日常

2月17日

 間瀬サーキットの耐久レース・クーマックカップを走った雅久号は最初、アンダーコートは手を着けなかった。ナンバー付きだったこともあるし、始まったころは「ノーマルで参加できるレース」という触れ込みだったから、雅久号にもナンバーを取って、自走でサーキットまで走っていた。早朝にサーキットに到着すると「儀式」として、ジャッキアップして触媒をストレートパイプに交換していた。そうしなければならなかったから、当たり前のようにしていた。

 その仕様のままでも良かったのだが、ともに参戦していたシビックがとっても速かった! 予選では1秒半ぐらい引き離されていて、絶望的な差があった。それでも何とかレースになったのは、ロードスターが安定してタイムを刻めたことだ。前後、ローテーションが必要がないほど均一にタイヤが減ったし、スタート直後からゴールまでほとんどタイムが同じだった。

 とはいえ、あるとき、バージョンアップしていかないと、勝負にならない感じになってきた。ということで、やったことといえば軽量化だ。トランクに積んだバッテリーをエンジンルームに移設してハーネスを間引いたり、内装もクラッシュパッドは残してあとは裏側を削ったりして限界まで軽くした。細かいステーなども切り取ってちまちまと軽量化。

 で、アンダーコートもはがしたのだけれど、たぶん、それで一桁キロぐらいしか軽くはならなかったと思う。少しでも速くしたければ、通過儀礼的にやるしかないのだけれど、労力と得られたタイムが比例はしない世界ではある。

 日曜日に作業していて、雅久号での試行錯誤を思い出した。で、何が書きたかったというと、最近、おなか周りを中心に自分自身の軽量化が進んだ。間瀬を走っているときに軽くなっていれば、明らかにタイムが変わるぐらいに。

 数キロであんなに苦労したのに、なんということだ!

2月16日

土曜日から富山入りして、おおとろ亭にてビールを大量摂取し、意識を失う。独身のときは当たり前だった振る舞いも、子どもができて土日はたいてい、用事をこなすようになると、とても贅沢な時間だ。

日曜日は朝から工場へ。何をする、というわけでもないので、とりあえず、一宿一飯の恩義を体で返そうと、カーベキューになったNA6CEのアンダーコートはがしをば。

いわゆるカーベキューになって、工場に鎮座したNA6CEのシャシーさま。防錆や防音のためにフロアーに塗られたコーキング類を、スクレーパーなどを使ってちまちまはがしていくのだ。

雅久号のアンダーコートをはがした当時(今から6、7年前?)はカーベキューセットがなかったので、フロア下に潜って腕を上げて削りまくっていた。削ったかすがぼろぼろ落ちるし、腕はだるいしで、とても大変だった覚えがある。カーベキューはリフトに載せて下からのぞき込んでいた部分を目の前にすることができるので、新鮮な光景だ。ロードスターの下っ腹が見られる場所といったら、間瀬サーキットのZコー
%&'(‘&TR$%&Y、、、。

カーベキューになったら、確かに楽にはなるのだが、その分、徹底的な作業をしないといけない気分になるので、良し悪しのところはあるかもしれない。アンダーコートは冷えているとかちかちに固まっているので、巨大な電気ストーブ(さすが板金もできるショップだ!)で、あぶりながらの作業となる。ボディの裏側からあぶっているとはいえ、強烈な熱源の前で作業をしているので、なんだか自分がバーベキューの肉になって調理されている気分になる。

リアのタイヤハウスの中の作業をしていたのだが、曲面なのでとってもやりづらい。お客さんの車でもあるので、下地の塗装をなるべく傷つけないようにちまちま進める。自分の車だと「後から塗ればいいや」とがんがん削っていくところなのだけれど。

最初の1、2時間は少し作業してはため息をついて、だらだらしながらやっていたが、午後になると、考えるのも疲れたのか、もくもくと作業が進む。とはいえ、目に見えて進んでいくわけではなく、ちまちまと。朝9時から夕方4時までやったころには、手の握力がなくなっていた。

鉄板むき出しにするのでかまわなければ、薬品でも使って一気に進めるのだけれど、防錆に有効なので、電着塗装は残す。そのためにちまちま。いちおう、仕事として引き受けた作業の一環なのだけれど、真っ当な費用は請求しづらいみたい。フルレストアの車がん百万というのは、それなりの理由があるってことですね。ロードスターもそのうち、そういう市場ができるのかも。

2月9日

 みなさん、あけましておめでとうございます。おはこんばちは。

 2012年10月から実に3年4カ月ぶりにここを書く。もう、だれも見ていないだろうなあ。2000年前後からホームページを持って発信していた個人は、今では多くの人がTwitterやFacebook、みんからなどのSNSを中心に情報を発信していますね。トップページに貼り付けているように、僕もTwitterアカウントを持っていますが、そんなに発信していません。140字でというと、まとまったことが発信できないからかな。しっくり来ません。

 @Niftyから「@homepageサービス終了のお知らせ」とメールが来た。ついにホームページサービス終了か!と思ったら、@niftyが持つ同種のサービスへ統合する、という感じだった。URLが変わってしまうので、サービス終了と同じことだけれど、とりあえず追加料金がかからずホームページサービスが利用できるようなので、移行しました。旧URLの表紙はリンクを切りましたが、コンテンツはそのまま残っているので、Googleにもしばらく引っかかるでしょう。まだFreedomについて検索で飛んでくる人っているのかな?

 過去の日記を読み返してみると懐かしいので、今後も時間があったらここをちょくちょく書いていこうと思います。発信したい、というよりは備忘録だなあ。この3月で40になるのだけれど、最近、昔の記憶がけっこうあやふやになってきた。人間、やはり書き留めておかないと、過ごした時間の保存は脳みそだけでは難しいらしい。若いころは、仕事のアポイントなどはだいたい頭に入っていて、メモっておく必要がなかったのだけれど、最近はさすがにやばくなってきた。仕事に支障が出るといけないので、きちんとiPhoneのスケジュール帳に詳しく書き留めることにしている。仕事上で思い浮かんだアイデア、ちょっとしたtodoなども、昔はすべて頭に入っていたのだけれど、最近特に忘れっぽい。スマホにEvernoteがあれば支障がない、と思っていたのだけれど、振り返りにはやはり手でメモを書くことがいちばん、と思い直し、ちょっと豪華なノート(モレスキン)をもらったので、それに何でも書き込むことにした。自分の仕事の流れをちょっとずつ変えて、外部の記憶装置に頼っていこう。今までよりも、生産性は上がると思う。

 2010年から今日までを振り返ると、富山からもともとの拠点の名古屋に戻り、富山の人と結婚をして、2014年2月に子どもができた。異動は2回あったのだけれど、2013年8月に会社内の隣の部署、5メートルの距離に移り、昨年8月にまた元の部署に戻ってきた。5年の間の異動距離は10メートル。名古屋から松本とか、富山から名古屋とか、そういう異動は最近はありません。

 ロードスターは相変わらず2台体制。もともと乗っていた92年式NA6CE Vスペシャルに、サーキット用でナンバーがない91年式NA6CE Vスペシャル(笑)の雅久号。どちらも緑。自分では普通のことだけれど、改めて書いてみると、ほかの人は普通じゃないって思うんだろうなあ。雅久号は年に数回の出番って感じで、いちおう、オイルなどの簡単なメンテナンスをすればいつでも出動が可能。もともと乗っていたナンバー付きは、実家に置きっぱなしになっていて、あまり乗っていない。塗装が劣化して、幌のビニールスクリーンが焼けて真っ茶色になり、ウッドのステアリング、シフトノブもそれなりに汚くなってきて、もうぼろぼろ。NDもいいなあ、と思うけれど、お金がないし、NA6CEに愛着があるので、しばらく乗ろうと思っている。

 最近のトピックとしては、名古屋市内に土地を買って家を建てようとしているところ。残念ながら、家付きガレージではなく、ロードスターは露天駐車が決定している。カーポートも厳しい感じの土地だから。奥まったところにある旗竿地で、旗竿部分は幅2.3メートルの長さ11メートルほど。今乗っているフォルクスワーゲンのUP!やロードスターならちょっと狭いけれど止められる。

 僕が富山から拉致ってきたため、富山に家を建てて帰ることが密かな野望だった奥さんが「ここなら名古屋で家を建ててもいい」と土地を探してきた。建築家の友人に相談すると「ぜひ、買っておけ」というので、即買い。花屋の奥さんのコンセプトとしては、お花の作業ができる土間があって、いろんな人が集う場所にしたいそうだ。だいぶ変わった感じの家になりそう。

 2001年2月にホームページを作ってみたときに書いた「日常」から引用する。「このページを作る目的は、完全に自己満足のため。この文章だって、永久にだれも読まないかもしれない。それでも、他人に読まれる可能性のある場所に向けて書く、ということだけで満足なのだ」。これは、今も変わっていない。

2月24日

 酔っぱらって失敗しちゃった。

 富山のロードスタークラブの方々が白馬に泊まりがけでスキーに来る、と知ったので、同じ県内に来るのだから、行かねばならぬだろう、と1人、勝手に納得して仕事を終えて夜、ペンションでの飲み会に合流することにした。

 土曜日は仕事。ちゃちゃっと片付けたかったのだが手こずってしまった。大町での仕事だったのが幸いして、午後9時すぎ、ジムニーでペンションに乗り付けた。

 仕事のついでに飲み会に寄った形。夕食も終わり、風呂も入ってのんびりとみなさんでトランプをやっている和やかな場に、スーツ姿の怪しい男が乱入したのだからさぞ気分が悪かったに違いない。

 飲んだ。ビールを数本。それに手ぶらではいけないと、買っていったワイン「CARLO ROSSI」を何杯も。3リットルびんだから、いくら飲んでも減っていかない。

 壊れた。かなり崩壊していたらしく、翌朝みなさんに心配された。「面白かったから良かったけどな」と、励まされているんだか誉められているんだか分からない言葉をかけていただいた。大変迷惑をかけた。どんな風に壊れちゃったかは言うまい。

 朝からまたビール。前日からの人格全壊状態が維持される。多くの人はスキーへいったのだが、4人宿に残ってずっと何をすることもなく座って、飲んでいた。風呂へ行った。仕事帰りだから着替えを持っているわけもなく、営業に疲れた会社員がリフレッシュに来たような雰囲気で公衆浴場に乱入する。

 そして宿に戻り、何をすることもなく、仲間と語って飲む。なかなかいい時間の過ごし方である。人格さえ崩壊していなければ。

 お昼、スキーをやっていた人たちが戻ってきた。「ちびっこゲレンデ」にある、チュービングという遊びをやりに行くというので付いていった。大きなタイヤのチューブのようなものの上に乗って滑る遊びである。ちゃんと専用リフトがある。

 スーツにネクタイ、革靴姿でずかずかとゲレンデに押し入っていった。すれ違う人がみな「えっ」という表情をする。あなた、それは間違っていますよ、という表情。何を営業に来ているんですか?と思われても仕方がないような異様さである。派手なウエアと黒スーツ。レジャーと営業中。

 ほろ酔い気分なので、人の視線がかえって気持ちいいくらいである。2人がやることになり、大人用の大きなチューブに乗ってリフトで上に上がっていく。そして勢いを付けて滑り降りてくる。なかなかのスピードで、音もレーシー。

 これはやるしかあるまい、と僕の格好を見て怪訝そうな顔をした係員に、スーツですけどやります、と間抜けなことを言って、料金の100円を無理矢理渡す。

 リフト係のお姉さんは冷たい目で「濡れてますよ」。チューブが水で濡れていようが、お構いなし、大丈夫、と大きな声でお姉さんを安心させて、どっかと座り、リフトで斜面を上がる。スキーリフトの真下にちびっこゲレンデがあったので、どうやらリフトの人がすべて僕の方を見ていたらしい。ある人の証言によると、リフトに乗った人の視線の先に僕の姿があったようである。スーツ姿を見たときはかなり笑ったらしい。

 大の大人3人がちびっこゲレンデにチューブを持って立つだけでも異様な光景なのに1人は黒スーツ姿。もちろん、車仲間なのだから、レースなのである。どりゃ、と気合を入れて頭から突っ込み、腹這いでチューブの上にしがみついて滑っていった。

 タイミングが悪くてスタートを失敗。致命的な遅れを取ってしまった。しかし、足でばたばたと斜面を蹴るわけにも行かず、ただ重力に任せて滑るしかないのである。前の人を抜こうにも、なにもできない。

 速い。地面が顔のすぐそばだから、体感は時速120キロ。うお、と変な声を出しながらあっという間に滑り降りた。結局、そのまま同じ距離を保ったままゴール。ビリ。

 3人が団子になって滑っていけば、下りきったところで衝突事故が発生するに決まっている。案の定もみくちゃになってメガネのフレームが少し曲がった。

 飲み過ぎて頭が痛い。失敗して頭が痛い。

2月23日

 今日は、珍しいことに仕事がちと忙しい。なぜかといえば、夜に白馬で宴会があるから早めに切り上げたい、ただそれだけのためだけなんだけれど。

 白馬は先日も大雪が降ったから、路肩にはたぶん2メートル以上の雪があるに違いない。仕方なく、ジムニーで出動である。

2月22日

 信州大の某教授が「アクティブトレーサー」という機械を開発した。

 万歩計を恐ろしく正確にしたと思えばいいかもしれない。大きさもポケベル程度で、XYZ3軸の加速度を正確に記録する。人間の腰に付けた場合、立った、歩いた走った、こけた、という動きが加速度として記録されていく。手で持って、少し振った程度でちゃんと反応するからかなり細かな動きも記録する。データはUSBを使ってパソコンに入力できるようになっている。

 この加速度の数値と体重が分かれば、消費したカロリーが正確に分かる。万歩計では走っても歩いていても、歩数しか出ないからどれだけの強度の運動をしたのかは分からない。アクティブトレーサーの場合は、加速度として記録しているから、とっても正確に消費カロリーが分かるのだ。

 この先生はスポーツ科学が専門。これを何に使っているかというと、お年寄りがどれだけ強さの運動をどれだけの量したら、健康を維持していられるか、ということを探るためだ。昔成人病と呼んでいた生活習慣病は、多くの場合、運動不足が原因という。だから、例えば高血圧で悩んでいる人が病院に来た場合、薬を渡すのではなく「あなたみたいな人が1カ月これぐらいの運動をしたら、血圧がこれぐらい下がります」と運動を処方するのだ。現在、実際に中高年の人を対象に健康教室を開いて、データを蓄積し始めたところ。

 このデータをグラフにしてのぞいてみると恐ろしいのだ。月単位で見れば、ある人が最初、どれだけ意気込んで運動をやり始め、時がたつにつれてだんだんさぼって運動しなくなり、けれどもデータを回収する直前はやはり運動をしないのも何だからと再び運動を始めた、というような様子が克明に分かる。さらに、もっと恐ろしいのが1日単位の動き。スイッチを切り忘れたらしい主婦の、運動をしていない間の動きも克明に記録されていた。ウオーキングから帰り、しばらく何やら家事ぐらいの強さの運動をやり、夕方になって、どうやら夕食の支度。その後、片付けて寝るに至るまでが、だいたい分かる。

 自分に付けられちゃった時を想像するととっても怖い。仕事していないのが一発でばれる。午後1時から3時までまったく動きがなければ、それは昼飯を喰らった後に、少し長めの昼寝をしたに違いない、ということが分かるのみならず、寝返りが多いから落ち着いて寝られなかったんだな、ということまで、詳しく分析すれば分かってきてしまうのだ。スポーツ選手だと劇的。ゲームの中でどれだけ動いていたか、さぼっていたかが露骨に分かる。これは、怖い。

 何でこんな装置を紹介したかと言えば、先生から話を聞きながら、車に積めば面白そう、と思ったからだ。車重を測っておき、回転数などのデータと合わせて計算すれば、エンジンの馬力が正確に分かる。サーキットに持ち込めば、どこどこのコーナーでアンダーだしちゃったとか、このドライバーとあのドライバーであのコーナーの攻め方がこんなに違う、だとかが分かりそう。あれこれ考えるだけでいろいろな使い方が浮かんでくる。

 ちなみに、加速度を測るセンサーは自動車用ABSのものだという。ロックしたかどうかを検知するセンサーがこんな使われ方をするとは。

 まだまだ試験段階だから、装置は1つ5万円。さらに、わけてほしい、と言って買える物ではないのが残念。

2月17日

 昨日から霧ヶ峰のヒュッテに泊まり込みの飲み会に行っていた。携帯電話の電波も入らない。日常からまったく切り離された冬の高原で、オープン乗りの仲間たちと過ごす時間は、なかなか簡単には得られない、貴重なものである。

 1升びんに入った白ワインと、もう2本のワイン。買っていったバーボンの4分の3を6人で飲んだ。他のお酒もあったかも知れないが、飲んでいないから分からない。いや、飲んだけれど覚えていないだけか。酒飲みなら、細かいことを気にしてはいけない。

 寒冷地ならではと、屋根からぶら下がったつららで、バーボンのロック。30センチぐらいあるつららをグラスに入れて、無理矢理飲む。つららがおでこに当たって冷たい。

 「グラスに残っていた水が白く濁っていたよ。大丈夫」と今朝、ヒュッテのお姉さん。オープン乗りなら細かいことを気にしてはいけない。

 昨日いじったバルタイが気に入らなかったので、1500mの高原で、白い息を吐きながら、調整した。クロカンスキーに興じる人たちと、バルタイ調整に興じる車野郎。実に自然な取り合わせである。ヘッドカバーにおびただしく雪が付いて、カムに水滴が大量にかかった。素人がエンジンをいじるなら、細かいことを気にしてはいけない。

 書庫を見てみると、「日常」が始まったのは、どうやら1年前の今日である。サイトらしいものを作ってアップしてから、今日で1年になるらしい。当時、1年後に新エンジンのバルタイを気にしているだなんて、夢にも思わなかった。というか、そこまでの知識すらなかった。

 こうして、順調にいじられるのも、ここをのぞいてくださり、声をかけたり、知識を分けたりしてくださる、みなさんのおかげ。直接は見えないけれど、目線を感じていると、ハードに車をいじるパワーがもらえる。

 今後も監視してください。

2月14日

 松本も本格的に冷えて、ようやく冬がちゃんと来たという感じ。今朝の最低気温は−8度だったそうで、明日の朝も同じ気温という予報になっている。高気圧が西から移動してきて、北海道あたりにある寒気を追い出すそうだから、この寒さもすぐ収まりそう。そろそろ、真冬が去りつつある。

 しかし、この冬はあまり冷えなかった。先ほど帰ってきて、ファンヒーターのスイッチを入れたら「2」と表示された。室温が2度はある。普通、冬の間には「Lo」という表示を見る。数字としては「1」まで表示されるから、「Lo」はそれ以下、すなわち、部屋の中が氷点下であることを示している。今年はそれがない。室温がプラスなんて、幸せなことだ。

 松本がなぜ寒いのか、というと、気温は大して下がらないのだけれど、建物の造りが平地とあまり変わらないから。名古屋あたりの住宅と同じような造りだから、思いっきり寒い。北海道に住んだことのある後輩に聞くと、北海道では外に出ると厳しく寒いが、室内は密閉構造でじゃんじゃん暖房しているから半袖で十分だという。松本だと、廊下を歩くだけで、足が床にひっつくんじゃないか、と思うくらい冷たい。

 当然、水道は凍る。凍っても大丈夫なように、水道は毎晩、水抜きをするのだが、ずぼらなのでやっていない。例年、凍って数日間は出ないこともあるのだけれど、今年はない。例年はうっかりしていて、帰宅したらトイレの配管が破裂していたり、湯沸かし器から水が噴いたりして、家の中が水浸しになったものだけれど。

 それでも気が付いたときには、流し台の蛇口からぽたりぽたりと水を出しておくこともある。去年か一昨年、そのぽたりぽたりと落として置いた水が、出ていないのでびっくりしたことがある。凍らないように出して置いたのに、鍾乳石のように下から凍って「逆つらら」が出来上がっていたのである。

 今年は寒くない。しかし、世の中の男性が、温かい気分になっているこの日、独り凍てついた家に帰ってきて、こんな話を書いている僕は、とっても寒い。

2月10日

 お金にならない作業がたくさん舞い込んで、なぜか忙しい。午前零時に依頼が舞い込んで、「今日中に」と言われたんじゃ、かなわない。いくら24時間の猶予があるといっても、昼は仕事しなくちゃならぬ。仕方なく、朝までこたつに座椅子で作業していたら、いつの間にか気を失い、気が付いたらやばい時間だった。

 急いで着替えて、ジムニーでは間に合わないので、ロードスターに乗って出掛ける。暖機中は踏まないのでもどかしい。気温が−3度だったからなかなか暖まらない。なんとか、ぎりぎりで間に合った。

 暗くなってから、仕事をさぼってロードスターを洗車する。融雪剤で白くなったままだと精神安定上、よろしくない。洗車場で水をぶっかけて、下回りを念入りに。

 水滴を拭こうかな、とプラスチックセームの布を当てたら、半分ぐらいがすでに凍っていた。寒い。