ドライブ

12月12日

 東京出張から帰ってきた仕事場の人が、物欲しそうな顔して立っているのでピンと来た。「いつものショットバー行きたいんでしょ」と言うと、「うん、行こう」。外はとても寒かったので、近くの居酒屋で熱燗を2つ。ぽかぽかしたところで、歩いてショットバーへ。ちなみに今朝の最低気温は−6度である。

 金曜日以来だったが、「久しぶり」とマスター。ビールに半分以上がアルコールのいつものバーボンをストレートで飲みながら、語らう。気がついたら午前2時。

 今日は仕事で麻績村という山あいの村へ行った。長野道のインターもあるのだが、松本から1区間だから馬鹿馬鹿しい。ジムニーをかっ飛ばす。

 ロードスターに乗れなくなって、そろそろ1カ月になってしまう。ちょっとストレスがたまっていたので、ジムニーで発散する。

 松本市の北、四賀村から本城村へ抜ける道は、なかなか面白い道なのである。ここでROMのセッティングをしたこともある。550ccOHC・インタークーラーターボエンジンF5Aがうなりを上げる。

 2速でレブリミッターに当たる7000回転まできっちり回して、猛ダッシュ。かなりの上り坂だが3速に入れても、まだ回転が上がっていく。タコメーターがレッドゾーンに飛び込んだところで、タイトな右コーナーにさしかかった! 車格のわりには良く利くかっくんブレーキを踏み込み、かかとでアクセルをあおるものの、失敗した。だって、アクセルとブレーキの位置がどう考えても、そんな操作を前提としていない。足を90度近く横倒しにしないと、かかとがアクセルに届かないの。体全体が傾きます。とにかく、2速にたたき込んだ。

 少々減速しすぎたものの、タイトコーナーである。車幅より高い全高とオフロードを前提とした柔らかなリーフスプリングに支えられたサスペンションのため、ものすごいロールだ。タイヤが滑る前に横転間違いない。体は水平を保とうとするため、窓ガラスが迫ってくる錯覚を受ける。

 倒れるか倒れないかのスリルを味わいながらクリップに付き、アクセルを踏み込む。2速7000回転で数回レブリミットに当たりながらも、速度を維持。内側の後輪が若干空転する感覚が伝わってくる。こう書くと、ものすごいスピードのコーナーリングで、緊張感にあふれているように思えるが、時速40キロでの攻防である。回転を落としたら加速しないんだもの。

 下りにさしかかり、4速からのフルブレーキング! 3速全開の高速コーナーをクリアする。3速全開でも60キロちょっとです。

 極めて安全にスポーティーな走りができる車なのであった。軽トラなんて目じゃないぜ。

12月2日

 早い時間に撃沈したはずなのに、朝10時ぐらいまで、虐殺されたかのごとく、うんともすんとも言わない人間が部屋に転がっていた。みんなでのろのろと起き出して、食器を片付ける。鍋は片付けが楽でよろしい。

 なぜかあったポップコーンの素を炒ってはじけさせる。缶コーヒーを買ってきてもらい、それが朝食。

 廃人状態からなかなか立ち直れない人のNB2を貸してもらえることになった。我がロードスターを不動車にしてから、2週間。そろそろ禁断症状が出てきたので、好意に甘えて3台でドライブに行くことにした。廃人は捨ておく。

 シートに座った感じは、やはり同じロードスター。クラッチを踏んで、セルを回すと、ロータリーエンジンのような起動音。BPはかかりが悪い?

 ギア比が違うのに少しとまどったものの、剛性の違いが感動的。ビルシュタインの足回りは乗り心地がよい。開幌状態でいつもの山道へ行き、いきなりの7500回転。フラットトルクでモーターのように回転が上がっていく。我がB6では、7000回転を超えると、怪しげな音と振動が発生するのだが、排気音も静かで、心地よいノイズである。ヘアピンカーブで、ブレーキを踏むと、踏みごたえがあまりないのに、がん、と利く。軽く踏んでいるのに、我がロードスターなら、フルブレーキぐらいの領域の減速だった。もう少し、ダイレクトな方が好きかな。

 6速ミッションはいつもの山道にぴったり合って、なかなかリズム良く走ることができる。ノーマルタイヤはリアが滑る感じが、よく分かって、あまり緊張しない。ちょっと飛ばすと、ぎゃあぎゃあうるさいぎゅーんとは大違い。

 ああ、楽しいと調子に乗って走っていたら、やはりブレーキには負担が掛かっていたみたい。車を降りると、カチカチという音とともにブレーキが焼けたにおいがした(持ち主の某氏ごめんなさい!)。

 美ヶ原に向かって登る。標高1900mの武石峠の先で、路面が氷結していた。ロードスターだと、スタッドレスタイヤを履いていてもつらい路面。仕方なく引き返した。気温は氷点下だったらしい。

 仲間と別れて、夕方からエンジン製作。バルブリセスを仕上げて、クランクに連結し、オイルポンプ、ウオーターポンプ、リアのオイルシールまで組んだ。オイルパンのパッキンを取る作業に時間を取られる。オイルパンが付いたら、完成も近い。

 気が付いたら、ポップコーン以来、メシを喰らうのを忘れていたのであった。宴の後に残ったバランスアップとポテトチップス、ビールにワインで空腹を紛らわす。

11月14日

 休み。残り少ない今シーズンを惜しんで、美ヶ原へ走りに行った。

 標高1800メートルあたりから、雪が解けずに残っている。路面はところどころ、雪解け水で湿っているだけで、凍ってはいない。まだ、夏タイヤで走れそうである。武石村方面に下る峠地点にさしかかり、息を飲んだ。背の高い木々の枝々には樹氷が付いて白く輝き、しかも霧がうっすらかかってきて、その霧のカーテンから太陽が円く姿をのぞかせて光の筋が伸びる。その光が木漏れ日となって暗い地面付近の白く化粧したクマザサを照らす。辺りは静寂。夏の風景とは一変している。

 路面にも一部、雪が残るようになってきた。ぎゅーんでは、雪道はまったくグリップしない。緊張しながらハンドルを握る。全面を覆うほどの雪はなかったので駐車場まで突き進む。生憎、雲がかかってきたので、北アルプスを望むことができない。晴れていれば真っ白になった穂高の嶺のダイナミックな連なりが見えるはずなのに、残念である。

 タイトルの写真を撮った駐車場で車を降りる。氷点下ではなさそう。その証拠に、樹木の枝から、積もった雪が解けて地面のクマザサに降りかかり、さらさらと音がしていた。ロードスターがアイドリングする音でさえ、やけに騒がしく聞こえる世界。この季節に来ると、周りの高原地帯を独占しているようで気分がいい。

 今日はあまりにも寒いので、安コートを買った。明日の朝はマイナス3度らしい。

10月30日

 6月半ばから履いていたタイヤ「ぎゅーん」(TOYO)のおいしいところが終わりかけている。

 一番、分かりやすいのがハンドルの重さ。パワステを捨てちゃったので、減り具合が直接重さとなって伝わってくる。RE711からぎゅーんに替えたとき、パワステを再び付けたかのように軽くなった。新しいタイヤにすれば、パワステが付いていても軽く感じるのだから、重ステの場合、劇的に変化する。最近、妙に重くなったなと思っていたが、タイヤの減りが原因だろう。

 今のところ、スポーツ走行ではそれほどグリップの変化を感じない(下手だから、鈍いのかも知れない)けれど、日曜日に雨の中央道を走って、危ない思いをした。わだちを踏んでしまうと、突然、ハンドルが利かなくなる。重ステだとまったく手応えがなくなるので、タイヤが浮きかけた微妙な変化が分かる。冷や冷やしながら走った。

 スリップサインを見ると、あと1ミリちょっとの寿命か。12月半ばになれば、スタッドレスタイヤのシーズンとなるので、実際に付け替えるのは来シーズン、3月末ぐらいとなる。お金を貯めておかなければ。

 RE711と比べて、そのグリップ力の弱さに最初びっくりしたけれど、最近では当たり前になったためか、それほど気にならない。それどころか、いつもの山道では、RE711を履いていたときよりも、速く走っているような気がする。もちろん、エンジンのパワーが上がっていることは差し引いての話。

 あくまで「気のせい」かもしれないけれど、グリップの弱いタイヤに変わって走り方が変わった。RE711を履いていたときは、今よりももちろんコーナーへの進入が速い。そして、同じコーナーではまんべんなく、クリップについて、コーナーの出口まで、同じタイヤの負荷で走っていた気がする。

 これがぎゅーんでは、RE711に比べて突っ込むことができないから、進入でかなり減速している。しかし、鼻先の方向を変え、クリップに付き、出口に向かう段階で、アクセルを全開にできる。RE711を履いていたときは、クリップの時点での速度は速いかもしれないけれど、出口で姿勢が安定するまでアクセルを踏めない。結局、立ち上がりに差が出て、その後のスピードの伸びが違う。

 走り方が変わったのは、7月に富山県某所である方からレクチャーしてもらったことも大きい。ちょうどタイヤを替えた直後だったため、それまでの走り方をすると危険だったことも幸いした。ひょっとすると、ぎゅーんを履いてからは「立ち上がり重視」というのかも知れない。以前の走り方だと、コーナー中にタイヤを一杯一杯使っているので、もし何か障害物があったり、少し失敗してアンダーステアや強オーバーを出してしまうと、事故となる可能性が大きい。RE711はグリップ力が高いから、タイヤ任せに、少し危険な走り方をしても、ごまかすことができたし、「これが一番速い」と勘違いしていた。

 タイヤの減り方も、特性の差かもしれないが、RE711が内側が片減りしていたのに対し、ぎゅーんはきれいに減っている。サーキット走行でショルダー部が少し多く減ったのが気になるくらい。

 走り方の差で、スピードに違いがでるのはこのごろ、何となく分かってきた。しかし、「まだ車の乗せられている」状態。車のすべてをコントロール下に置けるまでには至っていない。

 まだまだ、だな。

10月25日

愛知・刈谷に向かう途中の中央道(中津川から多治見まで)。ここでちょっぴり怖い思いをした白昼夢(笑)を見たので紹介を。

中津川から高速に乗り、開幌状態で、追い越し車線を安全走行していたら、カローラバンに追いついた。譲ってもらえるかな、と思ったが、がんばって追い越し車線を走っている。一応、後ろのオープンカーが気になっていたようだ。

この区間は岐阜県警の取り締まりが厳しい。よっぽど注意して走らないと危ないのにな、ちゃんと分かっているのかな、と思いつつ、ある程度の車間距離を保ちながら走る。数キロ一緒に走ったところで、300mほど前方の走行車線に見るからに怪しいクラウンがいるのが見えた。反射的にアクセルから足を離す。目を凝らしてみると、妙にでかい頭の2人が姿勢良く乗っているように見えた。やばいかな、と思い、左側のウインカーを3回点灯させた後、そのクラウンの後ろに入る。そのままの勢いですっ飛んでいくカローラバン。ぜんぜん、注意している気配はない。

左側の白線ぎりぎりまで寄ってみると、クラウン左側のドアーミラーが2段重ねだった。やっぱり覆面だ! と思うと同時に、クラウンは急加速して車線変更。屋根から赤色灯が生え、カローラバンを狩ってしまった。急ブレーキで走行車線に戻り、白線をまたぐぐらい左側に寄ってスロー走行するカローラバン。あわてぶりがよく分かる。オープンカーがいたはずの場所に突然、赤色灯の覆面がいたのだから、当たり前か。2台仲良く次のインターで下りていった。もし、散漫な気持ちで走っていて、そのままカローラバンの後ろに付いていたら、僕が餌食になっていたかも。

後味の悪い白昼夢だ。

10月20日

1600ccの車でリッター5キロしか走らないのはまずいな、と多少後ろ暗さを感じながらも、翌日に本当にけろりと忘れてしまったため、今日も仕事をさぼってロードスターに乗った。今日は足をのばして標高2000メートルまで到達した。3日連続のさぼりドライブ。僕が警官ならこんなふざけた市民は逮捕する。

空は昨日よりも晴れ渡っていた。開幌状態でシャツ1枚、少し肌寒いくらいがちょうどいい。ヒーターを付けて、こたつ気分でドライブ。気温が下がってきたため、油温も90度ちょっとまでしか上がらない。安心してぶっ飛ばせる。美ヶ原林道を駆け上がり、稜線に出た途端、目に飛び込んできた北アルプスの岩隗の尖った山並みに、思わず見とれてしまった。空気が澄んでいると、遠くにある山も、間近に迫って見える。

写真では陳腐なパノラマになってしまうけれど、こんな感じだ。

美ヶ原から北アルプスを望む

 普段はあまり見ることができない浅間山だけでなく、遠く北方の志賀高原の辺りの山並みまでぼんやりと見えた。まさに360度の眺望。迫ってくるような山脈を見ていると、何度も何度も来ている場所なのに、ホッと心に安らぎを覚える。この辺りは11月中旬にもなれば雪が降る場所だから、今シーズンはあと何回来られるかしら。

我がサイトが10000ヒットを到達した。最初の「日常」が2月17日となっているからまだ8カ月前のことである。ページが形になってきて、アドレスをあちこちに知らせる「営業」をしたのが4月くらいだから、本格的にスタートしてから半年ということになる。毎日確実に上がっていくカウンターを見ていると、「せっかく開いてもらって何も変わっていないのは申し訳ない」と、くだらない文章をなるべくしたためるようにしている。

10000ヒットというと、あまたあるホームページの中では大した数字ではないかも知れない。けれども、数字の「濃さ」には自信がある。このページをときどき見てくれたり、実際掲示板に書き込みをしてくれたり、メールを送ってくれたりする人たち。実際会ったり、メールを交わしたりした人がほとんどではないかしら。匿名で書き込まれる便所の落書きで数字が伸びた掲示板サイトとはわけが違う。

このページを通じて多くの人と知り合うことができた。正直言って、更新はエンジンチューンと同じくらい手間が掛かって面倒くさい。けれども、得られたものは、お金なんかで買えるものじゃない。かけがえのない財産である。ロードスターに乗っていて、本当に、良かった。

車仲間が欲しい人。「出会い」のきっかけに、ちょこっと掲示板に書き込みをしてください。

10月19日

 車に乗りたい、という欲求が胸の奥からふつふつと湧き上がってきて、夕方近く、ついに頭の辺りで破裂し、まともな思考が消し飛んだ。仕事をちゃちゃっと片付けて、いつもの山道に走りに行ったのである。きっと、抜けるような青空のせいに違いない。まぶしいほどの青い空の真下にいながら、ドライブするな、という方が間違っている。よく考えたら2日連続で仕事を抜け出してドライブに行っている。僕が経営者なら、こんな社員はクビにする。

 スーツ姿なのに屋根を開けて気合いを入れ、一路山を目指す。気合いを入れ目指す、と言うと、何やら決死の覚悟でもしているような、そんな雰囲気も漂ってきそうで、周りで走行している車にははなはだ迷惑な存在だが、実際は数分も走れば山道に突入してしまうのである。オープンカーにスーツ姿の怪しき男の目撃者は、それほどいない。

 昨日と同じく2往復ほど。やはり、足回りが気に入らないな、早くKONIをオーバーホールして付けたいな、などと考えながら、少し気合を入れてコーナーに突入。ぐらり、と姿勢が乱れ、これ以上のスピードだったらどこに飛んでいくのか分からないよ、などと情けない思いをしながら走っている。スーツ姿で屋根を開け、ところどころでタイヤをうならせながら走っているのは、心の中ではもしかしたら少しは格好良いかも、と悦に入っているのだが、スーツの裏地はとても滑る。車の中で男が1人、腰砕けの姿勢でステアリングと格闘している姿は、決して見栄えのするものじゃない。しかも、コーナー中に少しスピードが出過ぎなことに気付き、出口でアクセルをゆるめたりして、まったく、なってはいないのである。でも、どんなにうまく走れなくても、車のせいにしないのがポリシー。まだまだぞ、とつぶやきながら、いつまでも上がらない腕を磨いているつもりになっている。

 頂上でガソリンがないことに気づき、とぼとぼと山を下った。ガソリンを入れたら35リットルちょっと。トリップメーターは150キロと少しを示す。1600ccの車でリッター5キロしか走らないのはまずいな、と多少後ろ暗さを感じながらも、翌日にはけろりと忘れて、また走りに行くんだろう。

 だって、シーズンオフが近いのだから。

10月11日

仕事途中、なぜか松本市のアルプス公園に行った。松本城がある中心市街地より200メートルほど標高が高い。そのせいか、赤とんぼがあちこちに飛んでいた。そろそろ里まで下りて来る、ということはもう本格的な秋である。見上げたら、青い空。天気もいいことだし、スカッとした気分になりたくて、夕方に仕事をさぼってロードスターに乗ることにした。

そう考えると、少しうきうきした気分になってくる。いつもはのろのろとはかどらない仕事をさっさと片付けて、無言で仕事場を飛び出し、自宅でジムニーからロードスターに乗り換えて出発した。時間は5時前。

少し激しく乗ろうと、手袋を着け、開幌状態。いつもの山道を駆け上る。スーツの上着はとても滑る。少しアングルを付けて、ぎゅーんを軽くうならせながらコーナーを曲がっていたら、キノコ採りにでもやってきたと思われる人がわきを歩いていた。「いい感じの姿勢だ!」などと思っていたのに、はたから見たら極悪な車。とってもきまりが悪い。

ゴルフ場の出口から、R32スカイラインが下りてくるところだった。フロントグリルの形状からすると、GTRか。バックミラーで付いてきたのを確認。「追ってくるな」と思った。少しアクセルをゆるめていると、案の定。近づいた。自分のペースで走る。

美鈴湖で車を止め、相手が通り過ぎるのを待つ。通り過ぎるR32。少し時間をずらして、走り出す。この先は美ヶ原林道。幅細く、ロードスターには有利な道である。

しばらく走ると、追いついた。すると、後ろに気付いたからなのか、突然の急加速。こちらも相手に圧迫感を与えないぐらいの、一定の車間を開けて付いていく。

遅い。うっかりすると、車間が詰まってしまうので、踏めない。下手にあおったら、ガードレールに突き刺さるかも知れないし、ずっと煮え切らないまま付いていった。峠に出たところで、相手は武石村方面に下っていった。

稜線の道を走り、頂上の駐車場でUターン。山を下り、視界の開けた場所で車を止める。眼下に広がる松本の街の、銀河のようにも見える明かりを見ながら、缶コーヒーを飲む。この瞬間が、幸せ。

山では茶色に染まった葉が盛んに落ちている。もう1週間もたち、雨でも降ればとても走れる状態ではなくなる。だんだんと、走る場所が狭まっていき、降りた霜がなかなか解けなくなれば、今シーズンも終わりである。

10月7日

 友人Kの引っ越しを手伝った後、治部坂へ行ってきた。こうやって書くと中部ミーティングに参加したように見えるが、満面の笑みでこちらに手を振って会場の駐車場に誘導する係員に軽く会釈して、猛スピードで走り抜けてしまった。心が痛む。

 前日泊組みの集まりに潜り込んだのだった。今日はどうしても外せない仕事があったので、泣く泣く出勤である。

 三重のショップのデモカーに乗った。といっても助手席だが。ドライブした人は速過ぎて「変態」と呼ばれてしまう人。サーキット走行前夜、午前5時まで話を聞いていた人である。キャブ車でバネは前15キロ後13キロだったか? 13インチのSタイヤ。で、道路のギャップで目玉が飛び出し、首の骨がずれるかと怖がっていたら、乗り心地が良かった。自分の常識では考えられない、ものすごい動き方をした。「こんなスピードで突っ込むんですか?」「ここでさらにアクセル踏むんですか?」と、もはや別世界。もちろん、ドライバーは人の車だから遠慮して走っていたことは言うまでもない。

 その後、筑波サーキットで1分6秒台のドライブ(もちろんロードスターで)の車載カメラ映像を見たりして、宴会場で午前3時ぐらいまでずっと話を聞いていた。質問ばかり。

 上には上がいてきりがない。そんな思いを新たにするとともに、自分のちっぽけさを再認識する最近なのであった。

9月25日

 月曜日の仕事はあっという間に終わらせて、午後7時ごろ帰宅。8時には寝た。今日の午前零時に起床。筑波に向かう。

 道を知らないので、アバウトな地図を見ながら走る。迷わないか心配だったが案外すんなりと、午前4時半前にたどり着いた。時間が余ったので、そこら辺を走って過ごし、午前6時すぎにパドックへ行くと、知っている人たちが準備にいそしんでいた。

 さまざまな人にエンジンや足回りの仕様を聞き回る。かなりとんがった仕様の人も。まさにサーキットスペック。走行会では例のごとく、流し撮りの練習をしていた。間瀬のときよりは、手応えある気がする。さて、どうなることやら。某サイトで有名な人たちが4台絡むバトルはなかなかの見物。ファインダー越しながら、興奮した。

 午前中に終了し、参加者とともに昼飯を食べて、解散。このサイトの掲示板に書き込んでくれて知り合った人に、ジョイフル本田というマニアックな品揃えのホームセンターに連れて行ってもらう。測定器具やら、研磨工具やらを衝動買い。親切に連れていってもらい、感謝。

 帰りは、夕方の混雑に巻き込まれて、なかなか進まなかった。しかも、埼玉や茨城など、生まれて初めて行った気がするくらいの不案内な場所。地図を見ながらうろうろさまよい、さすがに疲れていたので、関越道を目指す。花園というインターで高速に乗り、上信越道の東部・湯ノ丸インターで下りる。そこからは下道。国道254号の三才山トンネルを通って松本に。現在午後11時。23時間連続で活動していると、さすがに疲れる。しかもなぜか仕事場でフィルムを現像中。整理していると、寝るのは午前2時ぐらいになる気がする。

 行きは下道で4時間ちょっとだったのに、帰りは高速を駆使しても5時間をすぎてしまった。やはり、茨城は遠い。

 けれども、来年の走行会に出ることを約束したので、再び出陣するのだ。