仕事途中、松本近郊で唯一の自動車工具屋さんの近くに行ったので、つい、寄ってみた。つい、と言っているわりには、確信犯的なものがあるのだが。
Snap-Onの工具を2割引セール中なのだ。なにが欲しいかと言えば、ソケットである。どうあがいてもゆるまなく、ついにKokenのソケットがなめて広がるという失態をおかした触媒のボルトをゆるめてしまったSnap-Onのソケットの虜になってしまったのだ。たくさん買うととても高いので、12ミリと17ミリだけ買うことにした。
12ミリのボルトはそれほど固く締まっていることはないし、17ミリのボルトならKokenのソケットで十分な剛性があって、実際の作業で困ったことはないのだが、工具箱にSnap-Onのソケットが交じっている、ただそれだけのことがうれしいのである。
でも買うととても高い。2割引だろうが高い物は高い。
店内を数十分物色した後、レジで2つのソケットの精算をしていたら、PBのピックツールが置いてあるのが目に留まった。ネットで有名な某工具店がネット上でアイデアを出し合って作り上げた逸品である。3000円ちょっとの値段に、少し高いけれど、欲しいな、と視線を落としていたら、店員さん曰く、「これ、本当にいいですよ。尖っている先の剛性がちゃんと確保してあるし、先が尖りすぎていないのもグッドです。今、とても品薄なんですよ。この前、初回入荷分があっという間にはけてしまったので、10セット追加したら5セットしか入荷しなかったんです。次の船便まで入ってこないから、しばらく手に入らないですよ」と、一気にまくし立てられた。そして留めの一言。「衝動買いとはいっても、絶対損はしませんよ」。買ってしまった。
実際、エンジンをばらしていると、クラセンのOリングを外すのに、マイナスドライバーを使ったり、細かいところの掃除にわざわざつまようじを使ったりして、こういったかゆいところに手が届く工具が欲しい、と思うことが何度かあったのだ。
巧みなセールストークに見事にはまってしまった情けなさを少しでも紛らわそうと、使えそうな場所やシチュエーションを次々と考えたのであった。