不愉快な胸焼けの中、目覚めるといつものショットバーのカウンターだった。時間は午前3時。「おはよう」とマスター。仕事場の人の「酒飲みに行こうぜ光線」に負けて焼鳥屋へ行き、生ビール。1週間ぶりにアルコールを摂取した。3杯しか飲んでいないのだが、くどくどとあちらこちらの文句を言いながら飲んでばちがあたったのか、かなり回った。ショットバーに移ってすぐに意識を失ったらしい。迷惑な客だ。
そういえば、仕事場の人がいない。マスターに聞いたら1時間ぐらい前に帰ったという。見事な放置ぶりである。たぶん、揺すってもたたいても怒鳴っても目覚めなかったんだろう。僕が悪いと思われる。しかし、支払いが済んでいなかったから、確信犯か。
ふらふらとショットバーの階段を下り、ほとんどの店が閉まった繁華街をのろのろと歩いていった。通りでは仕事を終えたばかりのクラブの金髪のお姉さんたちが、けだるそうに、かつかつとヒールの音だけ残して歩いていく。まがったネクタイによれよれのスーツ姿の僕は、そんなけだるい時間帯にマッチしていたに違いない。
アルコールから解放されてさわやかになったはずの体に再びアルコールを充填。1週間の断酒も元の木阿弥になっちゃった。