8月5日

 この2年半、住んだ江南の会社事務所とも今日でお別れ。1階が事務所で2階が住居スペースだったので、両側から僕の痕跡をなくさねばならない。

 松本の借り上げ社宅は木造平屋の一戸建てで、毒男が住むには広すぎるぐらいだったのだが、居住スペース以外は「エンジン加工部屋」「エンジン組み立て部屋」にして最大限に活用した。江南の事務所では、あまり車いじりはしなかった。駐車場でオイル交換やブレーキ交換のメンテナンスはしたけれど、激しい車いじりといえばデミオのタイミングベルト&ウオーターポンプ&カムなどのシール交換ぐらい。

 あ、ここでは書いていないと思うが、ロードスターをガードレールにぶつけちゃったので、そのとき壊したバンパーを修復するために、事務所内を塗装ブースにしてしまったことはある。ま、けっこう車いじりには便利な場所だったのだが、辞令1枚で慣れ親しんだ土地を離れなければならないのが、サラリーマンの悲哀だから仕方がない。

 自分の荷物の整理と同時に、事務所の整理もしなくてはならないから、何となく、引っ越しを二回やった気分になる。前任者や前々任者の残していった物も徹底的に整理。

 朝8時半に引っ越し業者が来て、がしがしとトラックに荷物を積んでいく。このくそ暑いのによくもまあ、それだけ力仕事ができるなあ、と感心するぐらい。昼前に引っ越しがおわり、ごみをデミオに満載し、慣れ親しんだ事務所のかぎはポストに放り込んで、実家に戻る。もう二度とここに戻ってくることはあるまい。

 夜は幼なじみとともに藤ケ丘に飲みに出かける。明日は、元上司に晩ご飯を強制的におごらせて、そのまま元上司宅に居座って泊まり、7日昼ごろには富山の新居に到着。今日、積んだばかりの荷物をおろすことになる。

 いよいよ、富山市民になるときが来た。

8月3日

 間に1日だけ休みを挟み、連続9回の飲み会が終了。その前の飲み会も合わせれば実に12回も飲み会が続いたことになる。あ、その間に富山2往復&淡麗地獄もあったな。

 異動になったら、前任者の部屋に入る仕組みになっているので、前の住人が抜けないと引っ越しの荷物が入れられない。間にハウスクリーニングも入れるわけで、なるべく早く出てもらわないと、後の人にひびいてしまう。

 そこら辺を僕が入る部屋の住人は良く分かっていないらしく、のんびりと5日に荷物を出すという。6日にクリーニングが入って7日にようやく荷物が入れられることになる。僕の後任者は僕が出て行かないと荷物を入れられないわけで、引っ越し遅れの連鎖になってしまう。新任者を待つそれぞれの部署はそれだけ着任が遅れて人が少ない状態が続くわけで、休みが取れなかったりと、各部署が大変迷惑を被ってしまう。

 仕事をきちっとこなす人ならば、そこら辺もちゃんと心得ていて、びしっと手配をすぐさまこなして迷惑がなるべくかからないようにするはずだ。逆に、こういうところもちゃんとできない人って日ごろの仕事ぶりも見え透いてしまう。

 と、あたかも僕が怒っているようにも取れる文章をつらつらと書いているが、のんびりと引っ越し作業やあいさつ回りができるようになって、内心、ほくそ笑んでいるのは内緒にしておこう。

7月25日

 22日は富山の車屋さんの主催のジムカーナ練習会。自分の車で気軽にスポーツ走行を楽しもうという人たち向けのイベントだ。

 日本海ミーティングが土曜日に開かれ、それに続き日曜日が練習会だったのだが、土曜日は仕事日で夜勤だったので参加を断念。1時すぎまで仕事して、F1の予選を見たい欲求を抑えて3時間ぐらい仮眠を取り、デミオで富山を目指す。もちろん、下道だ。

 なぜロードスターではなく、デミオで行ったかと言えば…

 引っ越しの前に、部品やらがらくたを富山の車屋さんに運ばねばならないのだ。15インチわたなべにフロントバンパー、アーム、右ドア、フェンダーなどなど。もう、満載。

 荘川の峠で軽トラと競走してびゅーんと富山、石川県境近くのイオックススキー場へ。荷物満載のデミオで走るわけにもいかず、会場整理係を買って出る。

 午後からロードスターを借りて走ることができた。考えてみるとスポーツ走行って2004年に鈴鹿で走って以来だから、非常にひさしぶり。ウエットコンディションの中、へたれ具合を痛感しつつも楽しく乗り回した。サイドブレーキを使ったターンがうまく行かない。イメージはできるのだけれど、必要な操作のうち1つを忘れてしまう感じ。

 夜は車屋さんの家に泊めてもらう。23日は休み。実は24日は富山の仕事場の歓送迎会があったので、そのまま滞在していれば楽だったのだが、23日午後に仕事をしなければならなかったので、朝10時に出発。昼間の下道はペースを稼げないので、清見インターから高速。

 24日、今度はロードスターで昨日走ってきた道をとんぼ返りする。今度はロードスターを富山に置いてくるのだ。助手席にエスケレートやら工具箱やらを積み、荷物満載の状態で。夕方、車屋さんに到着し、富山県庁近くの仕事場に連れて行ってもらう。新しいすみかも仕事場から歩いて3分のところだった。いままで片道200キロ以上を走って遊びに行っていたのに、これからは15分で到着してしまう。

 7時半から宴が始まり午前3時すぎのカラオケ屋まで拘束された。

7月21日

 ロードスターのバッテリーが怪しいながらもだましだまし使っていたら、今度はデミオのバッテリーが上がった。

 デミオに後輩を乗せて夜飯を食べに行き、帰ってきて2時間ぐらい用事をこなして、帰ろうとしたら「かちかちかちかちかちかち」と盛大な音。ライトを付けっぱなしにしていたわけでもなく、まったく予兆を感じていなかったので、意外な事態に少々うろたえる。

 仕方ないから後輩の車で家に置いてあるブースターケーブルを取りに行く。後輩の車は乗り古しのAE101レビン。しかもオートマ。が、どんなものだろうと運転させてもらう。

 4連スロットルでもないのに、異常にアクセルが重い。何かワイヤ回りのトラブルか。気合を入れて踏まないと、なかなか高回転まで回らない。

 エンジンはスポーツバージョンでもないので、普通。ハンドリングは、ショックが抜けてしまっていてふわふわしていて、新車当時の動きは見る影もない。

 それでも、小さなボディできびきび動き、ブレーキもちゃんと利くので結構楽しい。トヨタもまた小さなスポーツカーをつくれば良いのに。

 ケーブルをつないで一発始動。動いてしまうとまったく普通なのが、バッテリートラブルの怖いところ。

 翌朝、なんとか弱々しくクランクが回ったので、エンジン始動ができた。安売りディスカウントストアでバッテリーを購入し、ちゃちゃっと交換して見事復活。

7月20日

 すでに飲み会ロードが始まってしまい、濁った目でふらふらとあちこちをうろつき回る日々。日々の仕事をこなしながら、あいさつをしたり、いらない資料を捨てたり。

 昨日は、資源ゴミの回収の当番に当たっていた。午前7時から1時間、腕章して立ち、人さまが資源ゴミを捨てるのを見守る町内会の役である。

 資源ゴミ回収は月2回あるのだが、いかんせん、午前6時から8時までと、僕の生活リズムではまったく縁のない時間帯で終了してしまうので、たまる一方。ビールの空き缶やワインの空き瓶が危険を感じるぐらいの量になってきた上、引っ越しが間近なのだから、今回ぜひとも処理しなくちゃならないのである。

 すでに引っ越しモードに入り、シリンダーブロックやらリアのアームやら、ドライブシャフトやらナックルが満載で後ろ下がりになったデミオの残されたスペースに空き缶入り袋を詰め込み、おもむろにごみ捨て場へ。その量たるや間違いなく人さまからあきれられるほどなのだが、小分けして捨てるなんて時間もない。意を決して突き刺さる視線に気付かないふりをして、淡々と回収ボックスに投入する。僕が捨てただけでほぼ満タンになってしまった回収ボックスを見て苦笑する。

 今回は松本のときみたいに「エンジン製作部屋」とかがないから、まだ楽なのだ。

7月17日

 異動通告を喰らって、すでに今の持ち場ではまったく仕事をやる気がなくなってしまった。

 別に仕事を放棄したわけではなく、お世話になった人たちへのあいさつ回りやら、さまざまな準備やらで単純に忙しいだけなんだけれど。会う人会う人とトークに突入してしまい、なかなか要領よく回ることができない。

 「異動になってしまって」と切り出せば「そりゃあ、送別会をやらなきゃいかんね」となるわけで、次々と日程が埋まっていってしまい、明日から月末までの平日はほぼ毎日が飲み会となってしまった。

 たぶん、月末までに富山には2回ぐらい行くので、ある意味、耐久レースである。 

7月15日

 ここ数年、毎年7月ぐらいに、長野つながりで知り合ったオープンカー乗りとお泊まりで遊びに行くのが恒例になっている。去年は、訳あって、どたキャンしてしまったので、2年ぶり。

 山梨の南アルプス市のそれこそ南アルプスの麓というか、中腹のペンションが目的地。本当ならば、かんかん照りの平地を抜けて、標高の高い場所でゆっくり涼みながら過ごす予定であった。

 んが、先週半ばから発生しやがった台風4号。見事にちょうど良い具合に直撃してくれた。土曜日朝は寝坊してしまい、午前11時に韮崎に集合しなければならないのに、起きたのが午前9時。

 準備して10時前に家を出る。当たり前のように雨模様。早朝に起きて下道で行こうと思っていたのだが、寝坊したので小牧インターから高速道路。

 快調に飛ばしていたら、恵那山トンネルを抜けると、土砂降り。前の車のテールランプしか見えない。路面を雨水が覆ってしまい、ちょっとスピードを出すとハイドロを起こしてグリップが抜ける。普通に走っているだけなのに、車体が右へ左へと吹っ飛んでしまう。がんばっただけあって、お昼ご飯を食べ終えた一行に合流できた。

 大河ドラマ・風林火山のセットに行き、雨だから行く場所もなく南アルプスのペンションへ。途中、橋を何カ所か渡ったのだが、台風が来たら埋まってしまわないかと心配になった。

 長風呂に入ってこっそり持ち込んだビールを飲んでのんびりして晩ご飯。北海道に居て、脱サラした人がやっているペンションらしく、巨大で脂がのったホッケが出てきた。今まで居酒屋でちまちまひからびた身をほじくって食っていたホッケが何だったのか、というぐらいのうまいホッケ。

 そばが出たり、丼が出たりと、食べきれないぐらいの量だったのだが、普通に食べきってごちそうさま。部屋に入って語らい、ビールを飲んで、風呂に入って寝る。

 朝、7時前に起きると、相変わらずの大雨。こりゃ、やばいな、と思っていたら、案の定、麓の沢があふれて道路が通行止めになった。

 その道以外、抜け出る場所がないのでいわゆる「孤立」状態。土砂をどけてもらわない限り抜け出ることはできないので、朝飯を食べて部屋に戻って再び寝る。ニュースで土砂崩れの現場を映していたらしいのだが、呼びかけにも答えずひたすら寝て過ごす。

 足止めを喰らった宿泊客にはペンションからそばと冷や麦のお昼ご飯が出されて、ありがたく冷や麦を喰らう。

 開通の報を聞いてペンションを後に。国道20号を通り、杖突峠から152号。伊那に出て、国道19号や国道153号から下道で帰ろうかなとも思ったが、江南にいる時間も残り少なく、いろいろやらねばならないことがあるので、素直に中央道に乗った。

 午後5時には江南に到着し、ちょびっと片づけをして実家へ。調子が悪いという兄貴のパソコンを診る。

7月11日

 実は、昨日、今日と1泊2日で伊豆に家族旅行に行っていた。土肥温泉で温泉につかってまったりと過ごす予定が、道中の沼津でラーメンを食っていたら、職場のボスから不吉な着信。

 「異動の内示ですけれど」と切り出されたら、本当なら飛び上がるほど驚くものだが、今回は第六感的な能力(取材力? 政治力?)によって何となく察知していたので、驚くこともなく聞くことができた。家族旅行の最中の内示のわけで、僕が知ると同時に家族にも伝えることができたので、楽といえば楽だ。

 んが、まったりと過ごす予定の旅館では、関係各筋への連絡のためあわただしく過ごすことになった。携帯電話の電話帳をにらんで、各方面に電話。もちろん、お世話になっている富山の車屋さんにも電話! 異動の情報があちこちに伝わると、今度は着信多数。歓送迎会の日取りもいくつか決まる。

 いろいろな人に世話になってきたので、あいさつ回りだけでも大変。あそこに回ってこちらにも回って、あーだ、こーだ考える。引っ越しの準備もしなくちゃならない。あ、江南と実家にばらばらに置いてあるロードスターのパーツも運搬しなくちゃ。

 温泉につかってごろごろしているはずが、防水携帯のせいで、風呂に入ってまで電話をする始末。温泉に入ってからビールを飲みまくって激しく酔っぱらって寝たはずなのに、五時すぎに起きたら再び「あれをやらなくちゃ、これをやらなくちゃ」の思考が復活して寝られなくなった。なので、ちょっと早いが朝風呂につかって、ついでに筋トレ。

 骨休め、という感じの旅行じゃなくなったことは確か。とにかく食い物がいっぱい出てくる旅館だったので、この2日間、腹一杯の状態が続いた。ここ1カ月は飢餓状態が続いていたので、久しぶりの感覚ではある。

 4キロぐらいは減量したのだが、旅行で2キロぐらい戻っちゃったかもしれない。

7月10日

 突然ですが、富山県民になります!8月から。

富山県民になります!8月から。

 家庭の事情で中途半端な状態で鈴鹿のFJをやめたものの、その家庭自体がなくなっちゃったというなんだか意味が分からない状態の今、実は再び鈴鹿で走ろうと準備を進めていたのである。

 6月のクラブマンレースに応援に行ったとき、スーパーFJが始まるから、旧FJの中古車体の値段が暴落していることを知った。東京R&Dで50万円で買えるという。昔は200万円だったから超破格プライス。エントリーフォーミュラーのカテゴリーが充実してきて、FJ自体の存在感が低下している中、すでに後継のレースシリーズが始まったので、暴落も仕方がないかもしれない。

 それでも、来年も旧FJのレースが開催される(不確かだが)として、たった50万円で参戦(ほかにもいろいろ膨大な費用がかかるけれど)できるなんで、破格値としか言いようがない。

 やる気満々になって、まずは体重の減量を進めていた。大好きなイタリアンのパスタを作るのをやめて、1日で食べるのはお昼ご飯か、夜ご飯のみ。誰かと一緒にランチタイムを過ごしたのなら、その夜はタンパク質を採る意味で卵入り納豆のみ(あ、それとアルコールね)。夜ご飯だけ家で作るとしたら、野菜を買ってきて炒めて食べていた。

 同時に、筋トレを始めようと思っていたのだが、原因不明の寝違えで右肩に激痛が走っていたので始められず。最近、腕立てぐらいを始めて、どうせならビリーズブートキャンプでも買おうかと思っていた。

 そんな矢先の異動告知。普通なら、非常に残念な思いをするはずなのだが、なんとなく取材してあったというか、陰ながらの政治力を隠然と使ったというか、まあ、うすうす感づいてはいたので、ショックじゃない。それどころか、車仲間の住む富山に赴任できてすっごくうれしい。

 我が社は名古屋が本拠地であり、今いる江南はほとんど名古屋みたいなものなのだから、金沢支社からさらに離れた富山に異動されたとなれば、会社の人は十中八九「飛ばされた」「左遷だ」と感じるに違いない。んが、僕といえば、「会社の思し召しだから仕方がありません」と殊勝な顔をしつつ、裏ではにんまり喜んでいるのである。

 ということで、北陸のみなさま、よろしくお願いいたします。