2月18日

夜、雪が降った。日付が変わる頃、どうやらうっすらと積もり始めた様子。これは山はすでに5センチほど積もっているに違いない、と仕事場の人とともにいつもの山道へ行った。

山に近づくにつれ、激しい降りとなって、みるみる積もっていく感じであった。これはいいぞと、意気込むものの、ふもとのヘアピン直後の坂であえなくストップ。雪質を見ると、上れそうな感じなのだが、人1人分の重量増が響いているのかも知れない。助手席に人を乗せているときに無理をしたくはないので、すごすごと引き返した。

仕事場の人と別れて、こんこんと降る雪の中を走っていたら、やはり上りたくなった。もう一度、トライするとぎりぎりで上っていく。やはり、効かないスタッドレスに重量増はいけない。

雪道でいつものように練習。上ってきたのはS14、インプレッサ、セフィーロ。それぞれが別々に上がってきたから危なくはない。一時は、新雪を独り占めして走っていた。

数十分走って、下りの右コーナーで道幅をいっぱいに使ってリアを流そうとしたら、リアが思いの外速く流れていった。カウンターを当てて、アクセルをゆるめるものの、下り坂のためか、いつまでたってもリアが流れていく。ツーっと斜め前に滑ったまま、いつものように収束していかない。左側から近づくガードレール。ちょっと前までなら、この時点で思考停止して動けなくなったと思うが、今ではじたばたできるようになった。カウンターステアを少しずつ戻っていったら、リアの流れも収束していった。ぎりぎりのところでスライドが収束。左側から小さな雪煙が上がった。心臓がばくばく。

やはり効かないスタッドレスで遊ぶのは危ない。走っているうちに、グリップ力が変わってきたような気がするのだが、気のせいだろうか。

2月17日

 昨日から霧ヶ峰のヒュッテに泊まり込みの飲み会に行っていた。携帯電話の電波も入らない。日常からまったく切り離された冬の高原で、オープン乗りの仲間たちと過ごす時間は、なかなか簡単には得られない、貴重なものである。

 1升びんに入った白ワインと、もう2本のワイン。買っていったバーボンの4分の3を6人で飲んだ。他のお酒もあったかも知れないが、飲んでいないから分からない。いや、飲んだけれど覚えていないだけか。酒飲みなら、細かいことを気にしてはいけない。

 寒冷地ならではと、屋根からぶら下がったつららで、バーボンのロック。30センチぐらいあるつららをグラスに入れて、無理矢理飲む。つららがおでこに当たって冷たい。

 「グラスに残っていた水が白く濁っていたよ。大丈夫」と今朝、ヒュッテのお姉さん。オープン乗りなら細かいことを気にしてはいけない。

 昨日いじったバルタイが気に入らなかったので、1500mの高原で、白い息を吐きながら、調整した。クロカンスキーに興じる人たちと、バルタイ調整に興じる車野郎。実に自然な取り合わせである。ヘッドカバーにおびただしく雪が付いて、カムに水滴が大量にかかった。素人がエンジンをいじるなら、細かいことを気にしてはいけない。

 書庫を見てみると、「日常」が始まったのは、どうやら1年前の今日である。サイトらしいものを作ってアップしてから、今日で1年になるらしい。当時、1年後に新エンジンのバルタイを気にしているだなんて、夢にも思わなかった。というか、そこまでの知識すらなかった。

 こうして、順調にいじられるのも、ここをのぞいてくださり、声をかけたり、知識を分けたりしてくださる、みなさんのおかげ。直接は見えないけれど、目線を感じていると、ハードに車をいじるパワーがもらえる。

 今後も監視してください。

2月16日

 我がロードスターの走行距離が、メーター読みで13万キロを超えた。正確には130200キロちょっと。97年7月に買ったときは30200キロだから、乗り始めて10万キロを走破したことになる。正確には10万キロでファイナルが4.1になってしまったので、1500キロぐらいプラスしないといけないのだけれど。

 さすがに買った当時は、自分の車がこんな風になってしまうとは思いもよらず。ホームページ作って友達ができるなんて、想像すらしなかった。

 とりあえず、エンジンはOH直後。デフは8万キロ走行。あと10万は楽にいけそうだ。

 まだまだこの車には飽きていない。だんだん奥の深い世界が見えてきて、楽しいとともに、ちょっと空恐ろしくもある。どうなっちゃうんだろう。

 ことしも、走行距離が2万キロは伸びることが確実である。

2月15日

 天気が良かったので、開幌状態にして走りに行った。仕事をさぼってではなく、休みだったからである。ディーラーの店長はマスクをして、鼻をかみまくっていた。すでに花粉の季節に突入している。幼い頃はアレルギー性鼻炎で病院通いをしたものだけれど、近年は目に少々異物感があるだけで何ともない。どうやら治っちゃったらしい。体質が変わったのかしら。

 空気が澄んで、北アルプスが近く見える。お世話になった人に動いているうちに車を見せておこうと、群馬を目指す。

 さすがに朝冷え込んだとあって、晴れていても風が冷たい。巻き込んだ風が後ろから左耳に当たって痛い。ダッフルコートのフードを被りたくなる誘惑に駆られるものの、わざわざ屋根を開けて、寒い思いをして、なぜかフードを被って震えているのはやはりおかしな人物に見えてしまう。すべてのオープンカー乗りがおかしな人だと思われるのもしゃくなので、極めて涼しげな顔で乗らなければならない。我慢はするが、我慢を悟られてはいけない。

 浅間山がくっきりと近く見えて美しい。噴煙以外の雲はかかっていない。北アルプスの壁のような急峻さ、険しさはなく、火山特有のなだらかな形をしている。すそ野が広い。

 登坂車線でトラックをぶち抜いて、トンネルへ。下りの連続ヘアピンをリズム良く駆け抜けていく。スタッドレスタイヤが腰砕けになるぎりぎりの領域だから、それほど飛ばしているわけではない。それにしても乗り心地が悪い。早く足回りよ、来い。

 仕事途中に割り込んで、2時間ぐらい会話をしていた。どうやら、バルタイでもう少しエンジンのふけが良くなりそうなことが分かった。

 ということで、明日は再びカムと対面。

2月14日

 松本も本格的に冷えて、ようやく冬がちゃんと来たという感じ。今朝の最低気温は−8度だったそうで、明日の朝も同じ気温という予報になっている。高気圧が西から移動してきて、北海道あたりにある寒気を追い出すそうだから、この寒さもすぐ収まりそう。そろそろ、真冬が去りつつある。

 しかし、この冬はあまり冷えなかった。先ほど帰ってきて、ファンヒーターのスイッチを入れたら「2」と表示された。室温が2度はある。普通、冬の間には「Lo」という表示を見る。数字としては「1」まで表示されるから、「Lo」はそれ以下、すなわち、部屋の中が氷点下であることを示している。今年はそれがない。室温がプラスなんて、幸せなことだ。

 松本がなぜ寒いのか、というと、気温は大して下がらないのだけれど、建物の造りが平地とあまり変わらないから。名古屋あたりの住宅と同じような造りだから、思いっきり寒い。北海道に住んだことのある後輩に聞くと、北海道では外に出ると厳しく寒いが、室内は密閉構造でじゃんじゃん暖房しているから半袖で十分だという。松本だと、廊下を歩くだけで、足が床にひっつくんじゃないか、と思うくらい冷たい。

 当然、水道は凍る。凍っても大丈夫なように、水道は毎晩、水抜きをするのだが、ずぼらなのでやっていない。例年、凍って数日間は出ないこともあるのだけれど、今年はない。例年はうっかりしていて、帰宅したらトイレの配管が破裂していたり、湯沸かし器から水が噴いたりして、家の中が水浸しになったものだけれど。

 それでも気が付いたときには、流し台の蛇口からぽたりぽたりと水を出しておくこともある。去年か一昨年、そのぽたりぽたりと落として置いた水が、出ていないのでびっくりしたことがある。凍らないように出して置いたのに、鍾乳石のように下から凍って「逆つらら」が出来上がっていたのである。

 今年は寒くない。しかし、世の中の男性が、温かい気分になっているこの日、独り凍てついた家に帰ってきて、こんな話を書いている僕は、とっても寒い。

2月12日

 夜から朝にかけて雪、という予報だった。勢力を増した寒気が流れ込んでくるこの時期の正しい降り方である。このようなときは、北アルプスに阻まれて、それほどの量は降らないけれど、よく冷えた粉雪が数センチ積もる。湿った雪よりも滑りにくく、ロードスターで遊ぶにはちょうどよい塩梅なのだ。

 午後11時ぐらいから、ちらりちらりと降り始めた。この分だと、少し積もるかなと思う。しかし、遊べるほどまで積もるかどうかは分からない。

 午前1時。外を見たら、1センチぐらい積もっていた。きっと山の上ならもう少し積もっていて、ちょうど遊べるぐらいになっているだろうな、と思う。しかし、午前1時。よい子は寝る時間である。少しうるさい車のエンジンをかけて外出する、なんて言語道断である。翌日はもちろん、出勤。よい子は外で遊んじゃあ、いけない。

 しかし、僕は庭でエンジンを積み替えるような、立派な悪い子であるから、よい子の決まりを守っても、いまさら仕方がないのである。フロントガラスや幌に薄く積もった雪を払い、エンジンをスタート。暖機するわけにも行かないので、2速1200回転ぐらいで、のろのろと走っていく。

 果たして、量は少ないものの、極上の雪質であった。くたびれたスタッドレスタイヤなのに、少しきつい坂でもぐんぐん上っていく。路面には1台上っていった跡があるから、だれか1台、上にいるんだろう。

 遊びやすい場所で、セフィーロとすれ違った。のろのろ走って相手の様子をうかがっていたら、後ろでアクセルターンをして、どうやら付いてくる様子。別に大したことするわけでもないのに、と思うがそれでも少し張り切って、少々きついヘアピンを豪快に回ろうとしたら、あっけなくスピン。格好悪い。仕方なく、戻ってセフィーロと離れる。遠吠えしながら情けなくその場を離れていく負け犬のごとく。

 路面のわきと中央には除雪車が押しのけた雪が積もっているから、使える道幅は狭い。その狭いコースに沿って、リアを流す練習をする。

 再びセフィーロと合流。また付いてきた。今度はスピンしないように、慎重にリアを流す。なぜかセフィーロがバックミラーから消えた。

 Uターンして戻ってきたら、いない。どうやら、帰ったらしい。1台きりの貸し切り状態で遊んでいたら、銀S14シルビアが上がってきた。ばりばりの走り屋仕様で、音が少々うるさい。すれ違ったとき、「ぶおんぶおんぶおん」と、ものすごい爆音を出しながらストレートでリアを流していた。タイヤは空転しっぱなしに違いない。何を練習しているんだろう。

 リアを流していると、ステアリングが自動的にカウンターを当てる方向に回っていることに気が付いた。パワステを外したし、アライメントで車の進んでいる方向にステアリングは切れていくようになっているから当たり前だが、改めて気が付くと感動する。路面抵抗の少ない雪道でしかリアを流さないからあまり、意識していなかったのだ。こんな初歩的なことに驚いているぐらいレベルが低いのである。

 それならハンドルから手を離していれば楽ちんだ、と手を離したら、そのままスピンした。そんな甘いものではなかった。

 下り坂で思った以上に速くリアが流れてあせることしばしば。焦ることなくカウンターを当てれば何とかなるものだ。

 小一時間堪能して帰宅。燃費極悪。

2月11日

 室内から異音がして困っている。

 ある日、高速道路に乗って加速中、3速5000回転で「しゃりしゃりしゃりしゃり」という音がした。すわノッキングかとびっくりしたが、どうも音の発生源が近い。同じ回転数にしても音はでないのだが、フルスロットルにすると再び「しゃりしゃり」と音が出る。どうも、ダッシュボードの内側から聞こえるので、最初は雑多に物が詰まったグローブボックスの中で何かが暴れているのかと思った。しかし、空っぽにしてみるも、まだ音が出る。

 最初は3速5000回転フルスロットルでしかでなかったのが、2速5000回転でも出るようになった。やはりノッキングか、と思うのだが、アクセルをゆるめているときも若干「しゃり」っと聞こえるので、どうも何かの部品が外れ掛かって、エンジンの特定の回転数で共振しているらしい。

 コンビニの駐車場に車を止め、助手席の足下に頭を突っ込んでのぞいて見るもなにも分からない。そのときコンビニに立ち寄った人たちは、オープンカーの助手席から足が生えているのを見て、不気味に思ったに違いない。

 今日も、仕事をさぼっていつもの山道へ行きがてら、2速5000回転フルスロットルにしてみた。やはり異音は出る。以前より、簡単に出るようになってきた気がする。

 仕方なく、グローブボックスを外す。のぞき込んでも、ゆるんでいるところなど分からない。仕方なく、外したまま、助手席の足元に転がしておいた。これだけでひどくオンボロな車に見える。

 頻繁に出る異音。5000回転フルスロットルを頻繁に繰り返している方が問題、とも言う。

2月10日

 お金にならない作業がたくさん舞い込んで、なぜか忙しい。午前零時に依頼が舞い込んで、「今日中に」と言われたんじゃ、かなわない。いくら24時間の猶予があるといっても、昼は仕事しなくちゃならぬ。仕方なく、朝までこたつに座椅子で作業していたら、いつの間にか気を失い、気が付いたらやばい時間だった。

 急いで着替えて、ジムニーでは間に合わないので、ロードスターに乗って出掛ける。暖機中は踏まないのでもどかしい。気温が−3度だったからなかなか暖まらない。なんとか、ぎりぎりで間に合った。

 暗くなってから、仕事をさぼってロードスターを洗車する。融雪剤で白くなったままだと精神安定上、よろしくない。洗車場で水をぶっかけて、下回りを念入りに。

 水滴を拭こうかな、とプラスチックセームの布を当てたら、半分ぐらいがすでに凍っていた。寒い。

2月9日

 諏訪の某氏と再び走りに行った。

 今日は八ヶ岳山麓である。雪のちらつく長野道に乗り、中央道を経て小淵沢へ。少し腹が減っていたので諏訪湖サービスエリアに寄ったら「ダチョウの串焼き」があった。特産品として伊那谷あたりで繁殖させていることは知っていたが、こんな身近な場所で売っていたとは。1本買う。見た目は鳥と言うよりは豚肉か。食べてみると、ささみに独特のくさみをほんの少し加えた感じ。「うまい」ということでもなかった。

 小淵沢のコンビニで、某氏のNBと落ち合い、開幌状態にして無料化された八ヶ岳道路を走る。路面は乾燥状態だが、所々、雪解けの水で湿っていて、車間が狭いと、塩カル入りの飛沫がフロントガラスにかかるので、少し離れて走る。標高が高いため、気温は−5度くらい。ヒーター全開、こたつ気分で気持ちいいのだが、巻き込む風で耳が痛い。仕方なく、コートのフードを被った。フードを被りながらオープンで運転している姿は、異様だったに違いない。いや、哀れみを買ったのか。

 清里へ出て、国道から細い道に入ったら、長野県に入った途端に除雪されていなくて引き返さざるをえなかった。田中康夫が予算を削ったせいだろうか。山梨県民の税金が無駄になっているんですけれど…。

 煮えたぎるラーメンを食べて、佐久から白樺湖経由で帰ることにした。日が傾いたので、さすがに閉幌である。望月から蓼科山に向かって駆け上がる。女神湖が氷上サーキットに変身していた。アウディーのテストコースらしい。とっても走りたい。滑りっぱなしで走れそうだ。

 標高1500m付近の雪は踏んだときの音が違う。きゅきゅっと高い音がするのだ。松本では、1月はこういう雪しか降らなかったはずなのに、湿った平地のような雪が降る。

 気候が少し、おかしい。