆け上っているときにちょうどよい燃調になるようにしてあった。だから、標高700mの諏訪でちょうど良い燃調だった。

 それが、霧ヶ峰に行ったら、また全体に1濃くなった。霧ヶ峰はだいたい標高1500m前後。ということは標高が700〜800m高くなるごとに空燃比は1ぐらいずつ濃くなっていくことになる。

 そのままビーナスラインで一番標高の高い2000m付近に行けばさらに1近く濃くなることになる。もし、ノーマルのまま燃調を絞らないで上がったら、空燃比計は8台を指すこともあるかもしれない。まあ、標高2000mで本気で走る人は一部だろうから、それほど問題にならないのだろうけれど。

 空気の濃さ、は日ごろあまり意識をしない。無料化になったビーナスラインを白樺湖方面にひた走り、そんなことを考えながら走っていたら、吹き込む風もどことなく軽く感じられる。しかし、下界で0度なんだから、標高1500mでは−5度以下に違いない。グローブをして走っていても、指の先が痛い。耳がちぎれそうになったので、コートのフードを被った。

 寒いから屋根を閉めるという発想は起きなかったのかしら。 

3月23日

 朝、山々に目を向けたら、重くどんよりとした雲がたれ込めていた。雪雲かな、と思いつつ、最近は陽気が続いていたので、降ることはないだろう、と思っていた。

 ところが午前中、松本平の西部にいたら、雪が舞いだして、強い風もあって吹雪のようになった。東部の市街地に戻ったら、降っていなく日が差すぐらいの天気。山沿いと平らではこれだけ違う。

 この時期なら降ってもおかしくはないのだが、すっかり春めいていたので少し違和感。安房トンネルはしばらく抜けられそうにない。

3月21日

 夢の中でヘリがたくさん飛んでいた。飛び去ったと思ったらまたやってきて着陸し、再び飛び去る。どうやら、サイレンも鳴っているらしかった。イライラが募って、わあ、と叫んだら、目が覚めた。

 本当にヘリが近くを飛んでいるらしい。消防車のサイレンがいつまでも鳴りやまない。なんだか家の近くがただならぬ状況である。だが、体が動かない。昨日のサーキット120周により、体が睡眠を要求してストライキを起こしたらしい。意志に反して、しばらく布団で横になっているしかなかった。

 疲労困憊でビールを飲み、倒れ込むように布団に突っ伏して、意識を失ったのだ。外ではヘリの音とサイレン。めりめり言う体を強引に動かし、外に出てみると浅間温泉の方で白い煙が立ち上っていた。大きな山林火災である。どんどん火の手が広がっているらしい。いつもの山道が台無しにならないか、心配である。ヘリは、火を消すために家の近くの貯水池から、水をくみ出していた。

 なぜか、休みなのに浅間温泉街を一日、うろうろと歩き回った。体がけむり臭い。火は美鈴湖近くにまで達したらしい。しばらく、いつもの山道は走ることができないかしら。

3月20日

 さすがに寝ずに長時間車を走らせるのは気が引けたので、2時間だけ、寝た。ちゃんと起きられたのは、仕事でなくて、遊びに行くからだろう。

 ロードスターが凍っていた。鍵穴にキーがささらない状態。けっこう、昨晩は冷えたんだな、と思いつつ、天気もいいことだし、軽装、開幌状態で走り出したのである。実に、軽率な行為だった。

 鼻歌交じりに安房トンネルへ向かう国道158号を走る。少々肌寒いぐらいが気持ちいい。るんるん気分で走っていると、沢渡(さわんど)あたりから、日陰部分が凍り始めていた。タイヤはFM901。ウエットで強さを発揮するタイヤも、さすがに凍った路面は苦手である。

 大丈夫だろう、と高をくくって走っていたら、突然、全面氷結の路面に変わった。太平洋岸で降る水分を多分に含んだ雪がどんと降って、そのまま凍ったような感じ。氷の厚さ2センチほど。いまさら引き返すわけにも行かず、ずんずんと夏タイヤで進んでいった。

 国道158号の長野県側はトンネルが多い。これが幸いして、なんとか進むことができた。トンネル内は凍っていない。安房トンネル付近は急勾配。もしトンネルがなくて凍った路面が数キロ続いていたら、登ることがまず、できない。

 安房トンネルを抜けてからも、ひたすら氷結路面。もう、涙目になって、べそをかきながらのろのろと車を動かすしかない。

 ウエットが強いFM901だからだったのかは知らないが、絶望的に思われた上り坂でも失速せずに、のろのろと登っていった。少し時間に遅れたものの、車を壊すことなく、無事到着することができたのである。

 1周1分のサーキットで120周ぐらい。目標は達したものの、後半の走りでタイムが出なかったのが残念。エンジンは強烈なラッシュ音が出た以外は8000回転シフトで問題なく回っていました。

3月19日

 明日は、富山のミニサーキットへ、新エンジン&新足回りのテストに出掛けるのである。ところが、同業他社の人の歓送迎会の予定が入ってしまった。親父とともに常念岳へ3人で登った仲なので、行かないわけにはいくまい。

 ちゃちゃっと切り上げて、午後9時には帰宅して寝てしまおうと考えていた。けれども、強者揃いの飲み会である。隙を見つけて帰ろう、という考えが甘かったのである。

 午後10時すぎに1次会が終わって、なぜか同業他社の先輩と握手。これがいけなかった。そのまま2次会になだれ込む羽目になってしまったのである。水割りをちびちび飲み、カラオケ。正しい飲み会の末、午後11時半にこの店を出た。

 当然、人数が少なくなっているのである。ここにいる以上、3次会を拒む、というのは不可能なことだ。そのまま、その先輩の行きつけの店になだれ込んだのである。

 いくらセーブしながら飲む、といっても、ここまでのだらだらと飲んでいれば、当然、ほろ酔い気分になるのである。深夜。いつものショットバーが近いな、という邪念がちらりと頭をかすめたら、理性がアルコールでマヒしている以上、足は勝手に向かってしまうのである。

 たった独りでいつものショットバーに行ってしまい、1時間ぐらい座って結局2杯飲んでしまった。あさ、早く起きねばならない。

 仕方なく、家に帰って風呂に入り、そのまま出掛けることにする。国道41号の道の駅でロードスターの、ほとんどリクライニングしない運転席で仮眠をとり、そのままサーキットに向かうのだ。たぶん、暑くてすぐ起きるだろう。

 自己嫌悪。

3月18日

 仕事途中、松本近郊で唯一の自動車工具屋さんの近くに行ったので、つい、寄ってみた。つい、と言っているわりには、確信犯的なものがあるのだが。

 Snap-Onの工具を2割引セール中なのだ。なにが欲しいかと言えば、ソケットである。どうあがいてもゆるまなく、ついにKokenのソケットがなめて広がるという失態をおかした触媒のボルトをゆるめてしまったSnap-Onのソケットの虜になってしまったのだ。たくさん買うととても高いので、12ミリと17ミリだけ買うことにした。

 12ミリのボルトはそれほど固く締まっていることはないし、17ミリのボルトならKokenのソケットで十分な剛性があって、実際の作業で困ったことはないのだが、工具箱にSnap-Onのソケットが交じっている、ただそれだけのことがうれしいのである。

 でも買うととても高い。2割引だろうが高い物は高い。

 店内を数十分物色した後、レジで2つのソケットの精算をしていたら、PBのピックツールが置いてあるのが目に留まった。ネットで有名な某工具店がネット上でアイデアを出し合って作り上げた逸品である。3000円ちょっとの値段に、少し高いけれど、欲しいな、と視線を落としていたら、店員さん曰く、「これ、本当にいいですよ。尖っている先の剛性がちゃんと確保してあるし、先が尖りすぎていないのもグッドです。今、とても品薄なんですよ。この前、初回入荷分があっという間にはけてしまったので、10セット追加したら5セットしか入荷しなかったんです。次の船便まで入ってこないから、しばらく手に入らないですよ」と、一気にまくし立てられた。そして留めの一言。「衝動買いとはいっても、絶対損はしませんよ」。買ってしまった。

 実際、エンジンをばらしていると、クラセンのOリングを外すのに、マイナスドライバーを使ったり、細かいところの掃除にわざわざつまようじを使ったりして、こういったかゆいところに手が届く工具が欲しい、と思うことが何度かあったのだ。

 巧みなセールストークに見事にはまってしまった情けなさを少しでも紛らわそうと、使えそうな場所やシチュエーションを次々と考えたのであった。

3月17日

 浴びるほど飲んだのに、今日も飲み会があるのに気が付いた。同業他社の女性が結婚するので、寿飲み会である。

 なんだか最近、そんな話ばかり聞く。回りはみなさん春を迎え、文字通り季節も桜咲く春になったのだが、なぜか僕は飲んだくれてばかりで真冬である。

3月15日

 asahi.comを見ていたら、「日本語件名のウイルス猛威」という記事が目に入った。これまでのウイルスは「I love you」だとか英語だったわけで、2バイトコードの日本語で件名が送られているのは、そういえば新しいかも知れない。「極秘」だとか、気になる件名で送られてくるらしい。

 そこから自分の掲示板にジャンプして読もうとした途端、ノートン先生に怒られた。メール受信中、「悪質なコードを含む添付ファイル」が見つかったらしい。ウイルスか、と思い、添付ファイル「patch.exe」を「検疫」と言って、ハードディスクのある部分に閉じこめておく処置をして置いた。

 問題のメールを見てみると件名が「重要」だった。添付ファイルはノートン先生が隔離しているので大丈夫だ。感染はしない。シマンテックやトレンドマイクロのホームページを見て調べたら、「極秘」だとか「重要」「例の件」「お久しぶりです」といった10数種類の件名をランダムに選んで送りまくるウイルスらしかった。感染してもWindows
のアドレス帳ファイルに登録されているメールアドレスに自分の複製を送りまくるだけだけれど。いや、それが迷惑なのか。

 なかなかタイムリーに送られてきたウイルス。さっそく、送り主を特定して電話で注意してあげた。本人は気付いていなかった様子。ファイルを消せば問題ないし、アドレス帳も登録が5人だけだったらしい。

 猛威を振るわないよう祈るばかり。