東京・駒込の某所にあるビルの前に立ちつくす。自民党の有力な支持母体でもある団体の総本山にしてはそれほど大きな建物ではないのだが、なにか一般人を寄せ付けない雰囲気を漂わせていた。中に入るとだだっ広いロビーにガードマン2人。用件を告げて、4階に上がることを許される。一般人をびびらせる仕掛けが抜かることなく用意されている。
通された応接間には畳1枚分ぐらいはある油絵が掛かっていた。昔のお偉方であろう人が、勲章をぶら下げて、苦虫をかみつぶしたような表情でにらみつけている絵柄。「おらおら、なめるんじゃねえぞ」と、描かれた人物が主張しているみたいで、これも一般人に権威をみせつけて震え上がらせる仕掛けの一つだな、と思う。
常任理事の方と40分ぐらいお話。言っていることは全て正論であるのだが、一般人を見下す立場に立とうとする意識が見え見えなのに、いくら善人ヅラを下げたところで、所詮共感は得られるはずはない。はなっからボタンの掛け違いがあるのだが、そんなことは承知の上でずけずけと「自助努力」を強調する論理の組み立て方に、やっぱりずるがしこい頭の良さと、一般人との感覚のズレを感じてしまう。
納得がいかないまま、某建物を後にする。そのまま名古屋にとんぼ返りだ。妙に腹が減っていたのでおかしいな、と思ったら、そういえば昼ご飯、食べてなかった。東海道新幹線の改札の近くにある回転ずしで、ちょっと高めのウニを喰らってにこにこ、ちっぽけな幸せを感じている僕なのであった。所詮、階級が違うのサ。