クルマ

12月4日

 ぱちん、が嫌いなのである。

 この季節特有の静電気。昔は気にしていなかったのだが、いつからか、この衝撃が嫌いになった。それほど痛いわけではないのだが、気になりだしたら、いやらしい電気的な衝撃におびえるようになってしまった。

 一度、嫌になり出すと、とことん嫌になるもので、松本に来たぐらいから、外を移動するときは車のキーを手に持つことが多くなった。

 車を降りるときの静電気が一番強い。雨の日以外はほぼ、100発100中でドアを持つときに衝撃が手を走る。そこで、エンジンを切って抜いたキーをそのまま手に持ち、キーでドアを固定する車体側の金具を、かちん、とたたいてやると放電する。強烈なときは、かなり大きな静電気が飛ぶ。夜だときれい。ロードスターの皮シートに座っているときは、ほとんど発生しないから、ジムニーのシートは静電気が発生しやすいのかも知れない。

 最近は、嫌さ加減が最大になり、車を降りた直後はキーを持ったまま歩き、仕事場やコンビニ入り口のドアの取っ手に、かちん、と触れてから手で握るようになってしまった。ここまで来ると、病的ないやがり方かも知れぬ。

 ある日、お店のレジで店員からおつりをもらったとき、ぱちん、と衝撃が走って「ハッ」と顔を見合わせたら、きれいなおねいさんだった。残念ながら、電撃的な恋に落ちることはなかったのだが、ちょっと得した気分。

 気分的な問題だね。

11月19日

 なぜか仕事で長野市へ出張。ロードスターは睡眠中なので、ジムニーで出陣である。

 平成元年式の我がジムニー。基本的に「高速道路も」走れるようになったというぐらいで、スピードを出すのが苦手である。軽のわりには重く、加速が悪い。さらに、基本はクロカン性能を重視しているから、古いジムニーは高速すら乗ることができなかったのだ。だから、長距離を走るときはこれまで、ロードスターを使っていた。でも、今の状況ではジムニーで行くしかない。

 長野道に乗る。7000回転のレブリミット近くまで回して、猛加速。でも遅い。加速レーンでようやく4速80キロ近くまで出して、合流する。5速に入れて100キロだすと、6000回転。とてもうるさい。最高速は120キロ弱。5速で7000回転のレブリミッターまで回してようやく出る。レッドゾーンは6500からなので、かなりやばいエンジン音。ぎゃーんという悲鳴にも似た音ともに、ぶんぶんぶぶんと、エンジン全体が共振しているような、地鳴りのような音が鳴り出す。しかも、冬はかなり下の辺りを指し示す水温計も、真ん中当たりまで上がってきて、数分も続けられない。実用で使えるのは、90キロ@5500回転ぐらいである。

 遅いトラックの追い越しにはかなり注意が必要だ。90キロ以上の加速は極端に悪い。後ろをよく見て、速い車が追いついてこないかどうかを確認してからでないと、車線変更はできない。あらゆる車に抜かれまくる。

 ジムニーでは高速で、絶対捕まることがない。道路脇のカメラや白いクラウン、セドリックに注意しなくても良いから、楽ちんではあるな。

11月15日

 ジムニーが戻ってきた。オイル漏れの原因はやはり、クランクのオイルシールが外れかけたからだった。予想が的中である。だてに、エンジンばらしているわけじゃないぜ。車検で、タイミングベルトとともに交換したときに、打ち込みが甘かったらしい。車屋さん、平謝り。オイルシールとタイミングベルトが再び交換された。

 夕方、職場の人に乗せていってもらい、ジムニーを受け取る。こういう場合は、「困るね」と一言、語気強く申しむけ、将来こんな単純ミスを繰り返さないよう、嫌みの1つや2つ言って気合を入れてあげるべきなのかもしれないけれど、元来人との争いを好まないたちである。極めてにこやかに「直りましたか」と、頭を下げ、説明に聞きいる。「本当にすみませんでした」との言葉にも、「いえいえ」と何だか訳の分からぬ返事をして、足早にジムニーに駆け寄り、エンジンをかけて立ち去った。間抜けである。

 当然、メカニックのケアレスミス、お金が請求されるわけがないのだが、「支払いはするんですか」ぐらいの確認はすべきだったかもしれない。けれども、「今回はこちらの落ち度ですので」と恐縮されるのが目に見えているので、あえて口にしない。気が弱いのである。ま、プロにだって失敗はあるさ、と自分に言い聞かせて、腹の虫が暴れないように努めてしまう。

 とにかく、今製作中のエンジンで同じようなことが起こらないように、気を引き締められた出来事であった。

11月13日

 廃油をつぎ足したロードスター。さすがに実家に戻った翌朝にオイル交換をした。名古屋のディスカウントストアで買った米国製のもの。何と1リットル弱で298円なのだ。ここには昔、バルボリンという向こうでは有名らしいメーカー(最近は日本でも売っている)のオイル(確か5W-50!)が黄色のプラスチック容器に入って同じ値段で売っていたので、それを目当てに行ったのだが、なかった。買ったのは10W-30の粘度で、鉱物油なのか合成油なのか、半合成なのかはパッケージからは判断できなかった。これを10本買った。オイルフィルターも交換。トヨタの4Aエンジン用のものを使う。

 工具を忘れてきたので、モンキレンチでゆるめようとしたらなかなかゆるまない。実家にもジムニーがあり、車載のタイヤレンチで外れるな、と思い、使ってみたらあっという間にゆるんだ。やはり、道具はきちんとしたものを使いたい。

 廃油が混じったオイルを廃油処理箱めがけて抜き、新しいオイルを入れる。これまで使ってきたちょっと高い化学合成油に比べると、粘度が低い気がする。名古屋弁で言うと「しゃびしゃびだがね」。

 エンジンをかけ、アイドリングさせる。油温を80度にしないと、オイルクーラーの中のオイルが残ったままになる。しばらくアイドリングさせた後に、入れたばかりのオイルを抜き、捨てる。オイルフィルターを新しいものに換え(ちゃんとOリングにオイルを塗る)、再び新しいオイルを注ぎ込む。ここまでやって3本余った。継ぎ足し用の在庫としてトランクに積みこむ。レベルゲージを見ると、ほとんど汚れがなく、ほぼ透明だった。

 松本からの帰り、ずっと高速走行だったが、油圧もWAKOSの4CTとそれほど変わらない。7000回転以上の音はうるさい気がする。いつもの山道を走れば、オイルの違いが分かるかも知れないが、それほど差は感じられない。オイルクーラーがあるからこの季節だとどれだけ回しても油温が100度に達することもないと思われる。だから、油圧を心配しすぎることもない。安いオイルで十分な気がするのだが。

 だって、日本のオイルって高すぎるんだもん。

11月12日

午後10時前、仕事を終えて帰宅しようと駅前通りに路駐してあったジムニーに乗る。縁石をまたいで駐車していたので、バックさせると、たくさんの黒いシミが。オイルっぽい。

あわててエンジンを止め車を降り、シミを触ってみるとやはりオイル。においをかいだり、粘りをみたりすると、どうやらエンジンオイルみたい。レベルゲージを外してみると、まだ半分弱は入っている。ゲージに付いたオイルとシミを比べてみると、同じものである。どこから漏れたのだ?

2年ほど前に、エンジンオイルが漏れたことがある。このときは、ターボチャージャーへオイルを送っているゴム製のパイプ劣化が原因だった。走行中にオイル臭いなと思っていたら、車の下にシミを発見したのだが、今回のシミはこのときとは比べものにならない。派手である。

懐中電灯でエンジンルームを見るも、よく分からない。車にあった新聞紙を敷き、スーツ姿で寝っ転がる。下からのぞくと、フロントデフ回りが派手にオイルまみれになっている。デフから吹いたわけではないので、エンジンからしたたったのだろう。かなり広範囲にオイルが飛んでいた。

車屋まで3キロほど。自走できなくはなさそうだが、やはり怖い。こういうときにははやりJAFを使うのが正しい。せっかく会費を払っているんだから。JAFに勤める友人に電話してみると、「5キロまでは無料。以降1キロ600円よ」とのこと。どうやら無料で運んでもらえそうである。#8139に電話して、状況と車種、名前、会員番号などを伝えて来てもらうことにした。

来るまでの間、エンジンルームとにらめっこ。ターボチャージャーやオイルフィルター回りは漏れている様子がない。オイルが付いているのは、かなり下の方である。どうやら、クランクに付いているプーリーの回りが怪しい。オイルシールがやられたのか? クランク回りから漏れたオイルがプーリーで吹き飛ばされて広範囲に飛び散った感じである。少しぐらいなら走れそうか?

でも、せっかくだから運んでもらう。15分ぐらいでJAFがやって来たので、エンジンルームを見せると「漏れてますね」。手際よくフロントタイヤがジャッキアップされ、ドナドナされていった。後輩の車に乗せてもらい、付いていく。自分の車が運ばれていく姿は、妙に寂しい。

まだ、車検から帰ってきてから1カ月もたっていないのだが。しかも、タイミングベルトとオイルシールを交換してもらっている。

こりゃ、クレームだな。

11月11日

 昨夜、名古屋近郊の実家へ向かう前に、オイルの残量が気になったので調べてみると、オイルレベルゲージの「L」よりも下だった。いつもの山道などでぶっ飛ばしたのが悪かったのか、ちと少ない。実家までの200キロを、標準量より下のレベルで走るのは嫌だ。オイルを継ぎ足さねばならぬ。

 助手席の後ろに置いてある2缶のオイル缶は、前回の補給で空っぽであった。足すオイルがどこにもない。時はすでに午後11時。ディーラーやカーショップも完全に寝静まった時間である。

 手持ちのオイルはなにがあるのか、と考えを巡らせる。エンジンの腰下を組むときに使っているトヨタの純正オイルは、鉱物油なので、化学合成のWAKOS4CTと混ぜる気にはならない。他に何があるか、と考えても思い浮かばない。やばい。このまま名古屋まで走ると、オイルが切れてエンジンが焼き付く恐れがある。

 何かオイルを足さねばならぬ。考えていたら、2年前に抜いたカストロールシントロンの廃油が確かオイルえ缶に保存してあることを思い出した。シントロンは化学合成油である。いくら再利用であろうと、鉱物油を混ぜるよりは、よいだろうと、物置を物色した。

 オイル缶はやっぱりあった。フタを開けて、中のオイルを手に付けてみると、ちゃんと粘度もあるし、色もまだ大丈夫そう。ああよかった、とこの再利用油をエンジンに注ぎ込んだ。

 アイドリングでの油圧が高いのは、たくさん継ぎ足したからだろう。気にすることはない。どうせ、名古屋まではリッター12キロの走り。大人しく、回すだけである。

 油圧に注目しながら走る。無事、実家にたどり着きました。

11月10日

 ロードスター乗りとで集まって、バーベキュー。屋根のある場所で、午前中から肉を焼き、喰らう。普段できない、マニアックな話に興じることができて、素晴らしい。「コンロッド削りすぎちゃったんですよ」なんて会話は、普通の集団ではできない。コンロッドはブロックに穴が開いた夢を見るくらい精神衛生上悪いので、いま動いているエンジンから1本拝借することにした。

 スロットル以外は吸排気系もすべてノーマルのNA6CEに乗った。他の人は「動きが軽い!」と驚いていた。確かに踏み込んだ時のレスポンスは良いのだけれど、トルクが薄すぎる。ノーマルってこんなだったのかしら。レスポンスが良いから楽しくはあるけれど。

 今日は200キロほど運転した。これから名古屋に向かうと再び200キロほど走ることになる。途中、我がチューニングヘッドが載って1万キロを突破する予定。

11月3日

お化けパワーのB6エンジンが載ったNA6CEを運転した。腰下オーバーホール前で200馬力近く絞り出した嘘八百エンジンである。

カムは288度。戸田レーシングのφ81mmピストン1722cc。圧縮比は13.1!ぐらい。ウエーバーαのインジェクションシステムで、4連スロットルを制御している。はっきり言って、乗りにくいんだろうな、と思った。乗りにくい、とは運転者にスキルを要求する、という意味である。乗り手を選ぶ、と言ってもいい。

50キロほど、併走して走ったが、音がものすごくいい。バイクの音みたい。まだ慣らし中なため、5000回転ぐらいしか回していなかったようだが、かなり気合を入れて走らないと、離されそうだった。ある一直線のトンネルでは、ぐぐっと離されてしまった。

乗ってもいい、とのことだったので、はやる気持ちを抑えつつ、運転席に座る。クラッチはメタルが入っているというが、レガシーに比べれば軽い。キーをひねると、簡単に始動。バラッバラッバララという大作用角特有のアイドリング音が素晴らしい。雨だったので、気を付けないといけないな、と思っていたので、クラッチをつないだときは拍子抜けした。難しいことは何もなかった。

まだ慣らし中のエンジン。6500回転まで回すことを許された。1速で軽くアクセルを踏んで6000回転近くまで回すが、山も谷もないトルク。それでは、と2速に入れ、少し踏み込んでみる。3000回転ぐらいから力強い加速。がーんと回って6000回転に近くなった途端、シートに体が押しつけられる。パワーバンドに乗りかけ、やばい加速をしそうになったのだが、残念ながら慣らし中。製作者は「もう高負荷をかけても大丈夫」とはいえ、人の車。やはり、遠慮する。

普通に6速(NBミッションを移植してある)に入れ、2000回転で走っていても、きわめて普通である。よく「低速がすかすかになる」と言われるけれど、さすが圧縮比が高いこともあって、乗りやすい。アクセルを踏み込めば、どの回転数だろうが、たくましく加速する。

作った本人は「フラットすぎて」気に入らないみたいだが、僕のようにあまり腕がないドライバーなら最高。高回転の凶暴なパンチを体験できなくて残念。

はかりを借りてピストンとコンロッドも削ったし、充実した一日でした。

11月2日

仕事場の人のレガシーを運転した。ツインターボで280馬力のやつ。

まず、クラッチが重い。さすが大パワーとそれなりの車重を受け止めているだけある。渋滞だと滅入りそうなくらい重い。踏み込んで、シフトレバーを1速へ。操作するだけで楽しくなってくるロードスターのシフトと比べるまでもない。おもむろに、アクセルを踏むと、極めて普通に走り出した。ハンドリングはニュートラル付近の反応はあまり良くないが、少し切るとスッと方向が変わる味付け。重い割りにはいい部類に入るのかも。

軽く踏みながら、6000回転ぐらいまで回すと、意外に静かだし、スムーズに回る。同じ4気筒でも直列よりボクサーの方が、フィールはいいかも。街中を普通に走ると、2000回転ちょっとぐらいのトルクが薄い気がする。3000まで回すと、1段目の加給が始まってぐっと加速し出す。もう少し、スムーズな方がいい気がするのだが。

許しを得て、急加速してみる。2速でアクセルを半分以上踏み込む。3000回転ぐらいでトルクがうわっと出て、4000回転をすぎて、トルクカーブは一度谷に落ち込む。再び5500回転近くから2発目のタービンが働き出し、凶暴な加速を始める。ピークは6000を越えたくらい。重いワゴンのボディーがべらぼーな加速をする。いわゆるどっかんターボだ。これはシャレになりません。

どうも2リットルで280馬力という数字にこだわりすぎた味付けな気がする。市販車のしかも、ワゴンにしてはピーキーすぎるのでは。はっきりいって普通の人は高速道路の加速でもない限り、6000回転オーバーまで回すことがないんだから、もう少し下の回転数からトルクを厚く持っていって、谷をなくしたフラットトルクの方がいい気がするのに。雨の日の発進なんて、ちょっと危なくないかしら。こう考える僕の方が間違っているのか。

もしかすると、そういうピーキーなエンジンを好む人向けの車なのかも知れない。乗りやすさなんてクソ喰らえ、男は凶暴ピークパワー! とメーカーが考えていたとしたら、スバルもすごいメーカーだ。そういう考えなら、激しく同意する。

難癖付けているようだけれど、いい車です。

10月26日

 ジムニーが車検から帰ってきた。

 平成元年式のJA71。550ccのターボ付。走行距離は少なくまだ70500キロぐらいである。3年ちょっと前に45万円で購入した。松本地方ではジムニーの需要が高いので、中古市場は高値安定である。今でも同じ形式・同程度の車で30万円代で売っている。何でも、製造台数のうち、スクラップされた車両の台数の割合が、かなり低い車なんだそうな。

 今回は、あまりお金がかからないかな、と思っていたら、冷却水漏れを発見された。ウオーターポンプのベアリングにガタが出て、そこからにじんでいたらしい。タイミングベルト、オイルシールとともに交換を勧められた。

 電話で聞いたとき、自分でもできそうな作業だったので少し悩んだ。45万の車にあまりお金をかけたくない。が、やっぱり交換をお願いした。僕が作業するとして、1日作業。もしかすると、何日かにまたがるかも知れない。ジムニーに何日かかけるより、今はロードスターのエンジンチューンを進めたかった。それに、プロにやってもらえる作業は任せてしまった方が安心。自分の時間が買えると思えば、決して高いとは思わない。

 結局、車検費用と、入りが悪かったFMラジオのアンテナ交換、エアコンベルトとウオーターポンプベルト、さらに下回りのさび止め加工なども合わせて11万7000円。前回の車検では、デフ回りのオイルシールの交換で同じくらい掛かっている。エアコンコンプレッサーからの異音も指摘されたけれど、コンプレッサーだけで5万円ぐらいかかるらしいから、今回は見合わせた。どうせ効かないので、夏場にもあまり使っていないし。

 実はロードスターの任意保険代の請求も迫っている。明日は友人の結婚式でこれから実家に帰らなければならない。当然祝儀を出す。ガソリンを燃やす。出費がかさむ、かさむ。

 足回りの交換が遠のく。