助手を連れて軽井沢を偵察してきた。富山から松本を通って参戦する人たちに、とっておきの道で軽井沢まで案内するためである。昨年は国道18号を走って軽井沢まで向かったそうなのだが、この国道は街中を通る上、信号ばかりあって、つまらないのである。しかも、5月下旬ともなれば、日差しが強く、交差点で止まってばかりいると、走行風も当たらなくて、熱射病になりかけてしまう。ある人曰く「松本から軽井沢までの記憶がない」というぐらい、過酷なツーリングとなったそうなので、ハッピーに走り抜けられる、とっておきの道を案内したいのだ。
この道は、「千曲ビューライン」といって、丸子町から北御牧村、小諸市を通り、小諸市と佐久市の境あたりまで続いている。台地の上を走る形なので、展望が開けて、晴れていれば浅間山を左手に見ながら、本当に気持ちよく走れるのだ。とっても整備された道で、時速ぬふわキロの高速コーナーのセッティングができてしまうほどなのだが、広域農道なので、地図上ではほとんど読みとれない。たぶん、カーナビでは案内してもらえない。素直に国道18号を走るよりは少し多く距離を走るし、アップダウンもあるのだが、信号もほとんどなく、素晴らしく気持ちよく走ることができる道なのだ。
千曲ビューラインまでも、地図上では読みとりにくい道を走っていくことになる。地図をコピーして、強引に赤線でルートを示して手渡したとしても、たぶん迷ってしまうことになるので、曲がる場所ごとに交差点名や特徴のある看板などのメモを、助手に手伝ってもらって書いてきた。
助手になってもらったのは、もう数年間学校に行くことを拒否しているという、ファンキーな人生を送っている中学生である。ロードスターの話をしたら、とっても興味を示していたので、下見のついでに、乗せてあげることにした。これで彼はオープンカーなしの人生が送れなくなったはずである。
小雨が降っていたものの、かまわず松本市内から開幌状態。助手が好きだというローリングストーンズを、目一杯のボリュームでかけながら、国道254号を駆け上がる。標高1000mあたりで雲の中に突入した。
三才山トンネルを抜けて、下っていると、どうも焦げ臭い。前を走っているトラックのブレーキ臭だろうと思い、しばらく無視をして走っていたのだが、だんだんと焦げ臭さが増してきた。どうも、自分の車から漂ってきているようである。いや、漂うというレベルを大きく越して、エンジンルームが火災にでもなっているような雰囲気のにおいがしてきた。
やばい、と路肩に車を止めて、ボンネットを開ける。オイルクーラーか?と思い、フェンダー側から配管を見てみると、なにやら煙が漂っている。それでも、オイルは漏れていないようである。エンジンを始動し、アクセルのワイヤーを引っ張ってあおってみると、
「きゅ〜〜〜、きゅ」
という音がした。ベルトが滑っているような音だ。エンジンを止めて、ベルトを触ると、オルタネーターとウオーターポンプを駆動しているベルトがものすごい加熱をしていた。テンションをかけるボルトを調べてみると、ゆるんでいる。ベルトが滑ったため、異常加熱したらしい。煙がでるほど加熱したら、やはり交換した方がいいのだろうか、と考えつつ、ベルトをきっちり張って、エンジンを始動。切れることなくちゃんと回っていたので、そのまま軽井沢に向かうことにする。助手から冷たい視線で見られた。
千曲ビューラインは天候が悪いのであまり良い景観ではなかった。軽井沢は霧の中。宿泊先と、結婚式がある教会を偵察した。教会からパレードは、国道18号バイパスを走ると、人通りも少ないし、6、7キロぐらい走ってすぐ終わってしまう結果となりそうなので、ミーティング会場の横をかすめて、少し遠回りして、バイパス北の旧国道18号を走った方が、人通りも多そうだし具合が良さそうである。途中、片側2車線の広い道があるので、ミーティング会場にいる人(前夜祭とはバッティングしてしまうけれど)に飛び入りで参加してもらうこともできそう。
1週間後が楽しみだ。天気がよいことを祈るばかり。