エンジン

11月4日

 昨日の雨で、北アルプスが雪化粧した。美ヶ原もうっすらと白くなっていたから、息抜きドライブコースもそろそろシーズンオフである。美鈴湖までのコースも、あと1カ月ちょっとぐらいで終わりか。ビーナスラインの早朝ドライブは、もうあきらめた方がよさそう。

 本格的な冬の到来の前に、アウトドアでちゃんちゃん焼きをやろうと、仲間で集まった。ちゃんちゃん焼き、とは、鮭の切り身にもやしやキャベツなどの野菜を載せ、味噌と砂糖などで作ったたれをかけて、アルミホイルでフタをして蒸し焼きにする料理である。

 松本市の薄川(すすきがわ)の橋の下に陣取り、炭火をおこす。2つ火をおこし、ちゃんちゃん焼きと鶏の丸焼きをする。真っ正面に白くなった乗鞍。背後には美ヶ原の台上を控え、なかなかの景色の中、ビールを片手に、うちわを扇いで火力を保つ。僕はちゃんちゃん焼き担当。野菜から出た水分と味噌が混ざって鉄板にたまり、ぐつぐつとうまそうな音を立てる。最初に溶かしたバターのにおいがたまらない。

 絶妙な味に仕上がったちゃんちゃん焼きと、鶏肉を食べ、全身を弛緩させて午後を過ごす。

 夜、テレビを見ながら、クランクシャフトのラッピング。ファンヒーターがある部屋でパーツクリーナを多用し冷や冷やである。勢いで、クランクをブロックに組み付けた。

 古いメタルより新しいメタルの方がオイルクリアランスが広いのだけれど…。

11月3日

お化けパワーのB6エンジンが載ったNA6CEを運転した。腰下オーバーホール前で200馬力近く絞り出した嘘八百エンジンである。

カムは288度。戸田レーシングのφ81mmピストン1722cc。圧縮比は13.1!ぐらい。ウエーバーαのインジェクションシステムで、4連スロットルを制御している。はっきり言って、乗りにくいんだろうな、と思った。乗りにくい、とは運転者にスキルを要求する、という意味である。乗り手を選ぶ、と言ってもいい。

50キロほど、併走して走ったが、音がものすごくいい。バイクの音みたい。まだ慣らし中なため、5000回転ぐらいしか回していなかったようだが、かなり気合を入れて走らないと、離されそうだった。ある一直線のトンネルでは、ぐぐっと離されてしまった。

乗ってもいい、とのことだったので、はやる気持ちを抑えつつ、運転席に座る。クラッチはメタルが入っているというが、レガシーに比べれば軽い。キーをひねると、簡単に始動。バラッバラッバララという大作用角特有のアイドリング音が素晴らしい。雨だったので、気を付けないといけないな、と思っていたので、クラッチをつないだときは拍子抜けした。難しいことは何もなかった。

まだ慣らし中のエンジン。6500回転まで回すことを許された。1速で軽くアクセルを踏んで6000回転近くまで回すが、山も谷もないトルク。それでは、と2速に入れ、少し踏み込んでみる。3000回転ぐらいから力強い加速。がーんと回って6000回転に近くなった途端、シートに体が押しつけられる。パワーバンドに乗りかけ、やばい加速をしそうになったのだが、残念ながら慣らし中。製作者は「もう高負荷をかけても大丈夫」とはいえ、人の車。やはり、遠慮する。

普通に6速(NBミッションを移植してある)に入れ、2000回転で走っていても、きわめて普通である。よく「低速がすかすかになる」と言われるけれど、さすが圧縮比が高いこともあって、乗りやすい。アクセルを踏み込めば、どの回転数だろうが、たくましく加速する。

作った本人は「フラットすぎて」気に入らないみたいだが、僕のようにあまり腕がないドライバーなら最高。高回転の凶暴なパンチを体験できなくて残念。

はかりを借りてピストンとコンロッドも削ったし、充実した一日でした。

10月18日

 寒い。明日の最低気温は4度だそうだ。山の上はもう凍っているな。

 夕方、仕事場で座っていて仕事が増えるのも嫌だったので、密かに抜け出す。なんとなく、すっきりしたくてロードスターでいつもの山道へ。2往復もしちゃった。片道6キロぐらいあるから、激しく24キロ走ったことになる。前回給油してからまだ200キロも走っていないのに、燃料系が4分の1以下を指している。極悪燃費、激オイル食いの、環境に悪魔のような車である。

 暇だった昨日、ビデオを買った。怪しいやつじゃない。エンジンチューンがテーマのものである。はたから見たら、別の意味で怪しいか。

 パッケージには、さまざまな能書きが書いてある。いかにエンジンからパワーを絞り出すか、パーツの選択が重要だ、などなど。4AGやSRエンジンの中に、B6エンジンも入っていたから、何となく、買ってみた。13Bチューンまで盛りだくさんに入って、全部でたったの45分しかなかったから、その内容は推して知るべし。それでも、加工後の燃焼室がちらりとでも移っていれば参考になるな、と思って期待して見たら、案の定、何の役にも立たなかった。

 ごくごく普通に、エンジンの組み立て方の断片が収められているだけ。クランク回りのオイルクリアランスやエンドプレー、振れの測定(このサイトに掲載したばかりじゃないか)やバルブの当たりの見方、その他タイミングチェーンのかけ方など、普通の組み立て方を紹介しただけであった。パッケージにはハイコンプチューンとかいう文字が躍っているのに。「燃焼室はここを削れ!」「理想のポート形状はこうだ!」「B6エンジンにはこのピストンを使え!」とか少しは紹介してくれるのかな、と思っていたのに、やはりそれらは企業秘密なんだろうか。僕は少しはかじっているから、何となく感心する部分もないことはないけれど、これから始めようという人が見ても、なんだかよく分からないと思う。いったい、どこに焦点を絞って編集したのか、制作者の意図が全く見えてこない。「チューニング」をうたっておいて組み立て作業の羅列を見せるだけじゃ、詐欺に近い。

 以前にも、「サーキットドライビング」何たらというビデオを買ったが、これもまったく参考にならなかった。プロのレーシングドライバーが出演していたのに、擬音を交えた解説。素人にも運転させていたけれど、アドバイスが抽象的。自分で運転して車載カメラの映像を見せておきながら「そうそう、こうだよ」なんて、1人で話しているだけなのだから、救いようがない。

 中には出来のいいビデオもあるかも知れないけれど、今のところ2戦2敗。変態、と呼ばれてしまうぐらい速い人がロードスターで筑波を走った車載映像の方が、数百倍もためになった。

 でも、またそのうちにだまされるんだろうなあ。

10月17日

いつものショットバーで飲み、タクシーで帰宅したのが何時だったんだろう。それほど飲んだわけでもないのに、F1観戦の疲れが残っているのだろうか、かなり酔っぱらった。F1観戦の疲れ、というよりは、月曜日の夜勤でとっても眠かったので仕事場のソファで気を失って朝を迎え、天気が良かったのでドライブに出掛けたのがいけなかったのかも知れない。

出勤しなければ、と起きようと思ったら今日は休みであることに気付く。まだ、地球の自転を感じたので床から抜け出すことができない。外は雨だし、ドライブにも出掛けられない。一日ごろごろしているしかなさそうだ。

そういえば、こうして家でごろごろしている休日、というのはしばらくなかった。群馬に行ったり、サーキットに行ったり、F1観戦したり、と休みごとに何らかのイベントが盛りだくさん。充実していたけれど、エンジンをいじる時間はなかった。このサイトのメインのコーナーも、1カ月近く更新していなかった。昨日あわてて更新したけれど、待っていた人がいたら、ごめんさい。

「久しぶりにのんびりできるな」と考えたら、コンロッドが磨きたくなってきた。むくっと起き出し、作業服に着替え、グラインダーを片手に作業をする。顔が映るぜ。

やっぱり疲れがたまっているんだろう、作業が終わったら再び気を失った。暗くなりだした頃に起きる。マツダのディーラーに出掛ける。エンジンスタンドにシリンダブロックを固定するボルトをもらいに行ったのである。

ボルトは見つからなかった。代わりに中古のKONIのショックをもらってきた。オーバーホールして使おう。

今日の一日をそのまま表現したような、眠たい文章になりました。

9月26日

 エンジンオイルを交換した。29日のサーキット走行のためである。オイルは1カ月前にオイルクーラーを装着したときに交換してあり、3000キロ弱走行したと思う。しかし、まだ粘度もあるし、色もきれい。だって、交換してから4リットル継ぎ足しているんだもの(涙)。環境に極悪のエゴエゴエンジンである。オイルをたくさん消費する欠陥エンジンとはいえ、すでに7000キロ走行している。オイル消費は7リットルぐらい(涙)。この冬には積み替えをしなくては。

 ディーラーが統合される前はWAKOSのオイルを1リットル700円で入れてもらい、税込み2100円のオイル交換だった。しかし、今のところではWAKOSの4CTというグレードのオイルしかなく、1リットル1900円。オイル交換3.2リットルに4リットルを加えて(涙)、14000円もかかる。これは、痛い。今回はサーキット前ということで、甘んじたが、次からは純正オイルを入れてもらおうかしら。

 ヘルメットも買ってある。ディーラーを通じて買おうとカタログを見たら、異常に高い。スネルという規格に準じて高いものだと、定価97000円。JAF公認で安いものでも、37000円。公式のレースにでも出られるものだから、仕方がないのか。しかし、僕はサーキットを年に数回走るかどうか分からない、ストリート野郎なので、ここまでは必要ない。

 家の近くのホームセンターに寄ったら、あった。フルフェイスで7800円(税別)。色がガンメタなのが気に入らなかったものの、価格だけで購入した。

 油類は交換したし、ヘルメット、手袋も用意した。さらに、予備エンジン(笑)も買った。これで、サーキット準備は万全である。当日の服はどうしよう。長袖、長ズボンが必要らしい。

 オイルや液体ガスケットで汚れたつなぎの作業服か…。

9月19日

 嫌なことがあったので、昨日の夜は仕事を早めに切り上げ、ロードスターで出掛けた。29日にサーキットに走るので、練習のつもり。いつもの山道をとろとろ走っているだけだから、あまり練習にもならないんだけれど。

 山道を1往復して、まだ何となく帰りたくなかったので、そのまま美ヶ原高原に駆け上る。真っ暗な心細い山道。もし何かあっても、だれも助けに来てくれない。里を離れるにつれ、星空がだんだんと見えてくる。しかし、夜中に人里を離れ、おねえちゃんと2人で空を見上げたのなら、ロマンチックなんだろうけれど、ただ独り、見上げていると、空恐ろしくなってくる。未確認飛行物体が飛んできて、連れ去られたとしても、だれにも知られることがない。

 山道を駆け上っていると、木々の間に2つの光るものが。何かは分からないが、獣らしい。夜の美ヶ原は動物と走り屋(僕は違います)の世界となる。

 峠を越える。松本の美ヶ原林道を駆け上っても、ビーナスラインには通じていない。「台上」と呼ばれる地域は1970年代、自然保護運動があったため、自動車の通行が禁止されたのだ。車で通れば数分の距離なのだが、舗装もされてなく、通行止めとなっているので、回り道が必要。とても遠くなる。

 なんとなく、ビーナスラインを走りたかったので、峠を松本と反対方向に下り、再び駆け上がる。途中、道路工事をして信号機が設置されているも、対向車などあるわけがなく、無視。ぐんぐん上っていき、ビーナスラインに至る。標高は2000メートル。気温は10度少しぐらいか。

 霧(この標高だと雲か)がかかっていたので、思いっきりは走れなかった。霧ヶ峰まで走り、諏訪側に下りた。そのまま国道などを通り、松本に戻る。100キロ以上は走ったか。

 今朝、ロードスターのエンジンを始動したら、ラッシュ音が。レベルゲージにオイルがついていない。もしかして、オイル食いがひどくなっているかも知れない。

 サーキット、走れるのかな?

9月18日

 ロードスターのエンジンを始動してみたら、「ぶすぶすぶるるん」と何やらアイドリングがおかしい。どうも、1気筒死んでいる雰囲気である。こういう場合は、だいたい点火系がおかしいことが多い。永井電子のプラグコードはまだ変えてから2年3万キロ。不具合が出るとは考えにくい。とりあえず、2万キロ近く使用しているNGKの点火プラグ「IRIWAY7」を取り替えようと、仕事をさぼってマニアックな品揃えが気に入っている近くのホームセンターに行ったものの、休み。他のホームセンターには普通のプラグしか売っていない。

 今日1日走っていたら、普通にアイドリングしているみたい。原因は何だ。プラグコードのリークor点火プラグのオイル汚れのいずれかと思うのだが。

9月14日

 我が家に親がやって来る。明日、北アルプスの常念岳に登る予定で、親父も一緒に行くことになったのだ。両親そろって、そろそろ到着する頃である。

 エンジン加工部屋の戸は固く閉ざして置いたのだが、もう開けてしまったかも知れない。中央に鎮座するシリンダーブロックやクランク、ピストン類が散乱している有様を見て、言葉を失っているだろう。さらに、物干場に置いてあるビニールに包まれた物体が、新たなエンジンであることを知ったら、腰を抜かすに違いない。いや、もう抜かしているかも。

 明日は、雨の確率が高くて、山登りには行けないかも知れない。そうなったらどうしようか。来て3年、何度か親も訪れているので、そろそろ行くところもなくなってきている。

 そうだ、親父に手伝ってもらって、エンジンスタンドにシリンダブロックを固定しよう。一人だとかなりの重労働でも、もう一人いれば楽々できる。

 自らの倒錯した趣味に親まで動員する。まさに、鬼息子。

9月13日

昨日、休みがぶっ飛んでしまったので、今日はあまり仕事がないことだし、強制的に休むことにした。腰下のパーツを注文する必要があったから、何が何でも休まなければならないのだ。分解したシリンダーブロックをロードスターのトランクに詰めて、お世話になっている某自動車屋に向かう。

重量物をトランクに積んでいるため、かなり車の姿勢が後ろに傾く。ところがこの状態がとても乗りやすかった。足回りはもう少しいじる余地がありそう。

どうせ隣県まで行くのだから、楽しんでいくのだ。美ヶ原高原の標高1800メートルを経由する、いつものドライブコースを開幌状態で走る。松本は天気が良かったのだが、峠を越えた途端、2、300メートル下に雲が厚くたれこめていた。下の方で雨が降っていなければ良いのだが。

駆け下りていくと、いまにも雨が降り出しそうな天気。けれども雨は降っていないので、そのまま開幌状態で走る。車があまり走っていない広域農道を走り、群馬県との県境の峠を登っていくと、厚い霧が出てきた。霧と言うよりは、雲の中に突っ込んだ感じ。雨粒がフロントガラスに付くが、大したことがないのでそのまま開幌。ほどなくして、某自動車屋に到着する。

シリンダーは側圧方向が少々摩耗しているものの、ボーリングせずにこのまま組んでしまっても問題ないのでは、との意見。加工すると1カ所1万円で4万円がかかってしまうので、このまま使うことにした。排気量を増やす気がなければ、ボーリングはコストから考えると、あまり気が進まない。そのお金をカムにでも回した方がいいと思ってしまう。

部品を注文。純正のピストンにメタル類、ガスケットなどなど。クラッチとフライホイールも頼んだ。

いくら掛かっているかは、ご想像にお任せする。

9月9日

 朝5時に起きてシャワーを浴び、まだ薄暗い中を出発した。諏訪のB氏とビーナスラインで走る約束をしたのだ。松本の平らは薄曇りの天候。山の上は濃い霧がかかっているか、雨が降っているに違いない。それでも、山は稜線を越えると天候ががらりとちがう。諏訪側がどんな天候か、半ば期待しながら開幌状態で出発する。

 すると、家の近くでSLKがぶっつぶれていた。全損確実のダメージ。城下町の狭い道を飛ばしすぎ。もったいない。

 6時前、ビーナスラインに到着。山を駆け上るにつれて、だんだんと霧が出てきていたのだが、頂上に登った途端、小雨となった。他の車も少なく、快調に飛ばしているから、開幌でも濡れない。けれども、すれ違う車の人はかなり奇異な目で見るに違いない。

 諏訪の方へ向けて走っていたら、B氏とすれ違った。B氏も当然のようにオープン。急ブレーキしてUターンし、合流する。諏訪の方はまだ天候がよい、とのことなので、霧ヶ峰方面へ向かう。すると、こちらは曇り程度の天候だった。しかし、路面は濡れているので思いっきり走ることはできない。お互いの車を乗り比べたりして、過ごす。虹が出てきれいだった。NBもいいかも。

 有料時間が迫ってきたので、山を下り、諏訪のファミレスで朝食。B氏は午後、松本にアライメント(9800円!)を取りに来るというものの、せっかく諏訪に来たことだし、スープラを買った甲府の友達に会いに行くことにする。

 携帯に電話をするも、出ない。国道20号をひた走り、韮崎でもう一度連絡するが、出ない。甲府まで行って空振りするのもいやだったので、そのまま進路を清里に向ける。半ば放心状態のドライブ。小雨が時折降ったものの、濡れるほどではないので、ずっと開幌状態。すれ違うオープンカーはすべて屋根を閉じている。軟弱な奴らだ。まあ、独りで走っている僕も寂しいやつだけれど。

 再び長野入り。佐久を通り、千曲川ビューラインを走って松本へ向かう。松本へ通じる国道は有料道路。500円を払うのが嫌で、美ヶ原高原の標高1800m地点を経由して松本に下る。

 ニュースなどによると、佐久の東側や塩尻峠は大雨が降ったらしいが、不思議なことに道中の路面はかなり濡れていたのだが、雨は降らなかった。美ヶ原の峠を越えて松本側に出るまで、ずっと開幌状態を維持できた。

 B氏がアライメントを取っているお店へ行き、再び合流。スポーツファクトリーやら工具屋に行く。

 午後3時すぎに家に帰ってきて、さすがに早くに起きて300キロ以上走った疲れが出てダウン、意識を失う。夕方、起きてみると、意外と体力が回復していたので、ホームセンターで買い物をし、夕飯を食べて、エンジン加工部屋にこもる。オイル食いで死にそうなエンジンを早く復活させたい。腰下の分解に入る。

 オイルパンを外して、クランクを剥き出しにする。エンジンの摩耗をチェックするため、クランクのガタやら、コンロッド大端部のクリアランスを測っていたら、午後11時半。作業を中止する。

 かなり濃い1日でした。