エンジン

6月22日

 朝5時、なぜか仕事場でスーツ姿のまま目が覚めたものの、すでにそこから走りに行く体力は残っていなかったので、帰宅。しばしの惰眠をむさぼる。

 今日もロードスターで仕事。冷却水が少し減っているのを発見した。多めに補充して、その後は水位に変化なし。とりあえず、どこかで漏れがあるということはなさそう。オイルフィラーキャップを外してもきれいなオイルが見えるだけ。ガスケットが吹き抜けて冷却水が交じると、クリーム状の物体がキャップの裏に付着するらしい。今のところ、吹き抜けはなさそう。

 いつもの山道を再び走るが、ピークパワーは大幅には上がっていなさそう。ROM合わせが課題。

 しかし、積み替え後、連日の飲みで疲れがピーク。早く寝ないと。

6月21日

 朝5時、なぜか仕事場でスーツ姿のまま目が覚めたので、そのままふらふらといつもの山へ。

 アクセルを少し開けたハーフスロットルの領域では、とても変化を感じる。ちょっと踏んだだけで、トルクがぐっと出る。街乗りだと、あまりアクセルを踏まなくても楽々加速しそう。しかし、急な上りで全開をくれてやったときは、いまひとつパワーが出ていない気がする。これまでと同じような吹け上がり方しかしていない。4000〜5500回転ぐらいはいい感じで吹け上がるのに、高回転はこれまでよりも回るのが重苦しい感じ。やはり、点火時期に問題があるのかも。

 山の上の方は霧がかかって視界が悪かったので、引き返す。下り坂を抑え気味のペースで走っていたら、なにやら焦げ臭いにおいが。やばい、冷却水漏れか? とあわてて車を止めたら、前後のブレーキパッドから煙が立ち上っていた。思いっきりフェード。

 前後は新品のブレーキパッド。こんな抑え気味のペースで煙が出るぐらいじゃ、サーキットに行ったら満足にブレーキが踏めない。エンジンと同時にブレーキも強化されたので、これまでとあまり違和感なく運転していても、少しペースが上がっていたのかもしれない。ブレーキが音を上げたのは初めて。

 作業道具で散らかったままのジムニーは置いておき、ロードスターで仕事をする。なぜか、乗っているうちにパワー感が出てきた気がする。バルブスプリングやらHLAやらが馴染んできたのか? 組んでから数十キロしか走っていないのに、高回転まで回したのは問題だったかも。

 やはりノーマルとは明らかに違う。素人としては、自分でやって普通に回っているだけでとても満足。

6月20日

 今日は休み。エンジンを仕上げねばならない。が、やらなきゃならない仕事もあった。

 最近無理をしているので、8時に起床。配線やら配管やらをどんどんつないでいく。11時に仕事があったので、着替えてそちらへ。終わったらすぐにまた舞い戻り、作業を続行する。スーツ姿でハードに車をいじっている姿は異様で周辺住民は恐怖を感じたに違いない。

 昼過ぎ、どうやらやることがなくなった。まずは、クランク角センサーのコネクターを抜き、スターターを回す。プラグは付けていないので、シュココココココとものすごい勢いで回る。セルモーターが空回りしているのかと思った。しばらくすると、純正と後付の油圧計が同時に反応。2kg/cm2ぐらいまで、ちゃんと油圧がかかった。

 さて、興奮の始動である。はやる気持ちを抑えて、手をぷるぷるふるわせながらプラグを装着。深呼吸して、スターターを回す。

 ぎゅんぎゅんぎゅんぎゅん、と圧縮が上がったため苦しそうな音がする。

 ぎゅんぎゅんぎゅん…。始動しない。クランク角センサーのコネクターをつなぐのを忘れていた。

 気を取り直して再びセルを回す。ぎゅんぎゅん、ぶぶぶん。回転が上がらずエンスト。もう一度、ぎゅんと回したら、ぶうううんと始動した。思わず、ガッツポーズ。

 カカカカカカカカ、とHLAのタペット音がものすごい。そのうち、収まるだろうと思いながら、冷却水のエア抜きのためラジエーターを見ていると、エキマニあたりから煙が…。あわててエンジン停止。オイルのにおいでもないし、一瞬ガスケットが吹き抜けちゃったのかとも思ったが、漏れた冷却水がエキマニにかかって蒸発した煙だった。

 室内のヒーターに冷却水を導く管がとっても薄く、ホースを外すときにつぶしてしまっていた。管はなんとか形を整えて、ホースを付けるときに漏れ止めを施してやったのだが、やはり漏れた。もう一度、念入りに組む。再び仕事があったので、作業を中断して向かう。

 2時間弱で戻り、エンジンを始動。漏れた個所をじっと観察。どうやら、水漏れは止まったみたい。冷却水を何度か替えて、クーラントを入れ、エア抜きをして作業は終了。もう煙は上がらない。タペット音も収まった。完璧。

 そのまま試乗に出発。ぜんぜん問題ない。ヘッドを替える前と変わらず走る。拍子抜けするぐらい。パワーが上がったのかさえ、あまり感じない。1mm面研だけのチューニングじゃ、がらりとは変わらないのか。

 腰下のオーバーホールと違って、それぞれなじんだ部品を同じように組み立てただけだから、回しても問題はなかろうと判断。というか、我慢できずに、いつもの山道で高回転にチャレンジ。6000回転ぐらい回しても、まったく問題ない。物足りなかったので、えいと8000近くまで回しちゃった。車を止めてエンジンをチェックしたが、問題はなかった。

 全体にトルクが出ているけれど、期待したよりは変化が少なかった。ROMを書き換えて、点火時期や空燃比を調整すれば、また違うのかな。

6月19日

 昨日、零時頃まで飲んでいたのに、今日は午前5時に起床。急いで作業をしなければならないのだ。

 「ガレージ雅」というタイトルだけれど、ガレージなんて持っていない。砂利をまいただけの空き地に青空駐車。「ガレージが欲しいな」という願望を表したタイトルであって、住んでいる家以外、恵まれた環境にいるわけではない。

 だから、「梅雨の晴れ間」のうちにある程度作業を進めないと、阿鼻叫喚な状態となってしまう。ピストンがむき出しのまま雨が降ったら、いくらボンネットは閉まっているといっても、いかにもエンジンに悪そう。

 だから、晴天だった昨日、ヘッドを装着。カムシャフトがむき出しのまま一晩すごした。夜中はちょっと雨が降ったようだが、大したことはなかった。大雨が降る前にカムカバーを閉じておきたかった。

 で、連日の早起き。仕事前の数時間を作業に当てた。そのかいあって、今はいくら雨が降っても大丈夫なところまでたどり着いている。今、外は大雨洪水警報が出るほどの大雨。間に合って良かった。

 でも、体はぼろぼろです。

6月18日

 土曜日は足りないガスケットやらパーツクリーナやらをかき集めて一日すごし、マツダスピードスポーツファクトリーの店長と1時間ぐらい話して、ヘッド周りの構造についてレクチャーを受ける。

 夜、ルマンを見ながら、作業。いつの間にか、午前5時45分だった。明るくなったので、外で作業。愛するロードスターを不動車にしてしまった。フェンダーに少し傷が付き、ブルーな気分となる。昼頃、一休みしようと家に入ったら意識を失う。午後4時ごろ、再び作業開始。夜11時ぐらいに再び昏睡状態となるまで続いた。

 飯を食べるのを忘れていた。この日はアクエリアス2リットルで命をつないだ。

 朝、5時起床。仕事前にやっておきたいことをやる。何たって梅雨だ。ピストンむき出しのまま雨が降ったら最悪の事態となる。

 仕事をさぼって作文。体中が痛い。

6月16日

 ロードスターが車検から帰ってきた。フロントに1.8のブレーキが移植され、リアもオーバーホールで不安はなくなった。完璧な状態である。

 工賃を見ると、なぜか異様に安い。一番心配していたブレーキオーバーホール。オーバーホールキットは3590円で、ブレーキフルードが1リットル2400円、マツダスピードのブレーキパッドがフロントとリアで3万円となっている。これは固定された料金。しかし、オーバーホールには所要時間が1カ所1時間強、2カ所で2〜3時間かかると思われるので、1カ所1万円で2万円を予想していた。しかし、請求書では5200円。何と。ただみたいな値段でオーバーホールやってもらっちゃった。自分でやろうかなとも考えていたが、この値段ならやってもらった方がいい。

 キャリパーとローターの移植作業は8000円。なぜかこちらの方が高くなっている。プロポーショニングバルブの交換は2000円。これだったら、絶対自分でやらない方がいいぞ。自分の素人作業で整備したブレーキなんて、安心して踏めない。

 一つ一つの値段は安くても、一気に請求されるとびっくりする額となる。タイヤ交換やヘッドガスケットセットなども含め、26万円ちょっと払った。ブレーキの不安がなくなったり、タイヤが新しくなったりで、とっても満足なんだけれど、一方で車にこんなお金つぎ込んで良いのかいな、という思いもある。

 でも最近、そのちょっとした「後ろめたさ」が気持ちよかったりして。変態です。

 さあ、ルマン見ながらヘッド組み立てよ。

6月6日

 「ハイオク満タン」

と久しぶりに言ってしまった。ロードスターにコスモの「スーパーマグナム」を入れたのだ。シリンダーヘッドを載せ替えるための下準備である。圧縮比が10.0:1を超えるはずで、カムシャフトもしばらくノーマルを使うので、レギュラーのままではノッキングが発生する可能性が高い。載せ替えてからハイオクを入れたのでは遅いので、事前に切り替えるのだ。

 38リットル入ったので、タンクの中の85%ほどはハイオクになったことになる。オクタン価は90後半になったかな? このままヘッドを載せ替えても、ノッキングは発生しないかもしれない。

 しかし、松本はガソリンが高い。だいたい1リットル119円。レギュラーでも106円/Lする。実家(愛知県)に帰ると、レギュラーで90円台前半で入れられるのに、あまりにも格差がありすぎる。ちなみに、諏訪地方ではレギュラーで108円/Lだった。

 レギュラーを入れていて1回の給油で4000円弱払っていたのが、今回は4500円を超えたので、とても割高に感じる。作用角の大きなカムにすればレギュラーで何とか回るのかな。けれども、これから腰下のチューニングをはじめてさらに圧縮比を上げる予定なので、もうレギュラーを入れることはないかもしれない。

 しかし、今回は燃費が悪すぎた。6.3km/Lぐらい。ワースト記録達成。ターボ車じゃないんだから。ビーナスラインを走ったのが効いた。標高差1300mを1速を多用して一気に駆け上がり、気持ちのいい高原道路を2往復もしてしまったのだから仕方がないか。一番燃費がよかったときの半分も走っていない。

 レギュラー仕様のエンジンにハイオクを使うのはとてももったいない。エンジン洗浄剤の効き目ぐらいしかメリットがない。早めに載せ替えよう。載せ替える前に富山に行く予定があるので、ROMを書き換えて点火時期を早めてやろうかしら。体感できるほどは変わらないだろうけれど。

6月4日

 現在、バルブタイミングの勉強中。ノーマルカムを使うので、タイミングベルト交換の要領でやれば理解せずに組むことも可能なのだが、やはり理解した上でばらし、組み上げたい。

 クランク2回転でカムシャフトは1回転。面研でバルブタイミングはどれだけ狂うのか。1mmの面研で2度遅れる側に狂うバルブタイミングを正しくするには、カムプーリーのノックピン穴のどちら側をどれだけ削れば調整できるのか。排気カムは遅れたままにするのか。吸気カムをどれだけ進めて、ノーマル20度のオーバーラップを何度に設定するのか。

 あれこれ考えていると、仕事が手に付かなかったりして。

6月2日

 バルブ各部の名称についてとんでもない勘違いをしていた。バルブフェース(Valve Face)と聞いて、てっきり燃焼室側から見た「Face(表面)」だと思っていたら、バルブシートと当たるところが、フェースと呼ぶのだった。皿の形をしているところは「バルブヘッド」または「バルブクラウン」と呼ぶ。恥ずかしい。「バルブ研磨」を訂正しておいた。

 間違ってもバルブフェースをがりがり削ってはいけません。そんなことをしたら、再びシートとの当たりを取るのに、ひどい手間がかかりそう。

 今日は休み。インマニを磨いていたら、「バーベキューやるから来い」との電話があった。アルコール類を異常に摂取して、半ば意識不明状態になりながら、6年以上ぶりのボーリングに行ったら、70台ぐらいしかスコアが取れなかった気がする。正直なところ、あまり覚えていない。

 ボーリングは素面の時にやりましょう。

5月17日

 ツーリングで同じ趣味の人たちと一緒に走るのは、とても気持ちがよろしい。

 僕の周りには同じ趣味の人がいない。ジムニーと2台持っていることがばれたりして、いつも肩身の狭い思いをしていると同時に、車のことを相談したり、「談義」したりする人がいないので、変なストレスがたまってしまう。

 だって、女の子もいる酒席で、「悩みうち明けタイム」となったときに、

 「僕のロードスター、高回転のパンチ力がもっと欲しいんだよね。カムを変えるほどの回転数まで使うわけじゃないし、いっそのこと、カムスプロケットのキー溝をちょっと削ってオーバーラップを…」

 なんて語り出したら、次から声をかけてもらえなくなっちゃう。いくら、僕が高回転のパンチ力について純粋に真剣に悩んでいても、関係ないのである。やはり「車好き」は、「音楽好き」「映画好き」とは違って、社会的に認知されていない。いや、それどころか「反社会的」な見方さえされることがある。「音楽好き」「映画好き」はマニアックな話をすると周りから尊敬されることが多いから、うらやましい。

 ところが、ツーリングに行って、初めて会った人に、

 「僕、ヘッドを加工しているんだけれど、燃焼室の形状をどうするか悩んでるんだよね」

 とうち明けたら、多くの場合、僕の勝ちである。いくら僕のロードスターが遅かろうが、運転が下手であろうが、「何となく」優位に立ってしまうのである。優位に立つとはいえ「どちらの方がより変態か」という尺度だからあまり自慢にならないんだけれど。所詮、自己満足の世界だから、お互いの自慢をし合って、お互いに「よくぞそこまで堕ちた」と讃え合えばいいのだ。

 このページを作り始めてから、そういう知り合いができはじめたのでうれしい。どんどん仲間を増やさなきゃ。