4月7日

 4月18日の鈴鹿クラブマンレースRound2に参戦することになった。

 FJで本格的な練習を始めたのが、3月5日の鈴鹿南コース。7日に西コースを走り、20日のフルコース、4日の西コースとまだ4回しか走ったことがない。たったこれだけの経験で出るかどうか迷ったが、「いい結果はでないかもしれないが、出るんだろ?」とレース屋さんに言われたので、腹をくくった。限られた期間の限られた回数しか開かれないレースである。1戦たりとも見過ごすのはもったいない。10日と17日の2回の練習で形になるようにがんばろう。

 で、エントリーの書類を書いた。経験者のDさんに書き方を教えてもらう。基本的に箱のレースと違ってフォーミュラだから書く内容は少ない。

 一番、悩むのがエントリーネームかもしれないが、僕はあまり悩まなかった。レースに出るきっかけを作ってくれた総監督のチーム名「飛騨石倉組」と、オイルを提供してくれるメーカーの「アップワード」、メンテナンスガレージのスキルスピードの「スキル」で14字。それぞれの単語の間に空白を入れると見栄えが良くなるが、2文字増えると16字で上限の15字を超えてしまう。あと1文字をどうしよう、と思ったのだが、このサイトを見てくれる人が一発で分かるように「雅」を入れた。ゼッケンも自分で決めるのだが、一けたの数字はすでに他の人が押さえている。二けたの数字で決めるのだが、これもこだわりがなかったので、ある人に「二けたの数字で何番が一番好きか」と突然聞いたら、「72」とのことだったので、72番に決定した。

 飛騨石倉組アップワードスキル雅 ゼッケン72

飛騨石倉組アップワードスキル雅72

というなんともちんどん屋チックな名前になった。総監督曰く「速そうじゃねーな」。

 とにかく、4月18日レースに出ることになった。西コースは東コースのようなスタンドはなく華々しさはないけれど、草レース的な雰囲気を楽しめると思う。ご都合の付く方はぜひ、観戦を!

4月5日

 最近、エンジンからノッキングが出まくりである。

 気温が低い時期は問題なくても、暖かくなるに従ってノックの限界が下がってくるらしい。4000回転あたりでアクセルを踏むと、かりかりと音が聞こえる。最近はFreedomをいじるのも面倒になってきたから、そのまま放置してある。サーキットでがんがん走っているわけじゃないから壊れないでしょう。

 そのエンジンもすでに25000キロを走行した。まだまだ壊れなさそう。

4月4日

 西コースでの練習。3月7日の西、20日のフルコースに続く3回目の本コース。が、またしても雨模様であった。最初の走行は雪がちらつき、スリックで走ったけれど、初めてであることもあって、非常に怖い思いをし、20日は午後から雨が降ってウエット路面での走行。そして、またしても雨である。そして、普段なら午前、午後にそれぞれ2枠ずつ、計4枠2時間走ることができるのだが、今回は午前中に1回の計3枠しかない。

 前回は、雨が降ってからはただおどおど走っていただけで、練習にならなくてもったいないことをした。雨だからこそ、ドライより低い速度でいろんな挙動が体験できる。全体を速く走る必要はまだない。テーマを決めて走り込めば、路面の違いはあまり関係ない。前回は貴重なフルコースの2枠をもったいない走りで終わらせてしまったから、今回は気合を入れて走ることにする。

 日々、次はどのように走るかを考える生活になってしまった。今回のテーマはリアが流れることに慣れることだった。フォーミュラはグリップで走るものとの固定観念があったのだが、グリップ走行の範囲内で走っていたら、一生速くは走れないらしい。FJは空力デバイスがないから、余計にグリップを超えたところのコントロールが要求されるんじゃないだろうか。と、一人で勝手に想像している。

 リアが流れる、と簡単に書いているけれど、かなりのアングルが付いてから対応してもなんとか持ちこたえられるロードスターと違って、やばい、と思ったらすでにコントロール不能になっているのがFJだ。それで何度かスピンやコースアウトしている。リアのタイヤのスリップアングルを感じながら走らなければならないのだが、感じたときには手遅れ、というのが今までだった。それを何とかしたい。

 西コースだと、練習になるコーナーはどこか。ヘアピンやショートカットでは車速が落ちすぎていて練習にならない。130Rやスプーンの1つ目で最初から攻めたらマシンが何台あっても足りないだろう。やっぱりデグナーかな、と思って最初の走行に望む。

 困るのがヘルメットの曇りだ。しかも、メガネをかけていると両方とも曇ってしまって危ない。走行前にピットレーンに並んでいるときからすでに前が見えない。スクリーンを半開きにしておき、走り始めればすぐに晴れるのだが、開けておくと水滴が侵入してきてまた視界を妨げる。いずれにしても危ないことこの上ない。

 かなりの降雨量だったので、路面は完全に水で覆われて、ほかの車の後ろに付くとまったく視界がなくなる。いちおう、雨の日はテールの赤いランプを点灯するのだが、まったく見えない。そんな状態で前の車にくっついてコーナーに突っ込んだら、追突してしまいかねない。だから、ほかの車の後ろについてしまったら、あきらめてラインを変えたり、早めにブレーキを踏んだりするしかなかった。

 走り始めて数周で赤旗が出てすぐにピットイン。レース屋さんが来てくれており、「デグナーの2つ目はジワリとアクセルを開けるんだ」とアドバイス。上り坂になっているから、いつまでもケツを振っていると、ヘアピンまでの加速でかなりの差が付いてしまう。肝に銘じてコースイン。ウエットが初めての人なのか、かなり遅いペースの人がいるので、コース上は渋滞気味だ。いらいらしながらヘアピンまで走り、200Rへの立ち上がりで前の車に付いていって、フォーミュラエンジョイやFJを何台か抜く。

 ようやく攻められると思ったら、前の車に付いて行きすぎて、スプーンコーナーをオーバースピードで進入。気が付いたときには回復不能なぐらいリアが流れており、精一杯カウンターを当てるも、そのままコースアウト。我がマシンは土の中に埋まった。土の中で横っ飛びしたものだから、コックピットの中まで砂利が降りかかってきた。20分ぐらいスプーンコーナーを見学する。貴重な時間が見学になってもったいない。

 間近で見学すると分かるのだが、やっぱり速い人はコーナーの進入から立ち上がりまで動きが全然違う。フロントタイヤにリアタイヤが付いていく感じではなくて、ドライバーを中心に車がコマのように回ってコーナーを旋回する感じ。ドライバーはかなり忙しく動いているに違いない。

 こんなときの20分はかなりの長さに感じる。ようやくチェッカーが出て、マシンのところまで駆け寄ると、シートに水たまりができていた。サーキットの車に引っ張ってもらってコース上に出してもらい、シートに尻を付けないように変な体勢でピットに戻る。急ブレーキを踏むと、乗っていた砂利が「ざーっ」という音を立てて落ち、いくぶんか作業が楽になるのだが、さすがにコースを汚すようなまねはできなかった。ピットに戻れば、マシンの掃除が待っている。とにかくどろどろなので、カウルは外して水道で洗い、アームやエンジン周り、アンダーパネルは水をかけて泥を洗い流す。ウエスで綺麗にふき取る。

 お昼を食べる。Dさんからアドバイスを受ける。

 午後からの走行。デグナーへの進入を練習する。1つ目は進入速度が速くて練習にはもってこいなのだが、まだ怖くて攻められない。2つ目をまず攻めることにしたのだが、なかなかうまくは行かない。2枠目は無事完走。レース屋さんからは「形になってきた。デグナーへの進入で、最後の1周でやっていたようにカウンターを当てる感じで走れ」とアドバイスを受ける。総監督は「まだアクセルやブレーキのふみ方、ハンドルの切り方が雑。丁寧に。さらに130Rでアクセルを抜くのが一番早い。みんな怖いんだからがんばれ」とのこと。肝に銘じる。

 レース屋さんから、シートの位置について注意される。「そんなに身長がないくせに、肩まで飛び出していて格好悪い。そんなに起きた姿勢じゃ、マシンの挙動をちょっと高い位置、背中で感じることになってしまう。もう少し潜り込むように座って尻で挙動を感じるようにしろ」とのこと。シェイクダウンのとき、首があまりにも痛かったから、寝そべるように座る姿勢がもう少し起きるように背中にスポンジを張っていた。これをばりばりとはがして座ってみると、なるほど、潜り込むような姿勢になって目の位置もかなり下がった。特にハンドルやシフト、ペダルの位置に不具合はない。3本目に突入。

 かなりウエット路面にも慣れて、コーナースピードが上がったのが実感できる。数周して、130Rへの進入に向けストレートを加速したら、赤旗が出たのでピットに戻る。出たタイミングが良く、再開後は一番先にコースに出ることになった。ほかの車がいると、視界がなくなって思ったように攻められない。それでも、タイヤが冷えているスタート時からトップでコースインするのはまだ怖いから、ありがたい赤旗だ。

 赤旗解除後、コースインして130R。まだ暖まった状態らしく、十分、タイヤが食っているので後ろの人に抜かれる前に攻めることにする。デグナーの進入、ヘアピン前のブレーキ位置、200Rのライン取り、スプーン前のブレーキングポイント。2つ目のスプーンのライン取り。いろいろ考えながら走る。そして130R。まだ突っ込むのは怖いから、加速重視のかなりびびりが入った進入しかできない。

 何台かに抜かれる。僕より速い人たちだから、先に行ってしまうので邪魔になる心配はない。驚いたのは、抜かれてもしばらく付いていけることだった。明らかに今までと比べてスピードが乗っていて、それでもコントロールができたので、なんだか自分で操縦している気がしなかった。

 今回もデグナーの進入を重点的に練習する。今度はデグナー1つ目の練習だ。かなり怖いが、エスケープゾーンが広いので大丈夫だろうと、楽観的に攻める。甘く考えすぎて大スピンをしてしまった。何とかコース上にとどまったので再スタート。数周後、今度はデグナー2つ目でリアを流しすぎてスピン。コーナーの出口でスピンしてコース上に止まると、ほかの車が突っ込んでこないか、非常に恐ろしい。

 路面が2本目より良かったこともあって、タイムも上がった。レース屋さんもデグナー進入についてはほめてくれた。ウエットでは良くても、ドライではどのくらい攻められるだろうのか。まだまだ練習が必要だろう。

 雨の中、駆け抜けてくれた愛車を工場できれいに洗う。だんだんと自分のマシンである実感がわいてきて、愛着がわいてくる。

4月3日

 夜中、突然ヘッドライトが消えてしまって焦った。

 なんとなく兆候らしきものはあった。メーターパネルのハイビームの青い表示がうっすらと点灯していて変だなと思っていた。左側のヘッドライトがなんだか暗いな、とも。

 街頭もない暗闇の場所だったが、携帯電話の液晶バックライトの明かりを頼りにまずはヒューズを調べてみる。エンジンルーム内のヒューズボックスのヘッドライトヒューズ30A。抜いて確認してみても、特に問題がある様子はない。他のヒューズを抜いて刺してみても変化はなし。ここではなさそう。

 ほかの回路のヒューズが切れて変なことになってしまっているのか、と思い、運転席の足下に潜り込んでチェックしてみる。いろいろ調べてみたけれど、どこも正常に機能しているし、ヒューズが切れた様子はない。

 暗いのでヘッドライト周りの分解はあきらめて、危ないが車幅灯だけ付けて帰宅する。警察に見つからないか、冷や冷やしながら。

 翌日、仕事の途中、ホームセンターに寄る。とりあえず、バルブだけでも変えてしまおうと思った。2個1500円ほどの安いものを買い、ヘッドライト周りをばらす。

 ここでトラブルを発見。ヘッドライトのバルブを取り付けるソケット部分のプラスチックが熱で溶けていた。しかも左右両方だ。右側などは、配線の被覆が溶けて導線が剥き出しになっていた。危ない。

 そういえば、最近、夜に走っているとき、車内に変なにおいが侵入してきていた。サーキットや峠でブレーキが加熱したときや、クーラントが漏れてエキマニにかかったようなときに出るにおいに似ていた。気になって冷却水やブレーキの引きずりをチェックしていたのだが、まさかバルブの根本が熱を持っているとは想像すらしなかった。

 溶けたプラスチックがバルブにくっついて、外すのに手こずる。とりあえず、ソケットとしては機能しそうだったので、とりあえず新しいバルブを取り付けてみて、ヘッドライトスイッチをオン。問題なく点灯した。外した古いバルブを調べてみても、フィラメントが切れている様子はない。なんだかおかしい。

 富山の車屋さんに電話したところ「やばい症状だから一度電装屋に見てもらった方が良い」とのこと。たしかにそうだ。とりあえず、しばらくバルブを点灯させてみて、溶けたあたりを触ってみても熱をもっていなかったから、水がかかっても大丈夫なようにビニールテープでぐるぐる巻きにして組み立てて置いた。

 バルブの問題なのか、車両側の回路の問題なのか。後者だったら相当やっかいなことになりそうである。

4月2日

 スーパーを回る機会があったので、消費税総額表示で店内の価格表示がどう変わったかを見ることにした。スーパーと言えば、チラシや店内のポップ表示に「148円」だとか「298円」とかいう、末尾に「8」の数字を使うのが特徴だ。どうも、100円じゃなくて98円、150円じゃなくて148円、200円じゃなくて198円とするのが消費者の心理的に、品物をかごに入れやすい数字らしい。高額の家電製品にしても同じで、39800円だとかそんな表示をよく見かける。

 市場近くのジャスコでは、ポップ表示に本体価格が併記されていた。たとえば、愛媛産のイヨカンであれば、赤字で大きく417円と書かれ、その下に少し小さな時で「(本体価格398円)と書かれている。グレープフルーツの609円(本体580円)みたいにこれまでの価格設定に消費税を上乗せしているものが多かった。逆に、熊本産とよのか(イチゴ)なんかは、397円(本体379円)と、400円を切るように設定したことが分かるものもあった。それでも価格の末尾が奇数だと、どうしても違和感を感じてしまう。これまでいかに「8」に慣らされてきたのか、ということを改めて実感する。

 もう一つ、目立ったのは独自開発の「トップバリュー」ブランド3月25日から値下げしました!というポスターだ。例えば、本体価格128円だったのを、消費税込み128円になるように122円に値下げする、といった具合。総額表示の割高感を解消して、競争他社に差を付けようという戦略か。いずれにしても、店内にレシートの見方だとかをきちんと張ってあるところ、まじめに取り組んでいる姿勢が伺える。

 迎え撃つのは、イオングループと同じ「勝ち組」・イトーヨーカドーで、こちらは4日まで消費税総額表示の割高感解消10%割引セール。レジで消費税込みの価格から1割引く、というのだから、思い切ったセールだ。

 店内の価格表示だが、緑区のイトーヨーカードーでは、アスパラガス199円、とちおとめ(イチゴ)399円などとの総額だけを表示する方式。末尾が「9」の品物か、100円、200円というようにキリがよい数字が目立った。これもちょっとこれまでと雰囲気を変えることで、総額表示による便乗値上げがないことをアピールしているのかもしれない。

 一方、ナフコやヤマナカ、ユニーなど名古屋周辺の地元スーパーでは、これまで通り、「8円」の価格設定が目立った。本体価格も書いていないから、総額表示前と店の雰囲気がまったく変わっていない。入り口付近に「総額表示に変わりました」というポスターだけ張ってある。

 面白いのがレシートで、ほとんどのスーパーが合計金額とは別に「内消費税いくら」という表示があったのだが、イトーヨーカドーだけは消費税がいくらかまったく記載がなかった。これはコンビニのセブン−イレブンやファミレスのデニーズなど、イトーヨーカ堂グループのお店も同じ。いくら税金を負担しているのか書かない、というのは、なにか裏に意図を感じてしまうのは僕だけではあるまい。消費税がいくら含まれているか書かない方式だと、将来、消費の税率が10%とかに上がった場合でも、実感が薄くなってしまうことは確かである。

 たかが価格表示なのだけれど、いろいろ見比べると、それぞれの企業の思想や思惑が出ていて面白い。

4月1日

 消費税の表示方法が変わったらしい。これまで本体価格の表示だったのが、税込みの総額表示に切り替わった。ようするに、将来税率10%以上としたときに増税を実感できない形の表示にしたい、ということなのだろう。

 面白いのがスーパーとコンビニと百貨店で表示の計算がちょっと違うことだ。たとえば、150円の本体価格について、スーパーは1円以下は切り捨てて表示する。コンビニは1円以下を四捨五入、百貨店は1円以下を切り上げで表示する。

 150円の5%は7.5円だから、スーパーでは157円と表示する。コンビニと百貨店では158円。スーパーは安いことに一番の価値を置くから、少しでも安く表示する方式を、コンビニは名前の通り便利なことに価値を置いており、価格は定価が基本で二の次だから、四捨五入。百貨店はそもそも端数が出るようなものを並べちゃいない、ということらしい。

 ロードスター関係のネット通販ページでも法律に従うなら総額表示が必要となる。おお、RSファクトリーSTAGEさんはすでにきちんと税込み価格を書いているじゃないですか。芸が細かい。

RSファクトリーSTAGEさん

 帰りがけガソリンスタンドをチェックしたら、やっぱりリッターあたりの単価に5%が上乗せされていた。突然高くなった気がするけれど、実は全然変わっていない。と、思わせておいて、絶対に便乗値上げがあるに違いない。間違い探しのごとく、便乗を探す日々が続きそうだ。

3月31日

 この世に発生した日であるなら、世間一般ではめでたいことになっているかもしれないのだが、問答無用で仕事である。

 とこの2年間、同じことを書いている。2年間、まったく進歩はない。

 発生日だから、というわけじゃないのだが、昼ご飯は仕事場の仲間で名城公園まで出かけてそろそろ満開を迎えている桜を見ながら弁当を喰らった。空は春霞で白っぽく、まぶしいほどの青い空の真下でというわけにはいかなかったけれど、とにかく快晴であった。

 よく考えてみると、名古屋城に訪れたのは小学校の遠足以来のような気がする。すぐ近くにあるのに、なかなか寄らないのはやっぱり、小学校のときにがっかりしたからだろう。姫路城をしのぐ素晴らしい建築だったのだが、戦災で焼けちゃった。昭和34年にできた今の名古屋城は、鉄筋コンクリート製。エレベーターまで備えた近代的な建造物なのである。松本城はいくら小さく、城内の階段が急で、内部は頭を打ってしまうほど狭くても、400年の歴史があるというだけで名古屋城に勝っている。当時のままの姿に再建すれば良いと思うのだが、今の名古屋市の財政状況では無理だろう。

 桜の木の下には青いビニールシートを敷いて夜の宴会の場所取りをする会社員の姿もある。彼らを横目にお花見弁当を喰らう。風があって上着無しではちょいと寒かったが、何となく春っぽい気分を味わった。

3月30日

 松本に住んでいたとき、さんざんお世話になったディーラーの店長さんから電話があった。僕がでかでかとRoad&Sterに載っていたのを見て、電話してきてくれたのだ。やはりメディアの力はすごい。

 僕が最初に言った1998年には「ユーノス信州」という名前で松本市の白板にあったお店だった。マツダスピードとしての看板もあったので通い始めたのだ。いつしか、白板のお店は廃止になり、スタッフは村井のディーラーに異動してしまった。ディーラーの統廃合で名前もころころ変わり、まず信濃マツダに変わって、それから長野マツダになり、今は甲信マツダになった。自動車販売業界の荒波をそのまま体現しているようで面白い。ロードスターでツーリングに出かけて南松本の周辺でトラブルが起こったら、甲信マツダの松本村井店の店長を訪ねると、いろいろ詳しいので力になってくれるはずである。

 4月6日に瑞浪に走りに行くから来ないか、とのお誘いだった。さすがに平日だから無理だろうな、と思いつつ、朝ちょっと顔を出して、それから出勤すれば可能かもしれないなと、密かに企む不良社員なのであった。

3月29日

 送別会があったので、今月2回目の飲酒。異動で仕事場から人が一人抜けるのだが、補充がないので歓送迎会とならないところが笑えないところである。

 あまり飲みたくないと思いつつも、席に座って入ればコップに自動的にビールが注がれるので、どうしても飲み過ぎてしまう。ふらふらになりながら2次会のカラオケへ。

 夕方までに仕事が終わらなかったので深夜再び仕事場に戻る羽目になった。酒臭い息でまだ仕事をしている人たちに迷惑をかけ、さらに仕事場のソファで寝てしまった。いびきをかいていたかもしれない。何時間も寝込んでしまい、結局家に帰ったのは午前4時ぐらいだった。

3月28日

 鈴鹿で開かれたフォーミュラ・ニッポン開幕戦に出かけてきた。市場の魚屋さんがチーム「COSMO OIL CERUMO」のトライバー・松田次生のスポンサーを知っている関係で、パドックパスで中に入れてもらえるとのこと。これは行くしかあるまい、と待ち合わせの午後1時半に着くようにロードスターで出発する。

 高速が込んでいたので桑名で降りて、国道1号に乗り換えたがこちらも込んでいた。素直に行った方が早かったに違いない。わんだぁあぐり君の横をすり抜けて、鈴鹿の住宅街を抜け、勘で走っていったらピットクルーレーシングの横を通ってサーキットに到着した。

 が、駐車場に入る車で渋滞。車列に並んでいたら間に合わないかもしれないので、裏道を走って回り込み、西コース入り口の手前の駐車場に割り込む。サーキットの入り口では、先日届いたばかりのSMSC会員証を見せれば中に入ることができる。ちょっと優越感。

 普段の練習やクラブマンレースのときとは打って変わってサーキット内はなかなかの人混みだ。それでも、3年前にF1に出かけたときとは比べものにならないが。ちょうど2輪のレースをやっており、ホームストレートを弾丸のように走り抜けるバイクが見える。だいたい200m看板のところでブレーキをかけていた。4輪ではもっと奥でブレーキのはずだから、やはり違う乗り物だと実感する。F3なんかは、コーナーの直前までアクセル全開だった気がする。

 魚屋さんに出会い、ワールドクサリヤという会社の専務さんと待ち合わせてパスをもらう。グランドスタンドからトンネルをくぐってパドックに入る。見慣れたパドックも、フォーミュラニッポンの開催日となると様相がまったく変わる。なにより、人が多い。レースクイーンなお姉さま方がたくさん歩いている。

ワールドクサリヤ

 「COSMO OIL CERUMO」のピットにたどり着き、専務さんはずかずかと中に入っていく。躊躇していると、「入っても良いよ」とのこと。おお、さすがスポンサーさん! と尻尾振って付いていき、フォーミュラニッポンのマシンに対面する。

 レース30分前。ピットの中ではピットクルーがあわただしく動き回る。カウルを外されたマシンがジャッキアップされていて、ちょうどエンジンに火を入れるところだった。エア・スターターで無限MF308・V8エンジンが一発始動。ぶばん、と爆音が響き、ずばばっばと意外に普通のアイドリングをしている。メカニックが樹脂でできたファンネル一つ一つにライトを照らして確認。別のメカニックは車体につながれたパソコンをにらめっこしている。

 メカニックがスロットルを開く。ふぉん、ふぉん、ふぉんと素晴らしいレスポンス。鼓膜がしびれるほどの爆音が響くかと予想したのだが、思ったより大人しかった。コックピットにもメカが乗り込み、ステアリングについたデジタルパネルの表示とにらめっこしている。クラッチがつながれて、駆動輪がぐるぐると回っていた。

 5分ほどで外に出て、松田選手のお父さんと挨拶する。最近は、漢洋堂という健康食品のお店のプーアルティーカプセルが売れているという。フォーミュラニッポンの松田が3カ月で12キロの減量に成功! と宣伝したらばかすか注文が入ったのだとか。そして、そのお売り上げがまたスポンサー料に還元されるという世界。数千万単位で毎年出せるスポンサーがいないと、走れない世界でもある。資金力も実力のうちなのだ。

漢洋堂

 1・2コーナーのスタンドでストップウオッチを片手に観戦する。予選5位の松田はスタートで1つ順位を上げて順調な滑り出し。1分50秒後半から51秒前半の安定したラップを刻む。ピット作業でちょっと手こずったものの、他の車と絡むこともなく独自の戦いであった。

 小暮卓史(PIAA NAKAJIMA)とPPの井出有治(mobilecast IMPUL)のデッドヒートは見物だった。テールトゥノーズ、サイドバイサイドのやり合いだ。自分も走ったスプーンや130R、シケインで駆け引きをしているのが、なんだか別世界のようである。結局、井出がヘアピンで追突して自爆してしまった。小暮が優勝。松田も4位で惜しかった。バトルを見たかったけれど、終始淡々と危なげないレースであった。自分の今の実力と、世界が違うことだけは思い知った。