ドライブ

4月25日

 家族と能登半島へのほほんとした旅行に出かけておりました。

 一番下っ端の僕は、もちろんドライブ係。おやじのクラウンを数百キロ運転した。

 異常に楽ちんです。なんの抵抗もないステアリングに、ちょんと踏んだだけでかくんと利くブレーキ(コントロールしづらい)、硬いボディで、なにも考えずに運転ができる。目的地に行くことだけが目的なら、こんないい車はないかも。

 でも、僕は目的地に行くことよりも、移動することが目的だったりするから、あと30年ぐらいたたないとこんな車はいらないかも。手応えのあるステアリングと、かっちりしたブレーキで、軽い緊張感とともに思い描いたラインを好みのペースで走っていたいのだ。

4月10日

 S2000の話。この車、僕にとっては危険すぎる。僕が欲しいのは、公道でドライブして気持ちいい車。S2000で「気持ちよく」走ろうとすると、時速150キロからのフルブレーキとか、そういう世界になっちゃう。かといって、高回転を維持しないと、おもしろさが半減する。だってエンジンが「もっと回せ」って要求するんだもん。そんな領域のコントロールなんて僕にはできない。ドリフトさえしたことないのに。目標エンジンスペックがあって、それを受け止める車体をつくっていったのかな?

 重量の問題も大きいかも。S2000は1250Kg(カーナビ付で)。確かにハンドリングはクイックだけれど、ロードスターの身軽さとは別の感覚な気がした。S2000は、全開で走っていないと、乗用車に乗っている感覚。 ロードスターだと、3000〜6000回転をキープして、リズミカルにシフトするのが楽しい。S2000はやっぱり、いかに速く走るか、ということが中心に造られている。まじめ丸刈りのスポーツマンのような体育会系イメージ。

 ロードスターのイメージはパンクロッカー。リズムは荒削りで、速くはないのだけれど、どんな速度領域でも、車と語り合う感じ。コーナーが楽しい。

 じゃあ、1600ccぐらいの素晴らしく回るエンジンに、1トンを切るボディ、すべて専用設計のサスペンション(ダブルウイッシュボーン)を組み合わせたFR車(できればオープン)がホンダから出てきたら? 下手したら買います。

 一言申し添えておくと、ロードスターは決して卑屈になるくらい遅くはないと思う。交差点からのフル加速に付いていったけれど(1速8000回転まで回して)、思ったより離されなかった(一応吸排気系とROMチューンをしてある。ノーマルでは苦しいかも)。それに、公道で出せるスピードは限られている。まあ、サーキットでの全開勝負は、相手にならないけれど。

 ロードスターを持っているからどうしてもひいきしちゃうけれど、S2000、めちゃくちゃいい車です。それは前提の話。

4月6日

 富山で仲間が集まるというので、ロードスターで行って来る。今シーズン初の本格的なドライブで楽しみ。安房トンネルで岐阜に抜け、神岡を通って富山に行く予定。途中、面白そうな道があったら、寄り道していこう。雨が降らなければ、オープン。下界に下りて行くにつれ、桜がだんだんと咲いていく様子を楽しむとしよう。

4月2日

 仕事をさぼって夕方、ロードスターでいつもの山道に走りに行った。夏タイヤで今シーズン初のスポーツ走行。重ステ化にしてから初のスポーツ走行でもある。

 路面は雪が解けて濡れている部分が若干あるものの、凍ってもなし、おおむね良好であった。久しぶりに、アクセルとブレーキをフルに使って走ることができたのだ。

 何と言っても、ステアリングインフォメーションが素晴らしい。スポーツ走行したら、重すぎてコントロールが甘くなるんじゃ、という危惧もあったが、全開で走っているときは、気合が入って体中が力んで堅くなっているから、あまり気にならなかった。それよりも、路面と、タイヤの状況がステアリングからダイレクトに伝わり、車がどういう状況にあるのかが、リアルタイムで分かる。重ステ化のスポーツ走行は、とても幸せな気分になれます。

 少しオーバースピード気味でコーナリングすると、途中でステアリングが軽くなってアンダーステアが出ているのかな、とか、コーナー中にステアリングを切ったら、すっと軽くなると、切りすぎかな、など、車の挙動が目や腰よりも先に腕に伝わって、一瞬早い対応ができる気がする。まあ、運転がうまいわけでもないから、車の挙動が分かりやすくなったなんて、実は大きな勘違いで、ただ自己満足しているだけなのかもしれないけれど。だとしても、十分楽しいです。

 タイヤの踏ん張りはそのまま腕に伝わるから、コーナースピードを上げれば上げるほどハンドルが重くなる。だから、どれだけの気合で走るのかは、そのままどれだけの力でステアリングを切るか、になる。まさに人馬一体という感じで、操縦してやっているのだ、という充実感が味わえる。

 これが、重い車だと、こうは行かない。ハンドルが重すぎて満足な運転ができないに違いない。やはり、車は軽いに限る。

 ロードスターってやっぱり素敵。

3月15日

明日の朝の最低気温は−4度らしい。昼は10度ぐらいまで上がるようになって、かなり春めいてきたのだけれど、寒波が来ればまだまだ雪が降る可能性が残る。

去年はこの時期、ひどい目にあった覚えがある。

3月上旬に、スタッドレスタイヤから夏タイヤに換えた。松本は寒いわりには雪が少なく、スタッドレスタイヤはあまり必要がない。しかし、高速道路の「チェーン規制」だけは逃れようがないのでこの年、初めてロードスターにスタッドレスタイヤを装着した。

それを去年の今ごろ、夏タイヤに戻した。夏タイヤのホイールは、ブレーキかすや油汚れでどろどろだったので、仕事が終わった午後11時すぎから洗った覚えがある。夜の気温は氷点下。雪もちらついていたと思う。そんな中、1人軒先にしゃがみ込んで、ごしごし洗っている姿は不気味だったかもしれない。1本あたり30分ぐらいかけて洗った。ぴかぴかになってうれしかったので、翌日に装着した。しかし、すべての失敗はここに始まったのである。

忘れもしない、ちょうど1年前、名古屋から松本へ帰ろうと、高速道路に向かう途中に目に入ったのは、電光掲示板にこうこうと光る「雪チェーン規制」の文字。駒ヶ根から先は雪が降っているらしい。チェーンなどつけるのはまっぴらだったので、高速を降りる。下道ならなんとかこのまま行けるだろう、となめていた。しかし、路面は圧雪。当時のFM901はまったくグリップしない。アクセルをほんのちょっと踏んだだけで、お尻を振る。ハンドルとは違う方向に車が進む。万策尽きて、吹雪のような雪の中、びしょびしょになりながら、インター入り口で初めてロードスターにチェーンを着けた。

松本に帰ったとき頬が濡れていたのは、雪で濡れたまま乾かなかったためではなかった。