1月23日

 朝6時前はまだまだ暗い。今日は、雨に雪が混ざった天候で、寒々しいったらこの上ないのだが、サラリーマンの悲しい宿命、仕事があったらいくらぽかぽか暖かい布団が恋しくても抜け出して働きに出なければならないのである。

 早朝に行って活動している場所と言えば市場しかない。いつものように軽トラや魚満載のトロ箱を積んだ代車にひき殺されそうになりながら、目的の場所へ向かう。

 松本にいたから寒さには強くなっていると思ったのだが、まったく関係ないらしい。冬の雨は雪が降るよりも寒々しく、風もあって体の心から冷えてしまう。仕事を終えてとぼとぼと市場を後にしようかと思ったのだが、あまりにも体が冷え込んでいたので、市場の定食屋に飛び込んだ。

 朝から、刺身定食。780円なり。マグロにホタテの貝柱に、甘エビにタイがけっこうな量入り、ごはんみそ汁、煮物、漬け物セットだから、安いと思う。市場の刺身だけあってうまい。

 仕事場に何とかたどり着いて、そのままソファに寝そべって熟睡。出勤して一番、一息つこうと自販機に飲み物を買いに来たお偉いさんたちが枕元を通ったはずなのだが、朝から熟睡しているぐーたら社員は、どう思われているのかしら。

1月22日

 東京の、非人間的な朝の通勤ラッシュを避けようと、午前7時前には起き出して、そそくさと支度をして、中板橋駅から東武東上線に乗る。少し早くしたとはいえ、やはり列車の中は満員。それでも肩が触れ合うほどではないから、ましなのか。駅員さんに、ぎゅぎゅっと押し込まれるぐらいなら、まだ歩いた方がましである。人として扱ってほしい。

 池袋始発の地下鉄丸の内線では座ることができ、快適に移動ができた。国会議事堂前駅に降り立ったのは、予定の2時間前。いくらなんでも早すぎたかな、と思いつつ、すし詰め列車に乗るよりは、出先で待っていた方がまし、と思い直す。マクドナルドの永田町店が少し歩くとあるので、朝マック初体験。たかだか、400円弱払えば、いつまでも気兼ねなくいられるから便利である。

 世間から「先生」と呼ばれているものの、ちっとも尊敬されていない種類の人たちが国から与えられている宿舎で仕事だった。入るだけで申込用紙に記入させられ、入り口では金属探知機にかけられる。警官に鞄の中を見せてといわれたので「パソコンだけっす」と開いたら、自分のパンツとシャツも入っていてばつが悪かった。ポケットに入っていたMDウオークマンを取り出して、金属探知機内を通ると、警告音が鳴って引っかかった。ベルトのバックルぐらいしか金属がなかったはず。もしかすると日ごろのハードな車いじりのせいで、体の中に金属類が蓄積してしまっているのかもしれない。やけに丁寧な言葉遣いをする警官から、手持ちの金属探知機で再スキャンされてしまった。

 詳しくは書かないが、「先生」たちはやっぱり支持者達の求めに応じて、細々とした雑用をこなさないといけないらしい。さまざまな便宜の取り計らいに、就職の世話なんてのもやっているみたいだから、本来の仕事なんてやっている暇がない人もいるかもしれない。

 仕事が終わり、そそくさと永田町を引き上げて、東京駅の八重洲ブックセンターへ。チューニング本2冊を購入してしまった。新幹線で名古屋へ到着したのが午後3時。さすがに疲れた。

1月21日

 浜松に続き今日も出張が入り、今、東京・中板橋にいる。昨日、たまたま水曜日にも東京での仕事が入ってしまったので、前に諏訪に住んでいた某氏の家に転がり込んでいるのである。

 今日は銀座のある場所での仕事であった。銀座8丁目とかなりはずれの方であるし、地図で見るとJRの新橋駅が近そうだったので、新幹線から京浜東北線に乗り換えて新橋へ向かった。

 新橋に着いたものの、どっちが銀座なのかが分からなくなった。駅を出てそのうち、地図か看板で銀座の方向が分かるだろうと思いながら歩くも、銀座の方角を指し示すものがない。

 訳の分からないまま歩いているうち、霞ヶ関の官庁街に突入してしまう。新橋から見当違いの方向へ歩いてしまったらしい。仕方なく、地下鉄日比谷線で2駅、銀座で降りて、とぼとぼと歩いて目的地に向かう。

 仕事を終え、夕方山手線に乗る。すし詰めの電車に体力を激しく消耗。東京で電車通勤している人は本当にタフだと思う。やはり東京は僕の体には合わないらしい。

1月20日

 今日は珍しく午前9時台に出社した。名古屋に異動した当初、1月ぐらいはまじめに9時すぎぐらいに出社していたのだが、やくざな職場なので9時すぎには誰もいない。馬鹿らしくなって、だんだんと出社時間が遅くなっていった。今は、10時より早く出社することはまれである。ま、外で仕事をしていることにすれば、何時に出ようが関係ないのだけれど。市場で仕事があれば、午前5時に家を出ることだしね。

 なぜ、今日だけ早かったかと言えば、電話番の仕事があったから、仕方なく。1時まで缶詰にされて、夕方、浜松に出かけた。

 名古屋駅でこだまに乗り、浜松へ。東名高速で名古屋インターから浜松へ行くと、かなり遠く感じるのだが、新幹線だとあっという間。こだまが駅に停車している時間の方が長いんじゃないか、と思うくらいである。

 浜松駅から南西の新橋町というところへ行った。「しんばしちょう」だとおもったら「にっぱしちょう」であった。タクシーの運ちゃんに「しんばし」と言っても通じなかった。

 とんぼ返りして、午後9時半には再び仕事場に戻る。ありゃりゃ、12時間前に出社した時間じゃないか。

 なんだかんだとやらねばならないことをやっていたら、ついに日付が変わった。仕事のさせられすぎで気が重い。

1月19日

 空燃比計を取り付けて学習を初めて1週間。そろそろセッティングが取れているだろうと、フィードバック補正を切ってみると、果たして満足いくほどまでに燃料噴射マップができあがっていた。高回転や、3000回転ぐらいのスロットルの開きはじめでで少し燃調が濃いが、問題になるほどじゃない。ここまでマップができあがると、フィードバック補正と学習はかえってギクシャク感を生むだけなので、切っておくことにする。細かいところは手でぱちぱちと修正した方が早い。セッティングが取れていなくてもとりあえず走ることができ、普通に乗っているだけでこんなに短期間でセッティングが取れてしまうFreedom+空燃比連動機能って素晴らしい。

 ノーマルエンジンを回していたセッティングで、シリンダーヘッド1mm面研(圧縮比10.2)+264度カム(in・exとも108度バルタイ)のエンジンを回したときは、かなりひどい状態であった。念のために高回転だけ燃料を勘を頼りに増量してあったのだが、まったく足りない状態。燃料を増量したにもかかわらず、アクセル全開の状態では、ほとんどの回転域で空燃比13台を示し、6000回転以上は14台であった。やはり、ノーマルカムと9mmリフトのハイカムでは、空気が入る量が違う。このほか、低回転のハーフスロットルで空燃比10ぐらいであったり、アクセルを踏むか踏まないかの領域でぎくしゃくしたりと滅茶苦茶であった。

 それにしても、14台の空燃比でモーターランド鈴鹿を全開走行をしていたのだから、今から考えると恐ろしいことであった。そもそも、B6をはじめとするB型エンジンは頑丈なエンジンであるから、少々薄い空燃比で走ろうがピストンが溶けたりはしないらしい。冬で気温が低いというのも幸いしたかもしれない。

 ハイカムを入れた当初、エンストを回避するために950回転にしてあったアイドリングも現在は850回転。アイドリング時には燃焼が一定にならないためかなりの振動がある。せっかく吸い込んだ混合気も、オーバーラップ48度というバルタイではかなりの量が排気側に吹き出してしまう。無論、排ガスはガソリン臭くなる。一人で乗っている分にはかまわないのだが、さすがに人を乗せるときにはアイドリングを1100回転ぐらいにしたくなる(Freedomなら簡単)。

 さらにインテークパイプは邪魔だから取り外し、スロットルの入り口から直接空気を吸っている状態にしてある。少しでも抵抗がなくなってフィーリングが良くなるのだが、こうすると、吸気音がものすごくなる。さらに、オーバーラップやリフト量を増やしてあるため、吸気音が必然的にうるさくなる。アクセルを踏み込んで6000回転まで回すと、異常な音が出る。一人で走っている分には問題ないが、助手席に人を乗せるとアクセルを踏むのがためらわれるぐらいの騒音である。

 チューニングで馬力を上げれば、パワーと引き替えに、快適さやエンジンの寿命など、なにかを犠牲にしなくてはならない。乗りにくさは慣れでカバーできるのだが、うるさいのはどうしようもない。すべてはバランス。VTECのような可変バルタイ&リフト量のメカを積まない限り、離れられない問題である。エンジンをいじりたい、と思っている人は、自分がどんな走り方をするのか、どこまでの不快さを許容できるのかを考えてチューニングした方が無難。

 コストパフォーマンスが高いのは、1mm面研+ROMチューンあたりのチューンかな、というのがこれまでいじってきた感想である。

1月18日

 休むことに決め込んで、メタルクリーンに漬け込んだまま放置してあるシリンダーヘッドをきれいにすることにした。

 予測通り、ヘッドにはメタルクリーンの成分と思われる白い結晶がこびりついた状態になっていた。それを取るために、風呂場に持っていって、シャワーで熱湯をかけながらたわしでこする。結晶は柔らかくなって落ちていくのだが、至るところに付いてしまった白い染みが、こすってもなかなか落ちない。爪でひっかいてみると別に凹凸になっているわけでもないので、問題ないだろうと放置する。

 メタルクリーンに長期間漬け込んだためか、シャワーで洗ったためか、バルブシートにうっすらとさびが浮き上がっていた。インマニ、エキマニのボルトも錆びが浮いている。進行すると困るので、WAKOSのラスペネを吹いておく。

 固くて取ることができなかったカムプーリーのボルトを電動インパクトレンチで外すことにする。ロードスターの電源につないでプーリを足で踏んで固定し、レンチを使うと、ぱこんと1発で外れた。とっても使える。

 作業をしていてふとロードスターのマフラーに目をやると様子がおかしい。富山の車屋さんの解体車からもらってきたHKSのリーガルマフラーである。

 

 もしもーし?

 もしかして、アナタはスチールウールさん? (マフラーには音を消すためにスチールウールが詰め込んである)

 引っ張り出してみる。けっこう力がいる。スチールウールで指を切りそうなぐらいである。

 うじゃうじゃと、長ーいのが出てきた。けっこう密度があるから、かなり排気抵抗になっていたに違いない。まだ中が詰まっているかは知るよしもない。

 排気抵抗が小さくなったためか、850回転に落としたアイドリングも、前より苦しそうじゃない。前は、ばらん、ばららん、ばばん、と音が一定じゃなかったのだが、ばらっばらっばらっというレーシーで速そうな音になった。シートに座っているとエンジンの振動が少し苦痛だったのも、若干軽減された。排圧も情けないと感じていたのだが、圧縮比が少ししか上がっていないからかとあきらめていたのも、かなり良い感じになった。

 試乗しに出かける。とりあえず、広い通りに出て、1速フルスロットル。どかーんと豪快な吹け上がりをみせ、5000回転からの針の動きが尋常じゃない。あっという間に7800回転のレブに当たる。2速でもかなりのトルクアップが感じられた。

 どうも7000回転以上が回りたがらなかったのは、こいつのせいか? ま、このマフラーも重いし、純正よりも静かで音質が良いとは言えないからそのうち交換される運命にあるのだが。

1月17日

 朝に市場に行き、帰りに仕事をさぼって大須へ寄る。名古屋一の電脳街があるのである。

 昔は足繁く通ったものだが、松本へ行ってからは足が遠のいてしまっている。名古屋に戻ってきてから初めて行ったときには、その変わり様に驚いてしまった。

 大須電脳街は10年ぐらい前は、大須観音や万松寺、その周辺にあるお店を目当てにしたじっちゃんばっちゃんがアーケード街を闊歩しており、その中にまぎれてパソコンヲタク青年がリュックを背負って肩身が狭そうに中古ソフト屋に出入りしていた。PC8801やPC9801のゲームソフトは中古市場でもなかなか良い値段で売れたのものの、そろそろ著作権の問題がパソコン雑誌上にも出始めた時期であったので、ちょっとアングラな雰囲気が漂う中古ソフト屋さんに入るのはどきどきであった。この時期、じじばば:ヲタク=7:3ぐらいであった。

 Windows95が発売された頃からパソコン市場が一気にふくれあがり、ビジネスマンや家族連れの比率が増えていった。そして、最近ではどうやら若者の街になっているのである。しゃれた店があちこちにあって、面食らう。

 欲しかったのは、NortonのAntiVirusだ。買ってから1年がたち、ウイルス定義を最新化するLive Updateの購読期間が終了した。たぶん、あれこれごまかせば問題なく購読期間を延長できるのだが、やはりきちっとしたサービスを受けているのだから、対価を払わないと申し訳ない。

 これまでSystem Worksを買っていたのだが、UtilitiesやCleanSweepはほとんど使わないから1年ごとにアップデートしても意味がない。それならば、Internet
Securityを買おうと、大須電脳街をあちこち駆け回る。

 ところが、大きなソフト売り場があまりなくて大変であった。昔は、どこのパソコンショップにも一定の大きさのソフト売り場があったのだが、大きなパソコンショップ以外はほんのおまけぐらいに取り扱われている程度。ゲームはネット上から買うのが当たり前になったからか、オールインワンでパソコンに入っているからか。それでも、グッドウイルの3階建てのビルがゲーム&アダルトゲームの館になっていたのは驚いた。

 さんざん歩いて一番安かったのは最初に入ったお店。良くあることかもしれない。仕事しているふりをして上司の隣でインストールしたのは言うまでもない。

1月16日

 仕事で渥美半島のキャベツ畑へ行って来た。朝早く起きて畑にたどり着き、潜入。「常春」と言われる渥美半島も今日はさすがに寒かった。キャベツの中にたまった水が凍っていた。

 そして、お約束なのだが伊良湖岬までドライブ。これじゃあ、仕事のついでにドライブしているのか、ドライブのついでに仕事をしたのか分からなくなってしまう。たぶん、後者だ。

 岬に向かって走っていると、前に白いNBが走っていた。ああ、やっぱりNBも精かんで格好いいなあ、としげしげと後ろ姿を眺めていると、見覚えのあるステッカーが張ってある。あの「ぢゃんきーステッカー」じゃないか!

 もし同じところで止まったら教祖さまの話でもして盛り上がろうと思ったのだが、途中でささっとお店に入っていったので声をかけられずじまい。ぢゃんきー分布図によると、2002/12/30現在、全国には167人のぢゃんきーが生息しており、うち愛知県内には24人。なんだかすっごい確率で後ろに付いてしまったことになる。

教祖さま

 伊良湖岬に来たからにはぜひ、その先端に立ってやろうと意気込んでいたのだが、ロードスターから降り立った途端、とっても冷たい風にさらされて一気に意気込みがしぼんでしまった。

 伊良湖岬から少し離れたところにはちょっとした小高い丘があり、ちょっとした駐車スペースがあったので車を止める。そこからまっすぐに延びた海岸線がなかなか美しかった。

 「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ…」という島崎藤村の「椰子の実」が流れ着いた浜として有名。小学生のとき、音楽の時間に歌った覚えがあるが、今の子どもは習うんだろうか。

 あまりにも生々しい詩なので、てっきり藤村が体験したことを詩にしたのかと思っていたのだが、柳田國男から聞いた話を元に書いたんだねえ。さすがに、そのイマジネーションは文豪と呼ばれるだけある。崖を少し下ったところに藤村の詩碑もあった。散歩道が整備されていて歩くと眺望も良くて気持ちよさそうだったのだが、やっぱり寒いからロードスターに逃げ帰った。

 途中、Freedomが暴走したのか、燃調が計測できないぐらい濃くなって前に進まない症状が出た。しばらくして直ったが、どこが悪いんだろう。

1月15日

 昨日買ったロードスター本。平井主査がロードスターを企画・設計するにあたり、骨となるコンセプトを書いたチャート図が載っている。

 その中に書いてある言葉のすべてがロードスターで実現されている。これは、コストだとか、安全だとか、居住性だとかのバランスを考えて、設計段階であれこれ綱引きをする現代のクルマづくりにとっては奇跡とも言えることなのかもしれない。

 キーワードを羅列する。

 「Hair in the wind(適度な風の巻き込み)」「ショートストロークで節度あるチェンジ」「軽量ボディ」「FRレイアウト」「ヒールアンドトゥに適したペダル配置」「クロスギアレシオ」「不快でないゴツゴツ感を残す」「Wウイッシュボーンサスの採用(前/後)」「フューエルリッド位置(Rフェンダー上面丸型)」「適度に狭いインテリア」「折り畳み式サンバイザー」「メーター特性 スピード オイルプレッシャー」「Simple
interior」「特定の回転域で(排気音が)こもることがない」「Non Spongy Brake」

 3分の2ぐらいを引用したが、初代NA6CEにはすべてが取り込まれている。やはり、「適度な風のまきこみ」「リニアな油圧計」「折り畳み式サンバイザ」「ゴツゴツ感」などなどは、演出されたものなのだ。マイナーチェンジごとにコストカットの名目でこうした「味」が失われて行くのは少し、寂しい。

 Non Spongy Brakeとは、踏んだ力に応じてがつんと効くブレーキの事だと思う。ブレーキを利かそうと思えば、それなりの力でペダルを踏む必要がある、ということだと思う。踏んだ力にリニアに利くブレーキだ。

 最近のブレーキは、倍力装置の容量が上げられて、ブレーキペダルを踏む力ではなく、ストロークで制動力が決まるようになっている。NA6CEに乗っている者が、NA8CやNBをちょこっと運転してみて不満に感じるのはこの点だ。前輪を前足、後輪を後ろ足のように感じるには、がつんと踏めるブレーキが大切だと思うのだが、これは時代遅れの考えなのだろうか。

1月14日

 さぼるために仕事場を抜け出して歩いて栄のマナハウスと丸善に行った。

 車雑誌コーナーで目についたのがVTECマガジン?だ。S2000のエンジンであるF20C型エンジンについて、チューン会社であるスプーンや戸田レーシングのエンジニアが語ったインタビューが載っていた。コンロッド、ピストン、クランクシャフトからヘッドボルトに至るまで、まさに9000回転という高回転を支える技術が注がれているんだなあ、と感心する。

 コンロッドはもちろん鍛造で、しかもコンロッドはナットレス。小端部にはなんとブッシュがない。浸炭処理という処理で表面を硬くしてあるから不要なんだろうか? バリと贅肉が多い、マツダB型エンジンとは比較にならなく美しい。ま、贅肉があるからターボで無茶できるのかもしれないけれど。ピストンももちろん鍛造。ピストン高も低くなっていてフリクションロスの低減が効いていそう。トップは比較的フラットでなだらかな形状。ショートストロークエンジンなのに圧縮比が11.7ということは、よっぽど吸排気ポートが立っていてコンパクトな燃焼室になっているんだろう。

 カムシャフトなんて中空になっていて、オイルラインになっているんだねえ。折れないのかな。カムのロッカーアームもほれぼれするほど精密にできている。直動式のB型エンジンには無縁な部品であるけれど。

 クランクの形も美しい。それを支えるシリンダーブロックは2分割のラダーフレーム。9000回転常用を受け止めるように、しっかり作り込んだ部品とその組み付けに他のエンジンと比べものにならないほどの精度が出ているらしい。いじり倒したら11000回転ぐらいまで回るのかなあ。

 思わずホンダ色満載のこの本を買おうかとも思ってしまったのだが、カムの作用角やリフトといったデータがあまり詳しく載っておらず、さらにシリンダーヘッドのポート形状も載っていない。要するに、コンロッドと燃焼室の写真ぐらいからしかエンジンづくりの参考になるものがなかったので、思いとどまった。すごすぎて、自分のエンジンづくりの参考になるものがあまりなかったということか。

 クルマ本コーナーに行くと、「マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語」という本が売っていたので思わず衝動買いしてしまう。初版が2003年1月15日になっているから、まだ発売直後らしい。三樹書房・2800円(税別)。184ページ。

マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語

 開発主査の平井敏彦氏をはじめ、基礎設計、車両設計、デザイン、シャシー、ソフトトップなどなど数々の開発担当者がそれぞれの機構、デザインに決定した経緯や意義付けを解説している。とってもマニアックだ。ちらちらと読んだだけだが、開発当時の熱意がひしひしと伝わってくる。いかに、お金を掛けないことを厳命されていたか、人が少なかったかがよく分かる。ホンダのイメージリーダーとして華々しくお金を掛けられたS2000(それにしては安く買えるけど)とは雲泥の差である。

 発売から14年もたってからこんなきっちりとした本が出てくるあたり、ロードスターがいかに偉大なクルマであるかを改めて認識する。こういう本は買いまくって出版社が儲かるようにしてあげましょう。