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1月19日

 空燃比計を取り付けて学習を初めて1週間。そろそろセッティングが取れているだろうと、フィードバック補正を切ってみると、果たして満足いくほどまでに燃料噴射マップができあがっていた。高回転や、3000回転ぐらいのスロットルの開きはじめでで少し燃調が濃いが、問題になるほどじゃない。ここまでマップができあがると、フィードバック補正と学習はかえってギクシャク感を生むだけなので、切っておくことにする。細かいところは手でぱちぱちと修正した方が早い。セッティングが取れていなくてもとりあえず走ることができ、普通に乗っているだけでこんなに短期間でセッティングが取れてしまうFreedom+空燃比連動機能って素晴らしい。

 ノーマルエンジンを回していたセッティングで、シリンダーヘッド1mm面研(圧縮比10.2)+264度カム(in・exとも108度バルタイ)のエンジンを回したときは、かなりひどい状態であった。念のために高回転だけ燃料を勘を頼りに増量してあったのだが、まったく足りない状態。燃料を増量したにもかかわらず、アクセル全開の状態では、ほとんどの回転域で空燃比13台を示し、6000回転以上は14台であった。やはり、ノーマルカムと9mmリフトのハイカムでは、空気が入る量が違う。このほか、低回転のハーフスロットルで空燃比10ぐらいであったり、アクセルを踏むか踏まないかの領域でぎくしゃくしたりと滅茶苦茶であった。

 それにしても、14台の空燃比でモーターランド鈴鹿を全開走行をしていたのだから、今から考えると恐ろしいことであった。そもそも、B6をはじめとするB型エンジンは頑丈なエンジンであるから、少々薄い空燃比で走ろうがピストンが溶けたりはしないらしい。冬で気温が低いというのも幸いしたかもしれない。

 ハイカムを入れた当初、エンストを回避するために950回転にしてあったアイドリングも現在は850回転。アイドリング時には燃焼が一定にならないためかなりの振動がある。せっかく吸い込んだ混合気も、オーバーラップ48度というバルタイではかなりの量が排気側に吹き出してしまう。無論、排ガスはガソリン臭くなる。一人で乗っている分にはかまわないのだが、さすがに人を乗せるときにはアイドリングを1100回転ぐらいにしたくなる(Freedomなら簡単)。

 さらにインテークパイプは邪魔だから取り外し、スロットルの入り口から直接空気を吸っている状態にしてある。少しでも抵抗がなくなってフィーリングが良くなるのだが、こうすると、吸気音がものすごくなる。さらに、オーバーラップやリフト量を増やしてあるため、吸気音が必然的にうるさくなる。アクセルを踏み込んで6000回転まで回すと、異常な音が出る。一人で走っている分には問題ないが、助手席に人を乗せるとアクセルを踏むのがためらわれるぐらいの騒音である。

 チューニングで馬力を上げれば、パワーと引き替えに、快適さやエンジンの寿命など、なにかを犠牲にしなくてはならない。乗りにくさは慣れでカバーできるのだが、うるさいのはどうしようもない。すべてはバランス。VTECのような可変バルタイ&リフト量のメカを積まない限り、離れられない問題である。エンジンをいじりたい、と思っている人は、自分がどんな走り方をするのか、どこまでの不快さを許容できるのかを考えてチューニングした方が無難。

 コストパフォーマンスが高いのは、1mm面研+ROMチューンあたりのチューンかな、というのがこれまでいじってきた感想である。

1月18日

 休むことに決め込んで、メタルクリーンに漬け込んだまま放置してあるシリンダーヘッドをきれいにすることにした。

 予測通り、ヘッドにはメタルクリーンの成分と思われる白い結晶がこびりついた状態になっていた。それを取るために、風呂場に持っていって、シャワーで熱湯をかけながらたわしでこする。結晶は柔らかくなって落ちていくのだが、至るところに付いてしまった白い染みが、こすってもなかなか落ちない。爪でひっかいてみると別に凹凸になっているわけでもないので、問題ないだろうと放置する。

 メタルクリーンに長期間漬け込んだためか、シャワーで洗ったためか、バルブシートにうっすらとさびが浮き上がっていた。インマニ、エキマニのボルトも錆びが浮いている。進行すると困るので、WAKOSのラスペネを吹いておく。

 固くて取ることができなかったカムプーリーのボルトを電動インパクトレンチで外すことにする。ロードスターの電源につないでプーリを足で踏んで固定し、レンチを使うと、ぱこんと1発で外れた。とっても使える。

 作業をしていてふとロードスターのマフラーに目をやると様子がおかしい。富山の車屋さんの解体車からもらってきたHKSのリーガルマフラーである。

 

 もしもーし?

 もしかして、アナタはスチールウールさん? (マフラーには音を消すためにスチールウールが詰め込んである)

 引っ張り出してみる。けっこう力がいる。スチールウールで指を切りそうなぐらいである。

 うじゃうじゃと、長ーいのが出てきた。けっこう密度があるから、かなり排気抵抗になっていたに違いない。まだ中が詰まっているかは知るよしもない。

 排気抵抗が小さくなったためか、850回転に落としたアイドリングも、前より苦しそうじゃない。前は、ばらん、ばららん、ばばん、と音が一定じゃなかったのだが、ばらっばらっばらっというレーシーで速そうな音になった。シートに座っているとエンジンの振動が少し苦痛だったのも、若干軽減された。排圧も情けないと感じていたのだが、圧縮比が少ししか上がっていないからかとあきらめていたのも、かなり良い感じになった。

 試乗しに出かける。とりあえず、広い通りに出て、1速フルスロットル。どかーんと豪快な吹け上がりをみせ、5000回転からの針の動きが尋常じゃない。あっという間に7800回転のレブに当たる。2速でもかなりのトルクアップが感じられた。

 どうも7000回転以上が回りたがらなかったのは、こいつのせいか? ま、このマフラーも重いし、純正よりも静かで音質が良いとは言えないからそのうち交換される運命にあるのだが。

1月17日

 朝に市場に行き、帰りに仕事をさぼって大須へ寄る。名古屋一の電脳街があるのである。

 昔は足繁く通ったものだが、松本へ行ってからは足が遠のいてしまっている。名古屋に戻ってきてから初めて行ったときには、その変わり様に驚いてしまった。

 大須電脳街は10年ぐらい前は、大須観音や万松寺、その周辺にあるお店を目当てにしたじっちゃんばっちゃんがアーケード街を闊歩しており、その中にまぎれてパソコンヲタク青年がリュックを背負って肩身が狭そうに中古ソフト屋に出入りしていた。PC8801やPC9801のゲームソフトは中古市場でもなかなか良い値段で売れたのものの、そろそろ著作権の問題がパソコン雑誌上にも出始めた時期であったので、ちょっとアングラな雰囲気が漂う中古ソフト屋さんに入るのはどきどきであった。この時期、じじばば:ヲタク=7:3ぐらいであった。

 Windows95が発売された頃からパソコン市場が一気にふくれあがり、ビジネスマンや家族連れの比率が増えていった。そして、最近ではどうやら若者の街になっているのである。しゃれた店があちこちにあって、面食らう。

 欲しかったのは、NortonのAntiVirusだ。買ってから1年がたち、ウイルス定義を最新化するLive Updateの購読期間が終了した。たぶん、あれこれごまかせば問題なく購読期間を延長できるのだが、やはりきちっとしたサービスを受けているのだから、対価を払わないと申し訳ない。

 これまでSystem Worksを買っていたのだが、UtilitiesやCleanSweepはほとんど使わないから1年ごとにアップデートしても意味がない。それならば、Internet
Securityを買おうと、大須電脳街をあちこち駆け回る。

 ところが、大きなソフト売り場があまりなくて大変であった。昔は、どこのパソコンショップにも一定の大きさのソフト売り場があったのだが、大きなパソコンショップ以外はほんのおまけぐらいに取り扱われている程度。ゲームはネット上から買うのが当たり前になったからか、オールインワンでパソコンに入っているからか。それでも、グッドウイルの3階建てのビルがゲーム&アダルトゲームの館になっていたのは驚いた。

 さんざん歩いて一番安かったのは最初に入ったお店。良くあることかもしれない。仕事しているふりをして上司の隣でインストールしたのは言うまでもない。

1月16日

 仕事で渥美半島のキャベツ畑へ行って来た。朝早く起きて畑にたどり着き、潜入。「常春」と言われる渥美半島も今日はさすがに寒かった。キャベツの中にたまった水が凍っていた。

 そして、お約束なのだが伊良湖岬までドライブ。これじゃあ、仕事のついでにドライブしているのか、ドライブのついでに仕事をしたのか分からなくなってしまう。たぶん、後者だ。

 岬に向かって走っていると、前に白いNBが走っていた。ああ、やっぱりNBも精かんで格好いいなあ、としげしげと後ろ姿を眺めていると、見覚えのあるステッカーが張ってある。あの「ぢゃんきーステッカー」じゃないか!

 もし同じところで止まったら教祖さまの話でもして盛り上がろうと思ったのだが、途中でささっとお店に入っていったので声をかけられずじまい。ぢゃんきー分布図によると、2002/12/30現在、全国には167人のぢゃんきーが生息しており、うち愛知県内には24人。なんだかすっごい確率で後ろに付いてしまったことになる。

教祖さま

 伊良湖岬に来たからにはぜひ、その先端に立ってやろうと意気込んでいたのだが、ロードスターから降り立った途端、とっても冷たい風にさらされて一気に意気込みがしぼんでしまった。

 伊良湖岬から少し離れたところにはちょっとした小高い丘があり、ちょっとした駐車スペースがあったので車を止める。そこからまっすぐに延びた海岸線がなかなか美しかった。

 「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ…」という島崎藤村の「椰子の実」が流れ着いた浜として有名。小学生のとき、音楽の時間に歌った覚えがあるが、今の子どもは習うんだろうか。

 あまりにも生々しい詩なので、てっきり藤村が体験したことを詩にしたのかと思っていたのだが、柳田國男から聞いた話を元に書いたんだねえ。さすがに、そのイマジネーションは文豪と呼ばれるだけある。崖を少し下ったところに藤村の詩碑もあった。散歩道が整備されていて歩くと眺望も良くて気持ちよさそうだったのだが、やっぱり寒いからロードスターに逃げ帰った。

 途中、Freedomが暴走したのか、燃調が計測できないぐらい濃くなって前に進まない症状が出た。しばらくして直ったが、どこが悪いんだろう。

1月15日

 昨日買ったロードスター本。平井主査がロードスターを企画・設計するにあたり、骨となるコンセプトを書いたチャート図が載っている。

 その中に書いてある言葉のすべてがロードスターで実現されている。これは、コストだとか、安全だとか、居住性だとかのバランスを考えて、設計段階であれこれ綱引きをする現代のクルマづくりにとっては奇跡とも言えることなのかもしれない。

 キーワードを羅列する。

 「Hair in the wind(適度な風の巻き込み)」「ショートストロークで節度あるチェンジ」「軽量ボディ」「FRレイアウト」「ヒールアンドトゥに適したペダル配置」「クロスギアレシオ」「不快でないゴツゴツ感を残す」「Wウイッシュボーンサスの採用(前/後)」「フューエルリッド位置(Rフェンダー上面丸型)」「適度に狭いインテリア」「折り畳み式サンバイザー」「メーター特性 スピード オイルプレッシャー」「Simple
interior」「特定の回転域で(排気音が)こもることがない」「Non Spongy Brake」

 3分の2ぐらいを引用したが、初代NA6CEにはすべてが取り込まれている。やはり、「適度な風のまきこみ」「リニアな油圧計」「折り畳み式サンバイザ」「ゴツゴツ感」などなどは、演出されたものなのだ。マイナーチェンジごとにコストカットの名目でこうした「味」が失われて行くのは少し、寂しい。

 Non Spongy Brakeとは、踏んだ力に応じてがつんと効くブレーキの事だと思う。ブレーキを利かそうと思えば、それなりの力でペダルを踏む必要がある、ということだと思う。踏んだ力にリニアに利くブレーキだ。

 最近のブレーキは、倍力装置の容量が上げられて、ブレーキペダルを踏む力ではなく、ストロークで制動力が決まるようになっている。NA6CEに乗っている者が、NA8CやNBをちょこっと運転してみて不満に感じるのはこの点だ。前輪を前足、後輪を後ろ足のように感じるには、がつんと踏めるブレーキが大切だと思うのだが、これは時代遅れの考えなのだろうか。

1月14日

 さぼるために仕事場を抜け出して歩いて栄のマナハウスと丸善に行った。

 車雑誌コーナーで目についたのがVTECマガジン?だ。S2000のエンジンであるF20C型エンジンについて、チューン会社であるスプーンや戸田レーシングのエンジニアが語ったインタビューが載っていた。コンロッド、ピストン、クランクシャフトからヘッドボルトに至るまで、まさに9000回転という高回転を支える技術が注がれているんだなあ、と感心する。

 コンロッドはもちろん鍛造で、しかもコンロッドはナットレス。小端部にはなんとブッシュがない。浸炭処理という処理で表面を硬くしてあるから不要なんだろうか? バリと贅肉が多い、マツダB型エンジンとは比較にならなく美しい。ま、贅肉があるからターボで無茶できるのかもしれないけれど。ピストンももちろん鍛造。ピストン高も低くなっていてフリクションロスの低減が効いていそう。トップは比較的フラットでなだらかな形状。ショートストロークエンジンなのに圧縮比が11.7ということは、よっぽど吸排気ポートが立っていてコンパクトな燃焼室になっているんだろう。

 カムシャフトなんて中空になっていて、オイルラインになっているんだねえ。折れないのかな。カムのロッカーアームもほれぼれするほど精密にできている。直動式のB型エンジンには無縁な部品であるけれど。

 クランクの形も美しい。それを支えるシリンダーブロックは2分割のラダーフレーム。9000回転常用を受け止めるように、しっかり作り込んだ部品とその組み付けに他のエンジンと比べものにならないほどの精度が出ているらしい。いじり倒したら11000回転ぐらいまで回るのかなあ。

 思わずホンダ色満載のこの本を買おうかとも思ってしまったのだが、カムの作用角やリフトといったデータがあまり詳しく載っておらず、さらにシリンダーヘッドのポート形状も載っていない。要するに、コンロッドと燃焼室の写真ぐらいからしかエンジンづくりの参考になるものがなかったので、思いとどまった。すごすぎて、自分のエンジンづくりの参考になるものがあまりなかったということか。

 クルマ本コーナーに行くと、「マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語」という本が売っていたので思わず衝動買いしてしまう。初版が2003年1月15日になっているから、まだ発売直後らしい。三樹書房・2800円(税別)。184ページ。

マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語

 開発主査の平井敏彦氏をはじめ、基礎設計、車両設計、デザイン、シャシー、ソフトトップなどなど数々の開発担当者がそれぞれの機構、デザインに決定した経緯や意義付けを解説している。とってもマニアックだ。ちらちらと読んだだけだが、開発当時の熱意がひしひしと伝わってくる。いかに、お金を掛けないことを厳命されていたか、人が少なかったかがよく分かる。ホンダのイメージリーダーとして華々しくお金を掛けられたS2000(それにしては安く買えるけど)とは雲泥の差である。

 発売から14年もたってからこんなきっちりとした本が出てくるあたり、ロードスターがいかに偉大なクルマであるかを改めて認識する。こういう本は買いまくって出版社が儲かるようにしてあげましょう。

1月13日

 岡谷の車仲間の新居にて起床。起きると朝ご飯ができているこの幸せ。車仲間とあれこれ語らいながら、のんびりと過ごす朝の時間はなかなか贅沢なものである。

 のんびりと過ごしていたのだが、午後からは名古屋で仕事があった。1時ごろに名古屋市の県庁近くにたどり着き、路上駐車する。名古屋城の南側、三の丸周辺は土日、休日は路上駐車がOKなのだ。栄などの繁華街に繰り出す人たちのためのパークアンドライドという名目である。土日休日は栄周辺が駐車場空き待ちの車で大渋滞するので、それを緩和する目的であるらしい。

 ところが、みなさんただで駐車できることを知っているので、駐車可能地帯には車がずらりと並ぶ。目的地に近い場所をうろうろとするも、びっしりと車が並び、空いているのは交差点付近やバス停、消火栓がある場所しかない。

 うろうろ、と走っているうち、何とか止められそうなスペースを発見。ロードスターは小回りが利くから、全長より50センチちょっと余裕があれば問題なく縦列駐車できてしまう。さすがに5、6回は切り返しが必要になるが。

 ぎりぎりのスペースに駐車すると、縦列駐車というよりは、ぎりぎりのスペースに平行移動したようでおかしい。前がステップワゴン、後ろがパジェロであったので、まるっきりロードスターが隠れてしまう格好になる。

 仕事を済ませて、ロードスターを止めた場所に戻ると、前後の車は動いておらず、相変わらず異常なスペースに縦列駐車している。改めてみるとなかなかおかしい。

 さて、抜けだそうと、前後がどれだけ空いているかを確認して1、2回切り返していたら、突然おっちゃんが僕の車の方に何か声を掛け、運転席側にやってきた。最初は、前か後ろの車の持ち主で、あまりにも僕が強引に縦列駐車したから、怒ってしまったのかと勘違いして焦った。どうやら、偶然通りかかって、僕が極端に狭いスペースで切り返しているのを発見し、僕が駐車した後に前か後ろの車が車間距離なくぴっちり駐車して嫌がらせしてきた、と勘違いしたらしい。「ひどいなあ」と同情してくれたのだが、さすがに自分から好んでそのスペースに駐車したとは、前と後ろの車との間隔が30センチずつでは信じてもらえないだろうと思い、素直に「そうなんですよ」と答えておいた。

 おじちゃんとその奥さんに誘導してもらい、2、3回の切り返しで抜け出すことができた。親切してもらうととってもありがたく、うれしいのだが、好きこのんで狭い場所に駐車しただけであるから、心苦しかった。

 富山で空燃比計を取り付けてもらい、富山から岡谷、名古屋までの道中でFreedomに学習させながら走ってきた。空燃比計連動機能は素晴らしいと言うほか表現のしようがない。燃料噴射マップがぐちゃぐちゃにずれていようが、フィードバックによりかなり良い空燃比に誘導される上、自動的に学習してマップを書き換えているのだから。

 どうやら、FreedomのDジェトロだと、標高が上がると空燃比が薄くなるらしい。純正ECUとは逆のずれかたをする。きちんと外気圧補正をかけた方が良さそうなぐらいのずれ(空燃比で1ぐらい)がある。今の仕様でセッティングを取ってから、きちっと比べてみよう。

1月12日

 今日は、岡谷で車仲間の新築記念パーティーにお呼ばれした。どうせ長野に行くのなら、と富山を経由することにした。成長したら、世界最速になるであろう赤ちゃんをみるために。

 スタッドレスタイヤに付け替えて、東海北陸道を北上する。高速道路はきちんと除雪してあるから雪の心配はない。除雪して路肩にどけられた雪が解けだして路面が濡れていることさえ気を付ければ快適にドライブできる。 

 終点の清見インターで降り、古川に抜ける峠を走る。路面は圧雪がでこぼこになった最悪な状況。去年まで付けていた古いスタッドレスでは上がれないと思われるが、新しいスタッドレスを最近付けたばかり。まったく不安なく急坂を上っていく。

 国道41号から富山へ。さすが雪国だけあって、路肩にはうずたかく雪が積み上げられている。しかし、路面は湿っている程度なので快調に走ることができる。

 マニアックな話をしながら午前3時まで飲んでいた。缶ビール1ケースは飲んでしまった気がする。

 諏訪で昼ごろ集合する約束だった。ちょいと寝坊したので、国道41号、471号をぶっ飛ばす。途中から路面に雪が残っていたが、でたらめなスピードで駆け抜ける。安房トンネルを抜けたところで凍結路面になってとばせなくて残念。

 諏訪で集合し、霧ヶ峰に上る。やはり標高1000mを越えたあたりで、圧雪路面が現れ始めた。バネが硬くなってタイヤのグリップが上がったためか、昨年ほどは簡単に滑らせることができない(腕が落ちただけともいう)。

 そして3日連続の飲み会に突入してしまったのである。

1月10日

 爆発で髪の毛が焦げたからではないのだが、床屋へ行った。

 前に行ったのはまだ暑い時期だった覚えがあるから4カ月ぐらい放置していたことになる。生え放題生やして、頭が巨大になってしまった。横から見ると、ピッコロ大魔王みたいな形だったに違いない。オープンで走ると、前髪がばさばさと目にかかって邪魔である。耳と首が髪の毛で完全に隠れるぐらいである。

 11月ぐらいから鬱陶しかったのだが、1カ月以上にわたって風邪を引いていたので、切ることができなかった。せっかく風邪が治りかけたのに、髪の毛を処理しちゃったら、寒風が頭皮を直撃し、再び熱を出すに違いないから。

 仕事をさぼって行きつけの床屋へ。「好きで伸ばしているんじゃないからバッサリやって」とお願いしたら、ちょうどよいぐらいに処理してくれた。これでオープンで走ろうが、車の下に潜ろうが、髪の毛が邪魔になることはあるまい。

 でも、やっぱり頭皮が寒い。

1月9日

 昨日もヘッドの洗浄の続き。吸気ポートのカーボンがいまいちきれいにならないので、WAKOSの剥離剤を吹いて、カーボンを溶かそうと思った。

 さすがに、屋内でパーツクリーナーや剥離剤を吹くのはまずいと思い、玄関の外側に段ボールと新聞を敷いて、メタルクリーン溶液から取り出したヘッドの吸気ポートに剥離剤を吹く。暗いので、照明を付けた。夜中に玄関前を怪しく照明して、なにやら作業をしているので、隣近所は不審に思ったに違いない。

 スプレーの出が悪い。外は零度近いのでスプレーのガス圧が弱くなってしまうからか。

 足はサンダル履きだし、寒かったので、玄関においてあるストーブを表に出して火を付け、スプレー缶をしばらく温める。手で触っても冷たくない程度に温めて吹いたら、勢いよく剥離剤が飛び出してきた。吸気ポートにこびりついたカーボンがどろどろと浮き上がって燃焼室側に流れ出す。なかなか強力である。

 ところが、この剥離剤を落とすのがまた大変な作業なのだ。どろどろとした粘液なので、パーツクリーナーの一吹きではなかなか落ちない。念入りに、シューシューと吹きまくる。ポートに指を突っ込んで、こすりながらパーツクリーナーをスプレーする。気化熱を奪われ、指はとっても冷たい。パーツクリーナー自体も吹いているうちに缶が冷えて出が悪くなるので、ストーブで温めながら作業する。

 しゅしゅしゅっとしつこく吹く。しゅしゅしゅしゅっと吹きまくる。剥離剤は燃焼室側に流れ出し排気ポートに侵入して、なんだか最初より汚くなってしまった感じ。しゅしゅしゅっと吹く。中腰になって地面においてあるヘッドに吹いて吹いて吹きまくる………。

 背後においてあるストーブからぽぽっと音がした。次の瞬間…、、、

ぽぽっ

 

 ばん、ぼわーわわわっ

ばん、ぼわーわわわっ

 

と、足下が青い光で包まれた! 足を包むように熱気が立ち上ってくる! 次の瞬間、目の前が真っ赤になり、「あぢぇ」という訳の分からない言葉をはき出しながらジャンプして体にまつわりついてきたから逃れる。サンダルがどこかへ吹っ飛んだ。

青い光で包まれた青い光熱気真っ赤あぢぇ

 新聞紙にしみこんだパーツクリーナーが勢いよく燃えて、ヘッドを包み込むように1メートルぐらいの火柱が上がっている。ヘッドが火を噴いているみたいできれいだな、と訳の分からないことを考えながら呆然としていると、今度は黒い煙が立ち上り始めた。同時にものが焼ける嫌なにおいも立ち上る。

 いかん、玄関が燃えてしまうとわれに返り、まずストーブを消す。慌てて手を離したパーツクリーナーの缶も炎のすぐ隣にある。剥離剤の缶とともに、火から引き離す。周りにあるプラスチック類もとりあえずわきにどける。

 すでに、火は新聞紙と段ボールに広がり、なかなかの勢いで燃えていた。とりあえず、しばらく炎に包まれるヘッドを眺めていた。なかなかいい絵だ。

 待っていても火は消えそうにない。ふと炎の魅力に奪われかけた心を取り戻し、まず水だ、と、バケツに水をくんできてぶっかけてようやく火は消えた。

 白く水蒸気を上げるヘッドを眺めながら、嗅覚を直撃するのは火事場そのもののにおいだ。松本で何回か火事現場に行ったときのことが懐かしく思い出される。すべてのものが燃え尽くした火事場に行ったとき、無力感とともに嫌というほどかがされたにおい。

 屋外だったら爆発はしないと思っていたのだが、ちょっと火との距離が近すぎたみたい。さすがに、「玄関でたき火しちゃった!」などと家族をごまかすこともできそうにないので、ゴミ袋を持ってきて燃えた新聞や段ボール、ちらばった真っ黒な灰をかき集めて、ちゃちゃっと証拠隠滅を図る。玄関先で爆発したことを知られたら、エンジンを捨てられちゃうかもしれない。

 着ていたセーターには火事場のにおいがこびりついて、いつまでたっても火事場臭がただよう。風呂に入っても火事場臭がするのは、髪の毛に染みついたからか。湯船につかっていると、焦げてちりぢりになった髪の毛がお湯に浮かんでいて驚いた。どうも、瞬間的に炎に包まれたみたい。

 炎に包まれるヘッドをデジカメで撮っておけば良かった。