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4月20日

 最近背中がブロー状態である。

 ある朝、起きようと思ったら、激しいノッキングが背中を襲い、動くことができなかった。布団の中でごろごろ転がり、ようやく楽な体勢を見つけて起きあがったものの、体をひねるたびにノッキングが背中を襲う。

 車の下で変な体勢で作業をしていたから、その疲れが出た上、寝違えたのだろうと、しごくまっとうな考えで放置して置いたのだが、心ない周りの人々は「それは内臓だよ」。胃か、肝臓が悪くなっているんだ、と言うのである。

 心当たりがなければ笑ってすますことができるだが、心当たりになることだらけだと不安になるしかない。やはり肝臓だろうか、と思い悩み、湿布を張ってごまかすとともに、念のため2日ばかりアルコールを抜いたら、痛みが治まった。

 痛みがほぼ消えると人間、その痛さや悩みがけろりと消え失せるもので、昨日は調子に乗ってビールを飲んだ。今朝、再び背中がブロー状態である。

 やはり肝臓か? 心配なのは今日から月曜の夜までにロードスターで日本海から太平洋まで横断し、合計700キロほど走る予定が入っていることである。どうなるんだろ。

4月19日

 本番、というものは往々にして突然やってくるものなのかもしれない。エンジンを積み替えて間もない我がロードスターで昨日突然、長距離を走らねばならなくなった。まだ積み替えて30キロぐらいしか走っていない。

 エンジンのアイドリングはとても静かだし、空燃比も安定している。あとはオイルクーラーの回路やどこかのシールの劣化によるオイル漏れだけが不安定要素である。油圧だけ気を付けていれば大丈夫であろう、と長野道に乗る。

 高速でフル加速。中回転のトルクはまずまず出ているものの、高回転で頭打ちするのがいただけない。やっぱり遅いのじゃないかしら。油圧は安定している。今回はマツダ純正オイルをぶち込んだので、最近入れていた合成油に比べて、全体的に油圧は低めである。油圧なんて、掛かってりゃ大丈夫さ。オイル残り1リットルちょっとを体験したものの、実感。

 全然問題ない、余裕だと、高らかに笑おうと思ったら、ふと水温計が目に入った。いつもよりやけに低いのである。70度の位置に張り付いてしまっている。何が余裕なんだ? どういうこと?

 油温を見ると80度で安定しているので、冷却水漏れのようなトラブルではなさそう。少々精神的に悪い水温でしばらく走行し、サービスエリアに車を止める。

 リザーバータンクは満タン。オイルも満タン。どうやら、サーモスタットの問題らしい。水温の上昇の仕方などを考えると、どうやらローテンプサーモが入っている疑いが濃厚である。春とは言え、夜の高地は一桁台の気温のはず。高速道路をしばらく走ることもあったので、ラジエーターの半分弱を間瀬走行会のゼッケンで覆って対策した。

 走り出す。水温80度ちょっと。完璧である。が、高速を下り、愛知県境の急坂を低いギアで上っていたら、見る見る間に水温が上がり、100度を超えた。102度あたりで止まったので、気にすることなく走り続ける。下りになった途端、ぐんぐん針は下がり、70度台まで低下。なかなかアクロバチックな水温変化である。

 今日は再びとんぼ返り。昼間にラジエーターに目張りをしたまま走っていたら、飯田市街に入ったところで100度より下がらなくなった。それでも103度止まり。大森の水温計は100度を超えると急に目盛りの幅が広くなるので焦るが、数値を読んでみればまだまだ大丈夫な水温である。それでも、最近95度以上の水温を見たことがないので、動悸息切れがすることは確か。仕方なく、コンビニでクールダウンする。

 中央道に乗ればまたオーバークールになるだろうと思っていたら、なかなか水温が下がらない。仕方ないので途中で目張りを取ったら、今度は70度台。とっても難しい。

 サーモスタットの陰ながらの大きな働きを、実感した走行であった。

4月17日

 「レギュラー満タン」

と、久しぶりに言ってしまった。圧縮比9.4のノーマルエンジンにハイオクはオーバースペックである。35リットルぐらい入ったので、ほとんどレギュラーに近いオクタン価になったと思われる。ノッキングは出ない。プラグは中古エンジンについていた5番(なぜ?)が付いているし、ギンギンにノーマルエンジンである。

 ところが、フライホイールが軽いとなかなか気持ちがよろしい。ノーマルカムである限り、思いっきり軽いフライホイールを入れてしまっても、まったく問題がないようである。クラッチに慣れている人ならば、発進が難しくなることはない。少し作用角の大きいカムにすると鬼エンストエンジンになってしまうので、これから変える人は今後のチューニング予定とのかねあいを考えた方がよいのかもしれない。

 空燃比は、高回転では以前とさほど変わっていなかった。低回転では、かなり薄目の燃調になってしまっていた。オーバーラップ39度で吸気された混合気がかなりポート側に吹き返していたのかも知れない。それでも、2000回転以上では、ノーマルより厚いトルクが出ていたのだから、ハイコンプ化は素晴らしいのだ。

 さすがに、このノーマルエンジンに264度のカムを入れるのはためらわれる。4スロキット&フリーダムかキャブが落ちていれば考えるけれど。そんなことあるわけないか。

4月16日

 いつものショットバーでしこたま飲んじゃって、ふらふらのままこんなものをしたためている次第である。

 昨日、ノーマルエンジンでいつもの山道へ走りに行った。最近、仕事をさぼり気味なことは内緒にしておこう。

 軽量フライホイールとビッグスロットルが付いているし、ROMもいじってあるので明らかにノーマルとは違う回り方をする。それに、どうやら前のエンジンよりは「当たり」らしく、高回転でもいやな感じの振動はない。

 ノーマルカムのままで、エンジン始動もアイドリングもとっても安定している。前のエンジンでは、空ぶかしすると、エンストしそうになったものだが、やはりノーマルは全然そんな気配もない。静かだし、排ガスも臭くない。オーバーラップが20度だしね。

 走り出すと、3000回転あたりのトルクはなかなかあって、もしかすると、前のエンジンと同じぐらい出ているかも知れない。フライホイールの軽量化でパワーバンドが少し高回転に上がったためか、5000回転あたりでは、なかなかの吹け上がりをする。

 ところが、だめなのである。7000回転あたりで、やはり、苦しそうに回転が頭打ちになる。8000回転まですかーんと回っていた前のエンジンに慣れてしまった僕にとって、ちょっと耐えられない事態である。ノーマル圧縮だけれど、カムだけ変えてしまうか? 急ブレーキとともに2速にシフトダウンし、7000回転をキープしたままコーナーを抜け、そこから8000オーバーまで回して駆け抜ける、という快感を覚えてしまうと、やはり7000回転シフトは物足りないのである。わずか1000回転。されど1000回転なのである。

 ところが、エンジンがノーマルになって遅くなったか、と言えば、どうなんでしょう、と言うしかない。いつもの山道で走る分には、コーナーを曲がる「感覚」はなんら変わるところがないからである。直線が長い上、上り坂である間瀬のようなコースを走らない限り、タイムに差は出ないのじゃないかしら。

 そう言えば、チューニングヘッドに載せ替えたのが昨年の6月中旬だったから1年足らずでノーマルに戻ってしまったことになる。ヘッドを変えるだけで大変苦労していたのに、1年後には木曜日にエンジンをばらしはじめて、日曜日に積み替えが終了してしまうおかしな人間になってしまった。

 エンジン載せ替えは、手伝ってくれる仲間がいないと無理なこと。手を貸してくれる人がいることを感謝しないとね。

4月14日

 ドライブがてらに作業を見学に来る、という風変わりな方がいたので、朝からフライホイールとクラッチを移植しながら待っていた。来たいという人も変わっていれば、それを待つ人も変わったことをしていた。

 きれいなNBに乗って現れ、エンジンルームにぽっかり穴が空いたロードスターとぐちゃぐちゃに工具やら部品屋らが転がっている軒下を見て、あまりにも想像を絶する光景に、絶句した様子。しかし、作業着まで持ってきてやる気満々だったので、エンジン積み込みという軽作業を手伝ってもらう。軽い簡単な作業であるが、1人ではなかなかできない。簡単、というのはもちろん冗談である。手伝ってもらえて、ラッキーであった。

 途中、突風。立てかけてあったボンネットがあおられて、どかん、と倒れてしまう。2カ所がへこんでしまった(涙)。一番きれいに磨く場所なのに、思いっきり目立つ傷が無惨にもついてしまったのである。「立てかけておけば倒れるに決まっているでしょ」と、正しいおしかりを受ける。素人とは言え、かなりいい加減に作業をしているのを見て、あきれていた様子であった。(それでも、今回自分の組み付けたエンジンを外してみて、意外にもきちんと部品が付いていてびっくりした)。

 ボンネットがへこみ、僕もへこんだ。直さなければ。いくら落ち込んでいようと、エンジンは動くようにしなければならないのだ。作業を再開する。

 2時間ぐらい格闘して、エンジンとミッションのドッキングに成功した。ここまでこれば後は早い。一人で狭いところに手を突っ込んだり、車の下に潜ったりすれば終わる。近くのカフェレストで、メシを喰らい、いつもの山道へ走りに行った。「こんな近所にいい道があってうらやましい」との感想。僕もそう思っています。

 NBの方がビーナスライン方面へ走り去り、再び淡々とした作業に戻る。ミッションとエンジンをとめるボルトを締め、エキマニを付け、インマニ、ラジエーター、エアフロ、吸気管。配線をつないだころ、あたりは暗くなっていた。

 アンダーカバー以外、すべて終わったので、オイルと水を入れ、バッテリーをつなぎ、プラグを抜いて、きゅいいいいいんと、しばらくクランキングをすると、油圧計が2kg/cmを指す。マツダ純正オイルなので、こんなものであろう。

 プラグを付けて、プラグコードを配線し、クランク角センサーの配線を付け、エンジン始動。何の感動もなく、エンジンが始動した。HLAのラッシュ音すらしない。

 圧縮比9.4、吸気236度排気249度カムで回るノーマルエンジンのアイドリングは本当に静か。インジェクターの音しかしないぐらいである。空燃比も、ピタッと同じ数値を示し続ける。負圧も500mHg! 吸排気264度のカムから100mHg以上上がっている。平地なら530mHgぐらいを示すんだろう。3.7kgのフライホイールでも、まったくエンストしそうにならない。乗りやすい車になったことは確か。

 しかし、排気に手をかざすと、やはり勢いが足りないのである。音も迫力がなくなってしまった。物足りない。何の感動もないエンジンである。

 実感した。普通のエンジンでは満足できない。我が病の根の深さ。

4月13日

 人は見かけじゃない。これはたぶん、真実なんであろう。

 ところが今日はさすがに自分の身なりの貧しさを反省した。土曜日だし、仕事の予定を考えると、スーツを着るまでもないだろうと、お気楽にジーンズで出勤することにした。

 いつもの調子でジーンズをはくと、黒いまだら模様が付いていた。ヘッドを外したとき、オイルが付いてしまったのである。さすがに、そんなズボンで人前に出るわけにもいかず、もう一本のジーンズをはいたら、これもまた、酷使されてすり切れる寸前、色もほとんどはがれ落ちたような、みっともない代物だった。

 膝のあたりがやぶれたような、ぼろぼろのジーンズをはくのもファッションの一つなのかもしれないが、このジーンズはなんだか、違う。貧乏くさいのである。まあ、仕方あるまい、とそれをはくことにする。

 適当に着た上着も、エンジンをいじるときに何度か着たものだったらしく、袖口が黒く汚れていた。もう破れかぶれになって、どうせ着てしまったのだからと、そのまま外出しようとし、いつもの皮靴を履き、その靴も、ヘッドからたれたオイルで黒く水玉模様が付き、おまけに地面に寝そべったときにこすれてしまって、茶色がほとんどはがれてしまっている始末。さすがに、これはまずい、と苦笑してしまった。ちゃちゃっと、クリームを塗ってごまかすも、かえって黒色の水玉が強調されてしまったようである。

 外を歩きながら、やはりこんな身なりで歩いているのはまずい、さすがに学生じゃあるまいし、いつまでもこんな格好でうろうろするわけにも行かないかな、と思い、そのうち服でも買いに行こうかしら、との考えが頭をよぎるも、

 いや、その前にピストン

 いや、その前にピストン

と考えてしまうから、僕の病気も末期症状と言って良いだろう。

4月11日

 勢い余ってヘッドをはがしてしまった。やはり不気味なオイル食いがあるならば原因を知りたい。それに、今回は1気筒だけ不具合が出ているようなので、なおさら不気味なのである。腰下がばらばらになっても作るのはそれほど手間じゃないが、ヘッドはもう一度加工すると異常なぐらいの時間と根気とやる気が必要だ。たぶん挫折してしまう。ヘッドが壊れる前に外してしまおうかな、と思ったら、外れたヘッドを力一杯持ち上げている自分がいた。

 4番シリンダーのバルブにカーボンが付き(なぜか、吸気と排気一つずつ同じ側のバルブだけカーボンが付いていた)、やはり予想通りオイル食いが発生していたことは分かったのだが、どこから漏れているのかが分からない。ノッキングが出ていた時期があるので、ピストントップを見れば、溶けかけたりしているかもしれない、と思ったがきれいなものであった。シリンダーも目立った傷はない。ポートをのぞくと吸気バルブが他のバルブより汚れているので、もしかしたらバルブシールかもしれないが、点火プラグがオイルで濡れるぐらい、燃焼室にオイルが入っていたのだから、吸気ポートに吹き返してバルブが汚れても不思議じゃない。

 あとは、ピストンリング。カーボンの付き方から見ると、どうもここが怪しい気がするのだが。でも、ピストンリングってどんな不具合が出るだろう。