9月25日

 なぜか夕方から名古屋栄のホテルで接待を受けてしまった。なぜか医学に関する小難しい話を聞く苦行付きだったのだけれど。

 メシなんかいらない、と再三にわたって言ったのだが、コース料理が出されて喰らう羽目になった。恐縮することしきりで、味なんか感じないくらい。いや、それくらい申し訳なかったというだけで、メシはとってもおいしかったのだけれど。

 相手方にはとっても悪いが、饗応をして良きに取りはからってもらおうというのは苔むした古い考え。こっちは、内心うれしいけれど、それ以上に増して迷惑なわけで、複雑な思いを胸に秘めなければならない。メシを喰らったからと言って仕事の上での基準が左右されるわけでもない。

 せっかくのお金をだれもうれしくない会合に使ってしまっているわけで、最たる無駄と言えよう。ま、ホテルは潤うのだがね。

 ま、そんな高みに立ったことを言うのは僕自身が俗世間からちと離れた特殊な環境にいるせいかもしれないけれど、これからの世界、行政をはじめ、公益を重んじることが大切な人たちに対して、真正面からぶつからずに、メシを喰らわせて違うルートから何かをしようということを考えるのはやはり古い。腹を割ってぶつかってこれば、こっちもそれだけの覚悟をするのに。

9月24日

 今日1日、知多半島でお仕事。何となく電車で行くのは面倒だったので、ロードスターで出先に向かう。

 我が家から知多半島に抜けるには、名古屋高速を走るのが手っ取り早い。都市高速だけあって、都市部まで走らないと入り口がない。朝に都心に向かうのは無謀ともいえる行為である。だって、ものすごい渋滞なんだもの。

 国道363号、出来町通りという道を走っていくのだが、この道は片道2車線なのに、中央側の車線が通勤時間帯は「バスレーン」といってバス専用になってしまうのだ。一般車は乗り入れ不可。一定距離ごとに監視員がバスレーンに立っているという徹底ぶりで、真ん中の車線が空いているにもかかわらず、渋滞の列に並ばなければならない、という訳の分からない状態になる。

 しかし! 今の僕は渋滞の方が良いのだ。Freedomのアイドリングの安定化のためには、渋滞にはまっている方がセッティングしやすい。実際に走行しつつ、アイドリングを操るさまざまな計数をいじっていじっていじりまくる。さまざまなトライを繰り返して、ようやく納得いくぐらい、アイドリングが安定した。ビバ、渋滞。

 さすがに、ノーマルほどの安定はない。ノーマルの場合、負圧計の針がぴたっと1カ所にとどまるぐらいの安定を見せるのだが、Freedomはいくらがんばっても負圧計の針はぶれる。タコメーターは時々上下するものの、ほぼ一定だから不具合はないのだが、やはりより良い状態を目指したい。

 それにしても今の仕様のエンジンは乗っていて気持ちがよい。高回転だと壊れそうな雰囲気で回って不安になるのが唯一の欠点かな。

9月23日

 吸排気を少しいじって、ノーマルエンジン+Freedom仕様がほぼ完成した。

 昨日のエンジンばらしで、マフラーを棚ぼたしてしまったのだ。マフラーはいままでノーマル以外を使ったことがない。ヘッドをいじったり、エンジンを2基交換したりしてもかたくなにマフラー交換を拒んでいたのである。なぜなら、うるさいマフラーだったら我慢できないから。これまでついていたのは、NA8Cの純正品。ちょうど良い加減に抜けてきていて、アイドリングなどではわりと静かなのだが、回すとなかなか良い音が出ていた。乾いた高音系の音質。

 ところが、Freedomで高回転がはじけるように、壊れそうに回るようになって、マフラーを交換してみたい、という思いが募ったのである。ほんの少し太いパイプにすれば、もっと良く回るんじゃないか、と。

 そんなことを考えていた昨日、エンジンを抜く車に、社外マフラーが付いているのを目ざとく見つけてしまったのである。「このマフラー頂戴!」とわがままを言ったら、「OK、持って行きな」ということになった。棚ぼた成功である。

 1時間ほどでエンジンを降ろした後、マフラーも外してもらった。プレートを見るとHKSのリーガルマフラーである。太鼓の大きさやパイプの形状から、とっても大人しいマフラーに見えた。パイプは50パイか。お手頃なマフラーである。

 3万キロほど使ったNA8Cマフラーを取り外して、新マフラー(といっても錆び錆びだけれど)を取り付ける。作業の段階から、エンジンを回したくて回したくて仕方がない。

 エンジンを始動すると予想どおり、とっても静か。前のマフラーより若干静かなくらいだ。はやる気持ちを抑えて乗り込み、暖機をすませてからフルスロットル。若干、重低音が強くなっているものの、ノーマルとほとんど変わらない音量。トルクの出方がどう変わっているかを確かめながら回す。

 3000回転から5000回転までのトルクが上がった気がする。これまでは5000回転から突然、取り憑かれたように段付き加速をしていたのだが、その段付きがほぼ消えて、3000回転あたりから、リニアに回転が上がっていくようになった。5000回転の段付きがさらに強調されることを狙っていたのだが、逆効果。けれども、こっちの方が速そうである。

 これまでの固定観念では、マフラーを太くすると中低速がスポイルされて、高回転側にパワーバンドが変わる、と思っていたけれど、まったく逆の現象が起きてしまった。高回転側の吹け上がりはそのままに中低速のトルクが出た感じ。60パイの太いマフラーだとまた変わってくるのだと思うが。

 ついでに、吸気の取り回しも変更した。これまで、エアフロを取っ払った場所にエアクリーナーを直づけしてあったのを、エンジン前にひょろ長く伸びているクスコのアルミ製吸気管を取っ払った。インマニにエアクリーナーを直づけしたのである。Freedomをまだ信頼しきっていなかったので、いつでもノーマルECUとエアフロが取り付けられるようにしてあったのだが、標高の高いところへ行っても大丈夫になったし、エアフロのお世話になることもしばらくないだろう、と判断した。エアフロ、パイプがなくなったエンジンルームはかなりすっきりした印象になる。

 これが大成功で、全域でトルクがアップした。それこそ、2000回転から明らかにトルクが増している。3速4000回転あたりでアクセルを踏み込むと、車がちゃんと前に出るのだ。NB8に乗っている人ならギア比の違いもあって当たり前だろうけれど、ノーマルNA6CEだと、このあたりの車速で加速しようとするとギアの選択を迷うのだ。2速にすると、すぐ吹けきってレブリミッタに当たってしまうし、3速だとアクセルを踏んでもあまり前に進んでいかないから。

 今では3速3000回転でも十分な加速力がある。吸気音もパイプ全体が振動するような「ガロロロロ」という下品な音から、「フバッーァーン」(文字で表すと難しい)という何ともその気にさせてくれる音になった。高回転ではスロットルバルブが空気を切り裂く音なのか「シュー」という音も加わる。

 ノーマルエンジンでも吸排気とコンピューターでここまでトルクが出るようになるという新発見をしてまさに感動している。面研1mmとかをやるのが馬鹿らしくなるくらい。4連スロットルも必要ないかな、と思うくらい。自分で欠陥があるかもしれないエンジンを作って載せるのが馬鹿らしくなるくらい。

9月22日

 富山の車屋さんで朝8時ごろ目を覚まし、ベストモータリングといった車ビデオを見ていたら、「人手がいるから降りてきて」と呼び出しがかかった。

 ストックしてあるNA6CEからエンジンをおろすという。ストックヤードでまず4輪にタイヤを付けて工場まで転がし、巨大なジャッキで持ち上げ、巨大なうまで高いところに固定した。

 インパクトレンチやエアツール、ウインチがある環境で手慣れた人とお手伝いがいるからほんの1時間でエンジンを外してしまった。そして僕の車をいたずらしたのである。

 夕方6時から、知り合いの結婚式の2次会が名古屋であったので、午後2時すぎに富山を出発する。飛騨清見インターから高速に乗ると、郡上八幡をすぎたあたりで渋滞が始まった。

 のろのろ運転のまま、ロスすること1時間ちょっと。もちろん、6時からの2次会には間に合わず。プレゼントを買っていたら、7時すぎにようやく到着して、それから阿鼻叫喚の飲み会に突入した。

 しかし、ロードスターで帰らないといけないので、酔っぱらうわけにはいかない。途中でぷっつりアルコールを断つのは地獄のような苦しみであった。

 ようやく帰ってきたのが午前4時前。あちこちの掲示板に書き込みして、2日分の日記を書いている僕はお馬鹿さん。

9月21日

 4時間あまりの睡眠をとって、向かったのは飛騨である。埼玉から九州までツーリングに行く人のお供をするのが目的。いくらインターネットで知り合った人と会うとはいえ、わざわざ富山を経由するのは普通じゃないよね。

 太平洋側は晴れていたのだが、高速で走っていて高山に近づくにつれて霧が良く出るようになった。標高1000mぐらいだから、霧も雲も同じようなものである。古川町に降りると、ほんのちょっぴり雨が降っていた。

 高山近郊で落ち合って、国道41号から360号へ。途中、高岡へ抜ける国道471、472号というのが地図上に書いてあって、ぐちゃぐちゃに曲がりくねっていておもしろそうだったので突っ込んでみたら、ガードレールもなく、車1台がやっと通れるような道であった。草もものすごく生えているし、アスファルトははがれているしで、早々に引き上げを決定した。

 仕方がないので、世界遺産で有名な白川郷へ抜ける360号を走った。この道は、5月末ぐらいに走ろうとしたら、その時点で「冬季閉鎖中」だった道である。たいしたことはないさ、と思って走ったら、こちらも車がやっとすれ違うぐらいのぐねぐね道であった。けれども、上るにつれて天候が良くなり、まさに秋のさわやかな空気の中、高原の道を走る気持ちいいツーリングとなった。気持ちが良い大気の中を走っていると、気分までうきうきしてくる。

 白川郷で証拠写真だけ撮って、富山へ。今回集合したのはこちら。気概のある料理人が切り盛りしている、とっても居心地が良いお店だった。氷見や和倉温泉に刺し身を食べに行った人はぜひ寄るべし。

こちら

 結局5時間以上をノンビリとすごして、夜は富山の車屋さんの家に寄って宴会。車談義、Freedom談義をしてビールを喰らっていたら、意識を失った。

9月20日

 名古屋もすっかり秋めいた空気になって、8月下旬の松本のような気候になってきた。息苦しいほどの湿気がなくなり、外を歩いていてもさわやかだ。空もからりと晴れているから、すぐにでも走りに行きたいのだが、仕事をさぼって走りに行った松本のときのようなわけにはいかない。

 とりあえず、壊れてしまったエアコンをすぐに修理しなくてすんで胸をなで下ろしている。安く直ったら良いな、と甘く考えているのだけれど、いくらかかるんだろう。

 明日は朝早く起きて富山の二上山に行く。秋のツーリングは気持ちよさそう。

9月18日

 Freedomの調子を心配してくれている人がいるかもしれない。

 エンストするだの、空燃比がずれるだの、アイドリングが不安定だのといろいろ書いているから、さぞかし不便になってしまったと思われているかもしれない。心配無用、異常に調子が良いのだ。まったく別のコンピューターに差し替えて1からセッティングをしているにしては、という注釈はつくけれど。やはり、純正ECUの安定性にはかなわない。

 アイドリングは少々不安定であった。いろいろ調べてみると、空燃比計連動機能の学習が働いて、薄すぎるぐらいまで勝手にマップを書き換えてしまっていた。手打ちで濃くしても、しばらくは良いのだが、そのうち、空燃比がぶれだしてきて、16あたりまで薄くなってストールしそうになる。回転の上下動が激しくなっていき、最後にはエンストしてしまう。

 まず、不安定要因となってしまう、外気圧補正の学習をカット。手打ちで適当な数字を入れておく。そのほかにも、いろいろ試してみたのだが、うまくいかないので、裏の機能だと思われるが、アイドリング時だけ学習しないようにしてやった。O2センサのフィードバックはちゃんと動くので良いところに空燃比が安定した。

 しかし、空燃比は安定しているのだが、回転の上下動がなかなか直らない。一定のリズムで回転が上下する。これは気に入らない。アイドリング安定化補正の数値をあれこれ変えてみても良くならない。

 仕事中に暇を見つけて、フリーダムの制御ソフトである「サポートシステム」の起動してあれこれ設定できる箇所を調べていたら、点火時期の設定のところにも、アイドリング安定化補正の設定があった。積極的に点火時期が動く数値に変えてやったら、かなりアイドリングが安定。満足できるレベルになった。

 これで、不満なところはなくなった。というよりも、5000回転からの吹け上がりが素晴らしい。レスポンスもROMチューンと遜色ない。軽量フライホイール以外に手が入っていない圧縮比9.4のレギュラーで回しているエンジンなのに、コンピューターを変えただけで、爽快な吹け上がりが実現してしまった。全域でトルクが増している。「速いな」と実際感じる。そこらのNA8Cだったらぶち抜けるんじゃないかしら。

 エアフロを取ったから、という安易な考えはないけれど、ROMチューンと点火時期、空燃比ともそれほど変わらない数値なのに、この吹けの違いは不思議。ぜひ、他の人にも乗ってみてほしい。

 セッティングの課程をどんどん「日常」に書いてしまっているのは、本編を書くときに忘れちゃっていると困るから。早く更新しなくては。

9月17日

 昨夜、練習に呼ばれて恥も外聞も知らずがなり散らしたビートルズバンドのライブがあったので、名古屋の大須に向かった。グッドウイルという大須パソコン街の大手のショップの一つの店舗の半地下が、ライブカフェになっているのだ。

 電車で行くのも面倒だったので、ロードスターで向かった。カフェに到着し、激しく後悔することになる。酒を飲まずにいるのはとってもつらい雰囲気だから。

 まず始まったのはフォーク野郎の弾き語り。曲は違うのだが、長渕ックな調子、と言えばどんなものかよく分かるだろう。アンコールで、あの発禁ミュージック「金太の大冒険」を歌っていた。よくあの長い歌詞を覚えているものだな、と感心。

 お次はハードロックバンド。これはギター1本のためにあるようなバンドだ。MCも曲紹介ぐらいで、ハードな演奏ばかり続くから、かえって単調になって最後は退屈してしまった。

 ようやくビートルズバンド。Back In The USSRから始まり、Come Together、While My Guitar Gently
Weeps、Drive My Carなどなど、マニアックな後期の曲から、ホンダのCMにも使われているObladi-Oblada、前期でカーペンターズも歌ったPlease
Mr. Postmanなどなど。キャリアが長いバンドなので、そつなくこなしていた。こちらも知っている曲ばかりだから、安心して聞ける。

 帰り、一人を車で送っていった。知多半島の先に住んでいる人なので、まるで正反対の方向に向かったことになる。助手席に乗せてみると分かるけれど、やはりいくらショックが新鮮でも10k8kのバネは堅すぎる。名古屋の悪い舗装ではちょっとつらいものが。高速道路を90キロぐらいで走っていても、継ぎ目の衝撃が気になるレベル。

 美浜で人を降ろし、せっかくだからと知多半島先端の師崎に向かう。ペースを上げると、もう人を乗せられないぐらいの突き上げ。一人で乗っているとあまり気にならなかったけれど、やはり一度人を乗せてしまうと、とっても気になってきた。助手席に乗せるのが野郎なら我慢させるんだが、女の子なんか間違っても乗せられない。ドライブ用の足回り1セットを探そうかな、と考えて、ふとある重大な事実に気づいたのである。

 そんなことは乗せる人を探してから心配しろ、という深刻な事実。

9月16日

 ブレーキはちゃんと利いている。フルードも減っていないみたい。

 今日は、点火プラグを交換した。これまでついていたのは、数年前に買って2万キロぐらい使ってあった、ボッシュのブループラチナという6番のプラグ。エンジンはきれいに吹けているし、電極も問題ない(と勝手に思う)ので、交換する必要はないかなとも思うのだが、見た目がぼろぼろになっているのと、電極もなんとなく丸くなっているので、思い切って交換することにした。

 今度買ったのはNGKのイリジウムの6番。圧縮比9.4のノーマルエンジンには6番で十分だと思われる。それに、Freedomはエンスト直後にかぶりやすい。番手を上げると、輪を掛けてかかりにくくなってしまうかもしれない。

 これで、来月の筑波走行までにできることはだいたい終わった。タイヤを新品にするかどうかを迷う。たびたび走れる場所じゃないので、新品の方がよいかしら。Freedomのセッティングは、学習が勝手に進んでいるので、大丈夫だろう。

9月15日

 フロントブレーキのオーバーホールをやった。これまでブレーキのエア抜きさえしてことがないのに、突然オーバーホール。ブレーキパッドや足回りを交換する前にエンジンを交換しちゃったりと、なんだか僕はステップアップの順番が狂っている。

 半月ほど前、足回りの交換をしているときに、フロントのブレーキがキーキー鳴いてうるさいので、パッドの角を削ることにした。パッドをはずし、ブーツの様子を見てみると、ぽろりとブーツの一部分が破れてしまったのである。

 さすがに、ここが破れるとやばい。ピストン部分に砂が入ったり、ブーツを取り付けている場所が錆びたりすると、キャリパー交換となり、数万円が飛んでいってしまう。見なかったことにするわけにもいかないので、とりあえずゴミが入り込まないように破れた箇所にグリスをてんこ盛りに塗っておいて、シールセットを注文した。

 油圧関係、特に、ぜったいミスを犯してはならないブレーキの整備はこれまでディーラーに任せていた。NA8Cのブレーキ移植も、何もかも。たぶん、松本にいたら、すぐにディーラーに持ち込んでオーバーホールしてもらっただろう。しかし、名古屋に来てしまい、近場に信頼できるディーラーをまだ捜していない。変な整備をされるくらいなら、自分がやった方がましだろうと考えたのである。甘い考えかもしれない。

 ブレーキフルードを買いにオートバックスに行ったら、Quaker StateというマニアックなメーカーのDOT4がおいてあった。Quaker Stateのエンジンオイルはロードスターにぴったりでとっても良かったので、衝動買いしてしまう。350ccを2本。

 家に帰り、フロント部分をジャッキアップしてウマをかける。キャリパーを取り外し、まず、ブレーキを踏んでピストンを抜く。本当は、穴からエアを吹き込んで外すらしいけれど、素人はそんな道具は持っていない。

 フルードがだだ漏れになってしまった。とりあえずブレーキホースを切り離して、先をビニール袋に包み、なるべく高い場所にやっておく。

 抜いたピストンはとてもきれいでぴかぴかであった。シリンダーも錆びはなく、状態は良かった。ブーツさえ破れていなければ、オーバーホールも不要だったのに。

 パーツクリーナーを豪快に吹いて、汚れを落とす。ピストンをウエスで磨いてぴかぴかにし、シリンダ側の溝も念入りに清掃する。

 まず、ピストンシールというOリングのようなものを溝にはめる。これは簡単。次はブーツ。どちらが表かは何となく分かったのだが、溝にはめるのがなかなか難しい。溝とブーツにそれぞれ、付属のピンク色のグリスを薄く塗り、きれいにはめる。これがなかなか難しくて、念入りにチェックすると、案の定、溝から浮き上がっている。何度も何度も押さえつけて、なんとかぴったりはめることができた。

 今度は、ピストンをはめ込む。これが難しくて泣いた。ただ押さえ込んだだけでは入らない。ブーツをめくってゴムを伸ばし、ピストンをはめ込んでいくのだけれど、ブレーキフルードを塗ってあるから滑るし、裏側半分がとっても入れづらい。PBの千枚通しのようなピックツールを駆使してようやくはめ込むことができた。ブーツに穴をあけないか冷や冷やした。

 あとはピストンを押し込んで完成。元通りに組み立てて、ホースを接続し、エアを抜く。ブリーダーのプラグがあんなに小さいとは知らなくて、あわてて近くのホームセンターに8mmのメガネレンチを買いに行った。本当にエア抜きをしたことがないことがここでも分かる。

 エア抜きは2人でやるものだそうだが、以前、アストロへ行ったときに耐油ホースとワンウエイバルブ、タンクからなるエア抜き用のツールを買ってあった。素人メカヲタクとして、まず形から入っている、といういい加減さがここからも分かる。

 ホースを取り付けて、ちょっと緩かったのでタイラップで締めてエアを吸い込まないようにし、ナットをゆるめて、踏み応えのなくなったブレーキペダルを2、3回踏み込む。ホースを見てみると、大きな空気の固まりがぼこぼこと浮き上がっているのが見えた。リザーバータンクを空にしないように、フルードを継ぎ足す。

 ブリーダープラグを締めて、ブレーキペダルをぎゅ、ぎゅっと何回か踏む。再びプラグをゆるめると、さらにエアが出てきた。ここら辺の手順は、いい加減である。けれども、元のような踏み応えになったから大丈夫だろう。

 同じように反対側もやる。やはり、ブーツ取り付けとピストンはめ込みが難しかった。

 リアは1年前にオーバーホールしてあるから、良いだろう。と書くと、愛車の状態を熟知して、考えて判断しているように見えるけれど、本当はリアブレーキのシール類の多さを見て怖じ気づいてしまったのである。とっても難しそう。それでも、エア抜きだけやっておいた。

 とりあえず、ブレーキがちゃんと利くか、安全な場所でフルブレーキをしなくちゃ。利かなかったらどうしよう…。