12月13日

 寝ずに往復900キロも走って、人様が走るタイムだけ記録して、そのままとんぼ返りするなんて、よほど奇特な人間に違いない、と思われるかもしれないが、それは違う。タイムを記録することの持つ重要さを実感しているからこそ、そこで真剣に走る仲間たちの顔を思い浮かべると行かざるを得なくなるのである。

 レースとなると、ベストラップだけ追求していたのでは勝つことはできない。平均して速く走らせる技量が求められるし、耐久レースともなれば前後に走っているライバルとの位置関係を気にしつつ、タイヤをいたわりつつ、速く走らなければならない。ピットストップやドライバー交代にかかった時間も勝敗を分ける重要なポイントとなる。時にはピットストップのタイミングを変える作戦だって必要だ。

 タイムの一覧を見れば走ったドライバーは、それぞれの周回をどのように回ったのかが思い出せる。ライバルのタイムもにらみながら自分の走りについて、あれこれ反省できる。次に向けてのイメージトレーニングもできる。実はこれがもっとも大切なのだ。

 サーキットに行ったって、たかだか30分を3本程度走るだけ。そこで経験できることは意外と少なく、あれこれ試すというよりは、いままでやったことの集大成で走るという感じだ。走行しながら、コースのどこでどのようなことを試すのか。走りながらではとても追いつかないので、少ない走行時間を生かすために事前にイメージをして準備することが必要となる。

 偉そうなことを書いているが、僕がそれをできなかったことを反省して書いているのである。これからばんばん走るから、とタイムを気にせず、コース上であがいていたのだが、今から振り返ればただ無駄な時間を過ごしていただけだった。サーキットで走るのはお金と車が必要なのだから、仕事や家庭の都合や事故でいつ走れなくなるか分からないのである。そのときそのとき、短い時間を最大限生かすべく努力しないと、後に残るのは後悔だけになってしまう。

 つらつらと書いているのだが、間瀬サーキットがタイムの記録表をプリントアウトして渡してくれれば、僕が書き取る必要はまったくないのだけれど。

12月10日

 日曜日は朝から仕事だったので、間瀬からとんぼ返りで帰らなければならなかった。みんなの耐久レースは終了したが、往復900キロの僕の耐久レースはまだ折り返し地点である。前日の朝からロードスターの中でうとうとしたぐらいで寝ていないから、ちゃんと帰れるか不安である。

 豚汁やジンギスカン、カニをわしわしと食らい、片づけをして富山勢とともに長岡のRS
factory STAGE
に寄る。Tさんとはなぜか各地で良くお会いするのだが、お店に行くのは初めて。最初に足を踏み入れた場所は倉庫かと思ったら、工場だった。リフトがある場所に1台だけ、車が入るようになっていて、あとはエンジンやらミッションやらエキマニやらマフラーやら、知らない人がみたら、まったく価値のないものが無造作に置かれていると思うに違いないが、僕が見ると宝の山であった。ロードスターのモノコックさえ持ってこれば、数台くみ上げられるくらいの部品の数々。

RS
factory STAGE

 あまり長居するとただでさえ30数時間起きていて寝不足なのに、それを助長してしまうので、早めに失礼をする。とりあえず、小千谷から国道117号へ。早朝はまったくがらがらでびゅーんと走り抜けた道も、夕方は交通量が多くてのろのろ運転。十日町との境で睡魔に襲われ、路肩に車を止めて30分ほど意識を失う。そんなこんなで県境までにたどり着くのにかなりの時間を費やした。

 なるべく下道を使って帰ろうと思ったのだが、中野市にたどり着いたところで午後8時をすぎていたので、不本意だが高速道路に乗ることにする。次の日は6時半起きだから。40時間近く活動しているのだから、せめて6時間は寝たい。

 高速へ。やはり下道よりは早い早い。信州中野から小牧まであっという間に到着。30分の仮眠が効いて、なんとか無事に走りきることができた。

 日曜日は朝から犬山へ。石田市長が県知事選に出馬することによる市長選挙。8人も出馬するという前代未聞の選挙のある候補の事務所に行って仕事をする。

 県議だった田中さんと、前回市議にトップ当選をしたビアンキさんが有力と見られているようだが、田中さんは民主党に鞍替えした石田さんの後援会と重なっている関係でなんとなく「色」がついてしまい、思ったより票が伸びないかもしれない。ビアンキさんも、市長選ということになるとみんながみんな投票するかは疑問。前回の倍の7000票がマックスか。

 ダークホースは33歳の山田さん。26歳で市会議員になった人だが、自民系の票がどっと押し寄せて雪崩現象が起こる可能性もある。意外に、25%未満の再選挙を踏まなくとも、1回だけで決まるかもしれない。

12月8日

 明日は間瀬サーキットで、CoomacCUP最終戦。土曜日は朝から仕事なので、行くとしたら自分の車で直接たどり着くしかない。雪は降っていないようだから、ノーマルタイヤにチェーンさえ積んでいけば大丈夫でしょう。

 下道で行ったら何時間かかるんだろう。松本までが4時間弱。長野ぐらいが中間点なので、10時間ぐらいか。今は午後9時なので、もう出発しないと間に合わない計算。長野あたりで高速を使うか悩むことになりそう。

 遠すぎるのでなんとなくくじけそうなのだが、大量のカニがあるという情報が舞い込んできた。カニの山盛りをモチベーションに、ひたすらドライブするのだ。

12月7日

 前回から、2週間近く経過してしまったが、続きを。

 木曽谷から塩尻に出て、奈良井川沿いを走って松本に向かう。今回は、わざと込む区間を通って、松本の中心部を走ることにする。松本を離れて4年、どんなふうに街が変わったかを見たかった。

 奈良井川沿いから、市場の角を曲がって国道19号に向かう。途中、お世話になったマツダのディーラー前を通った。「松本市内の国道19号でもっとも込む」と言われても不思議でない区間を通って、中心街に向かう。

 思いがけないところにコンビニができていたりして、驚いたことはあったものの、松本市内自体はあまり変化がなかったようだ。松本城に突き当たり、市役所の隣を通ってさらに北上することにする。

 国道143号は、前回10月に信州を訪れたときにも走ったから、変化は感じない。ぐねぐねの細いワインディングロードを猛スピードで走り抜ける。前回は途中で別所温泉方面に曲がったが、まっすぐ走って上田市内。真田町方面へ。国道144号を群馬方面へひたすら走る。

 途中、県道におれて草津温泉へ。みやげ物屋で白骨温泉で使われていたことで有名になった入浴剤「草津温泉ハップ」を2リットル購入。今回の目的の1つをクリアした。

 前回と同じ温泉施設へ。長めに入って出るとすでに午後6時半であった。どこかに寄るような時間でもなかったので、まっすぐ家に帰ることに。

 ガソリン携行缶でトランクに20リットル積んであったので、ガス欠テスト。国道146号を軽井沢へ向かう途中、軽井沢への下りにさしかかったあたりの峠道で突如、ガス欠となった。NA8Cはガソリンがなくなるかなり前からガス欠症状が出て分かるらしいが、NA6CEはぐぐっとエンジンのトルクが落ちたと思ったら、200メートルぐらいで完全にエンジンが停止してしまった。路側帯もないような場所ですでに暗くなっていたので、とても焦る。側溝ぎりぎりまで寄せてハザードを付け、給油。後続車に迷惑をかけてしまった。ガス欠には注意が必要だ。

 そこから1時間半ぐらいかかって女神湖経由、霧ヶ峰。さらに1時間で木曽谷に入り、もう1時間で中津川から坂下町へ。国道19号ではなく、木曽川沿いの山道を通って帰れないかを模索したが、木曽川沿いの国道が通行止めになっていることもあり、相当な遠回りになることが判明したので引き返す。

 結局、帰ってきたときには日付が変わっていた。

11月25日

 午前7時前に出発して、一路草津へ。高速道路なんて使わない。走ること自体がレクリエーションなのである。

 国道19号を通らないで中津川まで行く良いルートを探している。基本的に、すぐ北を流れている木曽川を上流に伝っていけば、木曽谷に入るはずだ。

 堤防道路から犬山、可児と抜けて八百津へ。国道を走っているつもりだったのに、いつの間にやら知らない県道を走らされていた。地図を見ると見当違いの方向へ走っていたので、ルートを変更。適当に走っていたら、すれ違いも難しい林道のような道になってしまった。カーブミラーもあまりないから、昼間はスピードを出すことはできない。

 あれこれ迷ったりしているうちに、なんとか19号へ。素直に19号を走った方が楽だし燃費も良いし、早い気がする。

 快晴だったのだが、オープンにはしていなかった。駐輪場の屋根の下に車を止めているので、中途半端に雨がかかって、しばらく放置すると廃車のようにどろどろになってしまう。ガソリンスタンドの洗車機に突っ込むのだ。

 福島の手前で洗車コーナーを発見。ドアミラーを折りたたんで突っ込む。たぶん、幌車は想定していない気がするのだが、これまで問題がなかった。

 破れかけの幌は押さえていないと、水が激しく進入する。800円と高かったのだが、ブラシが3往復もしたので納得の価格。ぴかぴかになったに違いない。

 洗車コーナーから車を出し、ドアミラーを元に戻して幌開けて、さあ、出発と思ったらトラブル発生。

 音もなく、ぽろっと右側のミラーが取れた。びりびりとエンジンに合わせて振動するな、と思っていたのだが、根元が腐っていたらしい。取れたミラーを振ると、からからとなにやら大きな部品が入っている音がする。そして、穴からはさびた鉄がぼろぼろといつまでも出てくる。どんな部品が入っているかは知らないけれど、相当腐っていた様子。

 先ほども書いたけれど、今のすみかに来て、ロードスターは駐輪場の屋根の下に止めてある。位置的に運転席側に雨がかかる形。普段から乗っていれば問題なかったかもしれないが、丸ごと1年間、放置してあったのが悪かったかもしれない。20万キロオーバーのポンコツ丸出しの出来事である。

 さすがに片方のミラーが付いていないと、本当にポンコツみたい(あ、みたい、じゃないのか)だし、なんとか付けられないかしら、としばらく思案する。

 ボルトがないから、別のボルトで代用しなければならない。洗車場を見回すと、あった。5センチぐらいのボルトが。そして、なんと工具袋に入っていたナットがドンぴしゃで使える。ピッチも同じ。奇跡だ。

 右が拾ったボルト、真ん中が工具袋にあったナット。ボルトに付いている丸いプラスチックはミラーの部品。ちょうどぴったりとはまった。

 瞬間接着剤もあるので、ナットをミラー側に固定して、ねじで締め上げれば車体に取り付けることだけはできる。可倒式からリジットに変わるから、後ろを見る、という役割は果たさないけれど。

 どうせ使えなくなったミラーなので、遠慮なく加工。ラジオペンチを差し込んでぐりぐりと穴を広げる。ナットが入るぐらいまで加工できたら、ボルトにナットを取り付けて、大きくした穴にたたき込む。良い具合に付くようになったら、瞬間接着剤をどばどばと付けてナットをミラーに固定する。

 こんな感じ。で、取り付けると以下の通り。

 なんとか、格好だけ付いた。もちろん、リジットに取り付けられちゃったので、角度の調整は一切不可。とりあえず、付いているだけの状態。まあ、外観上はまぬけでなくなったのでよしとしよう。

 そして、再び木曽路を北上する。

11月24日

 仕事があまりないときは昼も寝ていたってかまわないのだが、やることが押し寄せてくると、3時間ぐらい寝てすぐ家を出なきゃならない、というやくざな仕事。今週は、警察が早朝に「ガサ入れ」をするところをぼーっと見ていたり、次の選挙に出る市長候補と飲んだりと、内容があるんだかないんだかよく分からないことでなんとなくあわただしい。

 昨日は休みだったのだが、午後からお仕事。ちゃちゃっと片づけて、大量にもらってきた野菜の処理をしていた。

 畑だらけの土地柄なので、「おう、野菜を持って行け」という話にすぐなる。作っている方だって、商売でやっているわけでなければ、時を同じくして大量の野菜が食べ頃を迎えてしまうと食べきれるわけがない。大量の水菜に大根2本に大小のカブ3個。大きな白菜に里芋、ネギと段ボール2箱分の野菜が玄関前に放置されていたのである。

 とりあえず晩ご飯に食べる分を調理して、そのほかのは保存のために千切りにしたり葉っぱを落としたりと処理しなければならない。

 とりあえず、晩ご飯が完成する、という段になって携帯電話が鳴った。不吉な予感は的中し、飲みのお誘いであった。「晩ご飯できちゃってるんですけれど」と暗に断っても「そんなもん、ほかっとけ」と尾張弁でまくし立てられると、行くしかなくなる。関東方面だと「ほかっとけ」はそのままにしておけ、ぐらいの意味だが、尾張だともう少し強くなって「捨ててしまえ」ぐらいの意味なのだから、むちゃくちゃである。

 ビールをがぶ飲みして、あれこれお話。ようやく解放されたと思ったら、大量のおかずが待っていた。仕方がないから、空きっ腹でもないのに少し食べる。食べているうちに睡魔がやってきて意識を失う。

 で、早朝に起きて野菜の処理の続き。なんとか終わって今は午前6時前。今日も明日も休みなので、今から草津温泉でも行ってこようかしら。

11月19日

 富山で年に一度のお祭りがあったのに、仕事が入ってしまい参加を断念。写真撮りや運営を手伝って、堂々と肉やカニをむさぼり食らいたかったのだが。

 富山のミニサーキットは雪で12月下旬に文字通りシーズンオフとなる。今年の初め、このサーキットが閉鎖されるという情報が流れ、北陸の関係者は文字通りパニックに陥ってしまった。サーキットを壊して墓地にするという話だったか。

 初心者から苦労とまでが本当に楽しめるイベントの舞台となっていただけに、閉鎖となると数少ない「場」が亡くなることを意味した。一時期、あきらめて、みな放心状態になっていて、それが間瀬サーキットの耐久レース参戦に向かわせた原動力にもなったかもしれないのだが、その間瀬サーキットが救済して、何とかそのまま残ることになった。入場料が取られるようになってしまったけれど。

 どんな感じで変わったのかを見たい気持ちもあったのだが、仕事なので仕方がない。稲沢で、朝からはちまきで気勢を上げる連中に取り囲まれる。

11月18日

 よく考えてみると、4日に休んでから2週間休みがなかったことに気が付き、やらねばならなかった仕事を後輩に押しつけて1日フリーの日とした。久々、という感じでもないのだが、温泉にでも行こうかしら、などとあれこれ脳内プランを立てていた。

 長風呂に入ってビールをがぶ飲みして記憶を失い、起きるとすでに夕方近かった。脳内プラン、すべて無駄となる。典型的にだめだめな休日を過ごす。要するに、ずっと寝ていただけ。

 結局、一歩も外に出ることなく、休日終了。ごろごろしていたせいで、明日は朝から仕事があるっていうのに目がさえてしまっているこの悪循環。

11月16日

 ボージョレーヌーボーの解禁日。今年のワインの出来を占う、という意義のある日だと思うのだが、日常的にワインを飲んでいるわけではない僕らは、ただ単に飲む口実ができれば良い、お祭りの日なのである。

 仕事を終えて、近くのショッピングセンターへ。豊富にボジョレーヌーボーの在庫あり。今日が解禁日だってのに、こんな一地方に豊富に在庫があるってことは、日本だけで膨大な数量が入ってきてるってこと。全世界に出回っているとすると、想像もできないくらいのヌーボーが出回っているわけで、本当にきちんと造ったワインなのかと勘ぐってしまう。

 違うラベルの2本を購入。パスタの材料やサラダを買い込む。カマンベールチーズと、それを載せるクラッカーを買う。

 トマトとツナのパスタやカルボナーラでヌーボーを楽しむ。お祭りの一つと、味にはあまり期待していなかったのだけれど、今年のは良い味わい。斜に構えてヌーボーを飲んでいなかった人にもお薦めである。

11月15日

 半田のボスの奥さんからファクスが入っていた。

 しつこく電話をかけてしまってごめんなさい、という内容。確かに、飲んだいる間に3、4回は半田のボスに電話がかかってきていた。受け答えの内容から、奥さんからの電話であることはうすうす感じていたが、謝ってもらうぐらい鬱陶しかったわけでもない。

 そのファクスには、半田のボスのこれまでの素行がかかれていた。福井の某所勤務時代、福井で飲み会があって、酔っぱらって帰るとき、途中で降りなければならないのに、寝てしまって起きたのが終点の京都。また折り返して電車に乗り、再び寝過ごして起きたのが福井。2回寝過ごしてもとの場所に戻っちゃったという。

 あるときは積雪の街の中で寝てしまうわ、土地勘のないタクシーの運ちゃんに適当なところでおろされてしまって行方不明になるわ。

 そりゃあ、奥さんとしてはいつまでも帰ってこなければ心配になるに決まっている。下手をすると、帰ってこなくなるかもしれない。

 それにしても、3時、4時ぐらいまで起きていて電話をしてくる奥さんって、すごいと思った。普通なら寝ちゃうに決まっているのに。