2月16日

 木曜日。久しぶりに名古屋の魚屋さんからTEL。ちなみに、魚の現物支給でチーム「まっさGOGO」のスポンサーをしてくれている(いや、応援してくれているので、勝手にステッカーを作製してボンネットに張ったのだけれど)。ちょっと、調べ物をしてほしいということだったので、おやすいご用でちゃちゃっとメールにて調査結果を送信する。電話でのやりとりで魚屋さん「久しぶりに日常読んだんだけどさ、あんた、滅茶苦茶車屋さんにお世話になっているな」。やっぱりそう思うよね。

 「こっちから何か送るぞ」と言ってくれたので、0.32秒で「フグ」と返答した。

 そして今日。名古屋から送られてきたフグ、6匹。毒抜いて、皮をむいた状態で。「保冷剤代わりに入れておいた」というのがイカ中華。イカにピリ辛ごま油風味の味付けがしてある癖になりそうな食い物で、それが3キロ。This
is 市場サイズ。

 オオミチ奥さんがオオミチお母さんと一緒にフグをさばいてくれた。魚がさばけなければ、ぶつ切りにして唐揚げか鍋、というところだけれど、おろしてくれたので、刺身も可能。

 フグ刺身と言えば、皿の模様が透き通るぐらい薄く切って、ポン酢にモミジおろしでいただくのが正しい食べ方。厚く切りすぎるとかみ切れなくて食べにくいらしい。薄く切りやすいように、半分凍らしてあったフグ切り身。手間をかけるのは悪い気がするので、薄切りに挑戦してみる。

 魚屋さんのアドバイス。

 「てっさ」は長いヤナギ刃で根元から刃先にかけて引く。決して押し戻しはしてはいけない 薄く薄く引くのがコツ厚く切ると噛み切れなくなるので注意! 包丁が無い場合はカッターナイフの長い刃が代用になるかも。要は刃が薄くよく切れるものが良い。

 「てっさ」は長いヤナギ刃で根元から刃先にかけて引く。決して押し戻しはしてはいけない 薄く薄く引くのがコツ厚く切ると噛み切れなくなるので注意! 包丁が無い場合はカッターナイフの長い刃が代用になるかも。要は刃が薄くよく切れるものが良い。

 刺身用の長い包丁があったのだが、片刃なので左利きの僕にはかなーり使いにくい。なので、両刃の包丁で。さすがに引くだけでは切れないので押し戻してぎこぎこと切る。半分凍っているので、なんとか切れるが、これがけっこう難しい。最初は分厚く切れちゃっていたのだが、だんだんとこつをつかんで薄く切れるように。が、皿の上に花びらのように並んだてっさはさすがに無理で、ぎこぎことぼろ切れのように切った身を適当に並べていく。最初はビジュアルも悪かったが、たくさん並べたらそれなりにおいしそうに見えてきた。


↑↓ロンリーマン氏のmixiから無断転載(笑)


↑↓ロンリーマン氏のmixiから無断転載(笑)

 メインディッシュは鍋で、この日は大量の三重産カキもあったので、カキ鍋とカキフライ、そしてフグ唐揚げもつくる。フグってものすごくだしが出るから、鍋もうまいが、シンプルな唐揚げも滅茶苦茶うまい。

 この日は招集がかかったから何人がおおとろ亭に来たのだろうか。数えていないから分からないが、たぶん15人ぐらい。大量に出された鍋や唐揚げ、カキフライはあっという間に消えていき、僕は大量に摂取したビールのせいでふらふら。おおとろせがれのちゅうとろくんと別の部屋で「たたかい」をしていたらかなり脳みそにアルコールが回ったらしく、ちゅうとろくんの寝顔を確認してからの記憶があまりない。せっかく切ったてっさも、食べた覚えがなかったり。たぶん食べたと思うけれど。

 気がついたら、居間で仲間とともにふとんを敷いて寝ていた。

2月14日

 今年も遠い目になってしまう日が来てしまった。別に言われなければ思い出すこともないのだろうけれど、移動中のカーラジオからはチョコチョコした話がいっぱい流れ出てくるので、いやがおうでも意識してしまう。

 ロンリーな車野郎であることにポリシーを持って突き進んで生きていれば良かったのだが、僕の場合は微妙に寄り道をしたこともあって、遠い目が見ている先がさらに遠く感じられる今日この頃。人生にはリセットボタンがないから、ポリシーがなかろうが、どんな状況も受け止めて生きて行けねばならぬ。

 こう書くと、日々マイナスオーラを噴出させて周りも暗ーくさせて生きているように勘違いされてしまいそうだが、僕はきわめて脳天気に富山ライフを満喫しているのであって、頭はいかに要領よく仕事を片付けて遊ぶかでフル回転していて、ようするに仕事後の飲みか週末の車いじりかで占められているのである。

 で、何となく居心地が悪い日になぜか仕事の会議があった。県内で働く10数人が集まって何が決まった、というわけでもない極めて非生産的な時間を過ごしたのだが、幸運だったのは今日は宿直に当たっていたこと。普通なら、アルコール抜きでお留守番なのだが、ともに働く人たちが勢揃いしているのだから、お留守番よりも、コミュニケーションの方が重要となる。ようするに、飲みに行ける。普段はあまり勧められないことを堂々とできるのって、縁日の日の夜遊びみたいで、うれしいじゃない。

 向川原町の川のほとりの居酒屋へ。酒屋がやっているお店、ということで良いワインを格安で飲めるのだとか。店内もメニューも「正しい居酒屋」なのだが、ワインが豊富なところがちょっぴり粋で良い。

 が、いろいろ飲むと翌日動けなくなるので、もっぱらビールで。いちおう、仕事中だから遠慮しながら飲んでいたのだが、1杯2杯3杯と飲むうちにだんだんどうでも良くなってきた。

 タクシーで1度職場に戻るも、収まりがつかない若い衆たちが再び飲みに行くということだったので、今度は歩いて総曲輪へ。

 気がついたら職場のソファーで朝を迎えていた。

2月10日

 土日の仕事をさぼりつつ雅久号をいじる。ブレーキのダクトを取り付けたり、交換したブッシュの当たりを出すために100キロぐらい走ってきたり。エンジンオイル交換やボルトの増し締めなども。アライメントやらハンドルセンターの調整やら、細々とした作業をいろいろこなして、ようやくサーキットに行けるまでにこぎつけた。

 冬休みの間に、バルブシール交換(=ヘッド全ばらし)とブッシュ交換を片付けたことになる。なんだか、作業量のわりにはおいしいところが少ない作業だったかもしれない。でも、がらがらぽんで車を作っただけの状態から、ようやくセッティングが進められるようになったことは確か。そういう意味で、スタートラインに立ったのかもしれない。

2月8日

 急遽、休みにしてしまった本日。「めんどくせえ」という上司をうまいこと乗せて、今月から僕が職場のローテーションを組むことになった。1月は月5回の宿直のうち3回も土曜日に入れられてしまったので、土曜日宴会に参加できずに、悔しい思いをしたのだが、自分で休みを組んでしまえば自由に休みが指定できるわけであって、coomacカップの日やサーキットに走りに行きたい日なんかは、100%休みを指定できるわけである。むふ。

 が、指定できるだけであって、休めるかどうかは別の話。まあ、休める確率が90%以上にはなるのだけれど、何かあればすぐ休みが飛んでしまうので、自分でローテーションを組む意味とすれば、休みたい日が出勤にされてしまった場合、後輩たちと休みの交換の交渉をしなければならないという手間が省ける、ということぐらいかもしれない。

 月に8回休みを入れていいところ、今月は僕の休みだけは5日間だけにしておいた。あと3日は、平日で仕事が忙しくない日があったら、突然休んでしまう戦略で。この方が気楽だ。

 で、突然休むことに。おもむろに工場にでかけて、ブッシュ交換で下がってしまった車高を上げることにする。

 先日までは工場の外にウマをかけて宙に浮いていたのだが、アームを組んだからとりあえず走れる状態。朝から雪が降っていたので、あつかましくも、工場に入れてリフトを使い、インパクトレンチも使ってばきばきと作業を進める。

 車高が変わるので、車高調整だけでなく、ブッシュのボルトもゆるめて1Gで締めることにする。工場の奥に置いてあるプロ用のウマ(ホームセンターに売っているウマでは高さをかせげないから)を勝手に持ち出し、サスペンションアームにかけて宙に浮かせる。ついでにブレーキホースも交換した。エア抜きなんかは、工場の人に手伝ってもらったりして、もう勝手放題な振る舞いをしてしまった。

 アライメントの狂いとブレーキのきき具合を感じに走りに出る。ステアリングを切ったら、手を離してもそのまま曲がっていくからかなりトーが狂っているみたい。久しぶりにまとまった距離をロードスターで走って、やっぱり最近ロードスターで走っていないことが生活がぐだぐだになってしまう一因だなあ、ということを改めて認識したのであった。

2月6日

 ヘビーローテーションで宿直が回ってきて疲れ気味の後輩がいたので、夜は鍋をしようと提案。パンチのある鍋を、ということでキムチ鍋にした。

 元ラガーマンの元気の良い後輩は、キムチ鍋に一家言があるらしく、ごま油が必要だ、などとわめきだしたから一緒に買い物に行った。

 大量の肉類とアルコール類を買い込んでばきばきと切って、キムチ鍋スープに放り込んでできあがり。スープさえ買ってくれば簡単なもんだ。

 肉を入れようとしたら後輩、「キムチと一緒に炒めないんですか?」だと。じゃあ、頼むよと肉とキムチを渡したら、ごそごそとごま油を使って炒めていた。料理って手間をかければそれだけおいしく、気分も特別になるから、まあ、こんなこだわりも捨てたものではないだろう。

 で、アルコールを飲む前にデミオを自宅の駐車場に置いて戻ってきたら、鍋がほぼ出来上がっていた。が、なにやら様子がおかしい。スープが真っ赤っかになっている。「できました」と後輩。放たれるにおいから言っても、かなり危険な状態になっていることが推測できた。だって、赤くてさらに粘りけがあるんだもん。

 スーパーで韓国唐辛子の粉末をいつのまにやら買い物かごに忍ばせていて、それを2袋も入れたのだとか。味見をしろ、というので「それってフツーの人が食べられるの?」とおそるおそる聞くと「何言ってるんですか、そんなに辛くないですよ」。

 この後輩、「マイ一味」の唐辛子小瓶を持ち歩いていて、あらゆるおかずに振りかけているやつなので、「そんなに辛くない」はまったく信じられない。入れた途端にどかーんと辛さが口の中を駆けめぐって胃がびっくりするぐらいに違いない。それぐらいのビジュアルでとろとろと煮える赤い鍋。

 仕方がないので少し皿に取って、ちょうど良い具合に煮えた真っ赤な白菜を、断崖から飛び降りる決意で、ほおばる。唐辛子風味が口の中を駆けめぐり、やばいと思ったが、どかーんが来なかった。ぴりぴりとはするけれど、辛すぎて水を飲まねばならないということもない。というか、ほどよい刺激が絶妙ではっきり言ってうまい。

 キムチスープがうまかったこともあるが、かなりいける鍋だった。ごま風味のする豚肉もおいしい。モツやら牛すじやら鶏肉団子やらを、そして何よりも大量の白菜とネギをこれでもか、というぐらい食べる。ぴりぴりとした刺激を洗い流すビールがこれまた最高だった。

 最後は、今、ちまたでブレイク中のギョウザを鍋に投入。チルドだけどね。キムチ鍋にギョウザってけっこう合っておいしい。皮が溶けない程度で食べないと、ばらばらになって大変なことになるけれど。

 大量のビールに焼酎が加わり、だんだん、調子が上がってきた元ラガーマン。時計を見たら、午前2時前だったので、上機嫌でしゃべりまくっている後輩を放置して帰宅する。

2月5日

 珍しく朝早く起きて、富山市内のマンモス私立高校へ。入試で机に向かう中学生たちの後ろ姿をカメラに収める。自分も、こんなときがあったな、と懐かしんでみる。高校時代から、何ら変わったつもりもなく1年1年積み重ねてきたつもりだが、彼らの倍の年齢になっちゃったらやっぱり彼らと僕の間には大きな断絶があるわけで。ほんの些細な出来事が冒険にも思えたあのとき。

 若いときは若いままでいたいという思いが強かったのだが、歳を重ねていくのも、それはそれで楽しい。

 試験開始時間ぐらいから雪が舞いだした。お見舞いに行った産婦人科の向かいにスタバがあるのを思い出して、朝食タイム。早起きした方が、何かと充実した日が送れることが分かっているのだが、夜型仕事なのでどうしてもずるずると遅くなってしまう。

 富山の冬を体験してみて、いちばん閉口するのが太陽がないことだ。11月ぐらいから毎日空は鉛色。朝、太陽が差さないから朝になった感覚がない。昼をすぎるともう暗くなる感じ。夕方ぐらいには雷が鳴り出したりして、気分を滅入らせる。富山の人にとってはこれが当たり前なんだろうけれど。

 太平洋側は冬、スカッと晴れることが多い。晴れた午後、部屋の暖房なんかつけずに、窓際の日だまりでくつろぐときに、太陽のありがたさを感じる。松本にいたときも、来たアルプスが雲を遮っているので、雪雲は到達できても大町あたりまで。松本の晴天率はすばらしく高く、空気も澄んでいるので、常念岳が迫って見えて気分が良かった。さすがにマイナス二桁の朝は厳しかったけれど。年末から正月にかけて何度か名古屋に行ったが、太陽がいっぱい。向こうからこちらに向け帰るときは、東海北陸道のひるがの高原あたりからだんだんと空模様が怪しくなっていく。

 気温と路面温度が低い冬は、走るにはとっても都合が良い(待ち時間は寒いけど)から太平洋側ならがんがん走る季節。北陸は雪があるから、走りは封印される。代わりに、あきらめが付くからクルマをきっちり造ってから新しいシーズンを迎えようという区切りができ、プライベーターなんかはむしろメリハリが付いて計画的に物事が進められて良いかもしれない。

2月3日

 土曜日。休みだったので朝からサスペンションを組もうと意気込んでいたのだが、深夜、いや早朝まで漫画を読みふけってしまい、起きたら昼前だった。飛び起きて、午後1時すぎから作業に取りかかる。

 ブッシュは組んでもらったからばっちり。アームもスコッと何の抵抗もなく車体につく。この際、ボルトも新調したのだが、どのボルトがどこに付くのかが分からず、思考停止していたら、ちゃんと分かるように整理してくれた。

 ねじ山だけでなく、金属と金属が当たるところにはすべてWAKOSのスレッドコンパウンドを塗る。手を真っ黒に汚しながら仮組みをしていき、アームにうまをかけて本締めをしていく。まずリアから。そしてフロントへと。

 フロントはリアよりもボールジョイントやらがあってちょっとめんどくさい。左側を組んだ時点で暗くなってしまったので、翌日に持ち越すことに。おおとろ亭に上がり込んで、ビールを大量摂取して、意識を失った。

 目覚めると雪。そんなことかまっていられないので、フードをかぶって作業続行。さくさくっと終わらせて、とりあえずタイヤが付く状態になった。

 むらむらっと来たのでタイヤを付けて、ウマから降ろした。ブッシュを組み替えたら車高がなんだか下がってしまったみたいだが、かまわず走り出す。

 ハンドルセンターが少しずれたけれど、まあまあまともに走った。ヘッドを組み直したエンジンも調子よく回る。軽く一回りして工場に戻る。やっぱり、ロードスターってちょこっと走るだけでも楽しい。

 仕事もしなくてはならないので、富山駅北側の公園へ。雪が降る中を1時間ぐらい立っていたから体の芯まで冷え切った。

 夕方は昨日、第一子が生まれた耐久ドライバーのところへ。車仲間でどやどやと産婦人科の個室に乗り込んだ。おしめも進んで交換してすっかりパパになっていたからやっぱり、子どもってすごい。

 で、遠い目になる僕。

1月29日

 掛尾町にあるドンキホーテに行ってきた。はっきり言って、外装とか店内とか、運営方針とか、全部嫌いなお店。前に住んでいた愛知県江南市の近くにもあったのだけれど、何となく行かなかった。それでも、食わず嫌いはいけないでしょう、と暇な時間を活用して行ってみることにした。

 ディスカウントストアを標榜するからには、価格が安くなくてはなるまい。その点、僕は富山のスーパー巡りが趣味であるので、食料品については安い高いが分かる。それ以外の電化製品やら、日用雑貨やらは分からない。たぶん、広告かなんかで「安い」と売っているものについてはやっぱり安いんだろう。

 食料品については、安いという感動はなかった。確かに安いものもあるけれど、富山の地元スーパーの方がよっぽど安い品物も多数。イタリアンやらアメリカ菓子やら、マニアックな食材もいろいろあったが、マニアックを追求するのであれば、富山大和やらワインに力を入れている酒屋さんに行った方が、よっぽど豊富に手に入る。

 ほしいものがそろっている、という感じというよりは、広く薄く品揃えしている感じ。せせこましい店内も落ち着かない。怪しい雑貨類を狭くてぎゅっと品揃えしているのなら、ヴィレッジ
ヴァンガードの方がそつがない。深夜3時までやっているという以外になにか、アドバンテージはあるのだろうか。夜中に特別なものがどうしても欲しい、という以外には使い道がないなあ。

 安さや実用にこだわるならそちらへ。買い物の楽しさを追求するならそちらへ。どっちかに振らないと中途半端な感じであった。

1月28日

 土曜日。普通の出勤日で仕事をちゃちゃっと終え、午後からは車をいじってそのままるんるんでおおとろ亭宴会に突入する、完璧なスケジュールだったのだが、後輩に宿直を押しつけられて崩壊した。「宿直とは知らずに飲み会を入れてしまった」だと。

 後輩の尻ぬぐいで夜のスケジュールは変更になってしまったが、午前中に仕事を終わらて午後は車いじりをすべし!と気合いを入れていた。んが、激寝坊をして起きたら昼前だったので、最初からつまずいてしまった。

 仕方がないから、午後にちゃちゃっと仕事を終わらせ、夕方に工場へ。サスペンションアームのさび取りをやらねばならない。

 長岡からやってきた雅久号は、雪国で走ってきたからか、けっこうアーム類のさびがひどい。せっかくブッシュを交換するのならば、さびはきちんと落としてやらねばなるまい。ちなみに、ブッシュは全部ノーマルです。

 ディスクグラインダーにヘッドカバーとかを鏡面化するために買ってあった繊維のディスクを付けて、がんがんと磨いてみる。けっこう、良い具合にさびが落ちるのだが、ディスクがあっという間に減ってしまった。細かいところはなかなか磨けないし、コストパフォーマンスの意味でもだめ。

 とりあえず、この日は、作業終了。おおとろ亭に上がり込んでご飯を食べさせてもらい、宿直に向かう。

 日、月と連休。日曜日は朝から作業をしようと、宿直にもかかわらず、日付が変わった瞬間に寝てしまおうかと考えていたら、後輩から不吉な電話が。ぐでんぐでんに酔っぱらった声で「今からビールもって襲撃します」だと。突然、宴会が始まり、リッター単位でビールを飲んでしまった。結局、日曜日は午後からしか動けず。

 ホームセンターでディスクグラインダーに付けるステンレスブラシやさび落としディスクを買って工場へ。がんがんがん、とアームのさびを落とす。ステンブラシは曲面でもうまい具合にさびが落ちるのだが、さび落としの「トルク」がない。さび落としディスクは平面ではがしがし塗装とさびを落とすトルクはあるのだけれど、細かいところはできない。

 苦戦していたら、背後でおおとろ氏がサンドブラストでさび落としを手伝ってくれていた。さび落としの仕上がりを見て、ディスクグラインダーでやっているのがばかばかしくなってきた。とりあえず、落としやすい平面部分はグラインダーでやっておいて、サンドブラストに転向。

 作業窓が真っ白になってしまって中が見えないから手探りでの作業。砂が出ているつもりでから打ちしていたりと、機械の調節に少々苦戦したが、こつをつかんだら順調にさび落としができた。特に、溶接部分にしつこくこびりついたさびをきれいに落とすには、これ以外に無理っぽい。

 暗くなったころに何とかさび落としは終了。片面をシャーシブラックで塗る。それにしてもサンドブラスト、砂の粉塵がもくもくと立ちこめるものだから、全身砂まみれ。一応、粉塵マスクをしていたのだが、口のなかじゃりじゃり。鼻の中も砂まみれ。鼻水が出てくるので鼻をかんだら、真っ黒な鼻水だった。ポート研磨をしたとき、銀色の鼻水になったことを思い出す。

 作業終了しておおとろ亭になだれ込んで、深夜まで大量のビール。

 月曜日。作業を再開。とりあえず、アームの裏側を塗装して、アームが外れた車体側もシャーシブラックを吹いてみる。

 さびや汚れを落とすのがどんなに大変かが良く分かったので、メンバーにどんなさびや汚れがあろうとも、塗りつぶすようにシャーシブラックを吹く。フルレストアするわけじゃない、いつつぶれても仕方がない使い方をする車から、現状維持でOK。

 ブッシュの組み付けはプロに任すとして、やることがなくなったから、プレクサスであちこちを磨く。本来はプラスチックや樹脂部品に使うのだが、エンジンルーム内の汚れでも、プシュっと吹いておいてしばらく置いてから吹くときれいになる。なかなか、使えるケミカルだけれど、けっこう高いのも確か。

 さて、来月は新しいシーズンに向けて、始動じゃ。

1月22日

 午後9時半から始まった飲み会。松本時代以降の5年間は、同業他社の人たちとの交流することがあまりなかったから、けっこう懐かしく新鮮な体験。

 前日火事があった桜町の飲み屋でわいわいと。2次会は近くのショットバー。なかなか良いお店だった。

 で、女性も帰って、野郎ばかり6人の午前2時すぎ。ロシア人やら中国人やらがいる飲み屋に行こうという話になり、ぞろぞろと桜木町へ向かう。

 遅いからもう閉店しているんじゃないかと思ったが、怪しさ満点の呼び込みのおじさんもいたし、普通に営業していると思ってビル2階の怪しげなお店に入った午前2時半。

 1人前払い5000円、ということで手際よく徴収される。「ロシア人だ、ルーマニア人だ」などと、野郎どもは盛り上がっている。僕は、こういうお店ではかえって気を遣ってしまうので苦手。おつきあい程度ということで、端っこに座る。

 店長のこれまた怪しいおじさんががちゃがちゃと、ウイスキーの水割りを準備。ここら辺からなんだかばつの悪い空気が流れ出す。だって、おねいちゃんが出てこないんだもん。

 たまらず「おねいちゃんは出てこんが?」と聞く野郎ども。店長曰く「な〜ん、もうちょっこで出てきますから待っとってぇくだはれ」。間髪入れず「もう帰っちゃったの? まだ何人残っとるが?」と聞く野郎ども。

 「1人」。

 さささっと寒い空気が漂うのを感じた。明らかに表情が変わった野郎6人(僕入れて)。確かに、店の奥にまだ客がいて、パツキンのおねいちゃんが接待しているから1人はいることは間違いない。たぶん、あの1人をさして「1人はお店にいる」ということなんだろう。仮に、野郎6人のところに1人だけ来たら、女性だって困ってしまうじゃない。

 「だったら帰るちゃ、お金返してくだはれ」と要求。「な〜ん、お金ちゃ、もう銀行に入れてしもたから、返せんちゃ」と店長。「まあまあ、ビールでもウイスキーでも何でも飲んでくだはれ。カラオケもどんどん歌って」とにこにこ顔でテーブルの上に次々と並べていく。

 苦笑しているのか、怒っているのか微妙な表情で顔を見合わせる野郎6人。たまらず1人が「おい、金が金庫から出せん言うがなら、おまえのポケットマネーから出すこっちゃ」と語気を荒げて申し向けたものの、「いま、2000円ぐらいしか、持っとらんちゃ」とかわす店長。もう、笑うしかない。

 ついに怒りを抑えきれなくなったのが今回の主賓。「お金が返せないというなら、次に来たときに1000円か2000円で飲めるように1筆取ってくる」と、ものすごい勢いで立ち上がって店長に詰め寄っていった。店長は「オーナーと話してきます」と姿を消し、しばらくして、3万円を持ってきた。まあ、当たり前の対応だ。

 午前2時半に行く方も悪いが、説明もなく手際よくお金を徴収した店がやはり悪い。夜の桜木町、注意すべし。