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8月3日

 松本時代、さんざん飲みまくった紀伊長島の先輩が用事があるので稲沢まで来るという。来るなら一緒にメシを喰らうしかあるまい、と夜勤をほったらかして食事に行く。

 ぼちぼちと食べ始めたころ、携帯メールに着信。なんだろう、と思ったら不吉な文字が並んでいた。以前、巨大な炎が上がった廃タイヤ火災の現場でまた火事だとの知らせである。

 警察や知り合いに電話を掛けても状況がよく分からない。こうなったら、速やかに現場に向かうしかない。なぜか、一緒にいた先輩もデミオに乗せて現場へ行く。

 近くまでたどり着くと、夜なのに黒々と立ち上るあの煙が再び立ち上っていた。この前と違うことは、時間が2時間ばかり早いためか、野次馬どもが車で現場近くに近づいていたことである。ただの興味本位の軽い気持ちの行動が、消防団の人や関係者の通行の妨げになるってことが分からないのかしら。

 ほんの1カ月ちょっと前の火災のビデオを見ているかのような火柱が上がっていた。私服姿の署長がいたのであいさつすると、「タイヤはな、外側から火を付けようとしても付かないが、こうして内側に火種を入れると火が付くんだ」とタイヤを使って親切に解説してくれた。ようするに放火だということを言っているわけで、遠慮なくそう書かせてもらった。

 写真を撮って話を聞いたら、あとは見ているしかない。1時半までなんとなく現場で過ごし、一宮に戻る。先輩が紀伊長島に向かったのは午前3時。タフだ。

8月1日

 1階の事務所になぜか蟻がいた。窓際の壁を伝って、サッシのレールに入り込んでは引き返していく。見ることはできないがレールの隙間になにかごちそうでも入っているのかしら。

 まてよ、と思う。建物は2階立ての鉄筋コンクリート造りである。蟻なんか入ってくる隙間があるわけがない。蟻を観察していると、どうも壁と床の間が割れていて、そこから入ってきているらしい。この建物はどうも地盤が悪い場所になっているらしく、事務所の前にある掲示板が地盤沈下で傾いて一度直していると聞くから、建物も少しゆがんでいるのかもしれない。

 蟻の侵入を許しているわけにはいかないので、対策を取ることに。「蟻の巣コロリ」である。殺虫剤のスプレーで目の前にいる蟻を殺すだけだが、こいつは蜜のかぐわしい香りがぷんぷんする毒を巣まで持って帰らせて巣ごとやっつけるという、非人道兵器である。

 窓枠のところに置いてしばらく観察していると、なにも知らずにやってきた蟻が突然異物が置いてあることに一瞬とまどっていたものの、蟻の巣コロリの入り口でしばらく迷った挙げ句に中に入っていった。中のえさを発見すると、思わぬごちそうの発見に喜んだのか、狂喜乱舞のごとくえさの上を右往左往した後、じっとえさを食べている様子だった。

 次に来た蟻は迷うことなく入り口に入りえさにたどり着く。あっという間に10匹ほどが蟻の巣コロリの中に入ってえさを堪能。ものすごい効き目だ。

 その場で動かなくなることもなく、しばらくすると外に出て壁を下って消えていく。巣に戻って報告でもしているのかもしれない。次々に蟻が表れては消え、を繰り返していた。

 すぐに効いたことが分からないことが、この兵器の非道さなのかもしれない。

7月31日

 日曜日なのにくそ忙しい。朝早めに家を出て、清洲へ。いまは清須市となった。名鉄の駅前で、車の上に立ってなにやら訴えている人たちの写真を写す。

 一宮の仕事場に寄って、昼すぎにいちのみやにごろを合わせて138メートルの高さにつくったツインアーチというタワーに出かける。少し手こずりながら、お次はアピタ江南西店。その次は、再び南下して国府宮神社へ。

 再び一宮の仕事場に戻ってけっこう遅くまで。働き過ぎ。

7月29日

 休みだったがなぜか名古屋芸大へ。

 芸術大って足を踏み入れたことがないのでどんなところかさっぱり想像がつかなかった。ぱっと見の印象でざっくり言ってしまえば、毎日が大学祭、といった雰囲気だろうか。屋外で作品の制作をしている人、突然エレキギターを大音響でうならせる人。たぶん普段着なんだろうが、仮装のような格好をしている人。

 クリエイトすることに敏感な人たちなわけで、やはり自身もさまざまに飾っている人が多い。いかにも芸術学生っぽい格好をしていたり、今はやりのひっぷほっぷっぽい格好をしていたり。学生時代、電車男よりひどい格好をしていた僕にとっては、別世界の住民たちに映る。

 ときどき、絵を描いたり彫刻をしたり、陶芸をしたりといった、ゼロからものを創り出すことに非常にあこがれることがある。それは、なにが時代の先端かをかぎ回って目撃しているのに、それを伝えるだけで、自分はなにも生み出していないこの仕事の宿命なのかもしれない。

7月28日

 じーじーとうるさい蝉の声がことしは少ないような気がしていた。実際、くそ暑い昼に外にいて、ふと耳を澄ませたときに蝉の声が聞こえないこともたびたび。実家では、夜でもじーじーとアブラゼミの大合唱が響いていたことを考えると、ことしは蝉が少ないのかしら、とでも思っていた。

 んが、一宮で夜勤をしたとき、やっぱり夜でも蝉の大合唱が聞こえた。ニュースでは、大阪でクマゼミが大発生して困っている、という話題をやっていた。

 単純に、岩倉、江南あたりでは比較的蝉が少ない、というだけのことだった。それでも夜に蝉が騒いでいるこの異常さ。ここ10年ぐらいの現象のような気がするのは、僕だけか。

7月27日

 多くの人がまったく興味がないであろう郵政民営化法案。僕は興味津々である。なぜなら、否決されて小泉さんが衆院を解散し、総選挙に突入すれば、夏休みがなくなっちゃうからである。

 仕事的には選挙があった方が面白い。んが、プライベートでは夏休みは非常に大事。このジレンマにしばらく悩むことになりそう。

7月24日

 愛知県体育館に向かう。大相撲名古屋場所の千秋楽。とはいえ、観戦に行くわけでなく、ある親方に会いに行ったのである。デミオで体育館に乗り付け、

 土俵を横目に見ながら、観客席下の迷路のような通路を通り、支度部屋へ。あくまでも仕事である。もしかすると、琴欧州が優勝するかもしれない、という良い日だったのだが、仕事が終わればそそくさと帰るしかない。

 それにしても、名古屋の中心部って異常な暑さ。逃げるようにして後にした。

7月22日

 家の前の植え込みに小さな鳥がうずくまっているのを発見した。僕が近づいても動く様子がないので、弱っているのかしらと思い、手を伸ばしても逃げない。逃げないどころか、指を近づけるとその上に乗ってきた。飼われているような鳥ではなさそうで、逃げないのは相当弱っているのか、と思ったので、放置したら猫に襲われたり暑さでまいってしまうと思って、一階の事務所の中に入れた。指の上でおとなしくつかまっている鳥はけっこうかわいい。

 仕事があったので、事務所に置いたまま出かけることに。とりあえず、いすの上に置いておくことにした。2時間ほどして帰ってきたら、同じ場所に同じようにうずくまっている。とりあえず、水をやろうとびんのふたに水を入れて口元に近づけてやったが、積極的には飲まない。

 はて、こいつをどうしようかとしばらく思案する。あまり鳥を観察することもないので、どんな鳥かも分からない。それでも、良く見ると、幼い鳥じゃないかという気がしてきた。人に対する警戒心がまったくないのも幼い証拠じゃないかしら。もしかすると、巣から飛び立つ訓練でもしていて、植え込みまで落ちてきたのかもしれない。植え込みが見える場所から親鳥が様子を見守っていたということも考えられる。

 すると、僕がやった行為は親切のようで、鳥にとってはかえって迷惑でしかないことになる。外に出て上空を見回すが、親鳥らしき鳥は見えない。事務所に入れちゃってから2時間ぐらいたったから、あきらめたのか、と勝手に心配になってきた。

 これはいかん、と元の場所に戻そうと思ったが、植え込みは日向になってしまっていて、そこに放置したらひからびてしまいそうなので、隣の畑のイチジクの木の枝の日陰になる場所に放した。

 鳥はそれから夕方ぐらいまでそこに止まっていた。大丈夫かしら、と窓から様子を見たちょうどそのとき、鳥がばばっと飛び立ち、ふらふらと高度を上げて、なんども失速しそうになりながら西の方に飛んでいった。

 なんだ、飛べるんじゃないか、と拍子抜け。鳥はふらふらしながらも、3階建ての屋根の向こう側まで飛んでいって見えなくなった。

7月21日

 昼過ぎ、火災現場に行ったついでに駅前の再開発組合の事務所をのぞいたら、「飯食っていけ!」と、理事長のおっちゃんが言うので、ありがたくいただくことにした。「ちょっと待っていろ」と事務所を後にし、5分ぐらいで戻ってきて唐揚げやらみそ汁やらソーセージを炒めたものやらを持ってきてくれた。

 てっきり、残りものをレンジでチンして持ってきてくれたのだと思ったのだが、食べてみると唐揚げは揚げたて。なんと、ほんの少しの時間で作ってきてくれたのだ。「えっ、もう作ってきたんですか」と驚くと「早いのだけが取り柄だからね」と笑うおっちゃん。まじで格好良い。

7月20日

 夜勤で仕事場にいたら、消防無線がなにやら騒がしい。なんだろうと耳を澄まして聞いていると、どうも岩倉で火事らしい。住所を聞くと、中本町、というから岩倉の市街地のど真ん中である。地図で見ると、五条川沿いの住宅密集地である。やばいな、と思うが夜勤だから仕事場を離れられない。仕方がないから若い人を現場に向かわす。

 とりあえず延焼はなく胸をなで下ろす。気になることがあったので、夜勤の時間帯が終わってから現場に行く。こいのぼり屋さんの駐車場に勝手に車を止め、真っ暗な五条川沿いを歩いていくと、まだ消防団の人が火種がないかどうかを調べていた。帰り道に警察に寄ったら、午前3時前だというのに副署長がいた。まじめな人だ。

 朝、また早く起きて後始末をしなくてはならない。エンドレスな日々。