富山県であった走行会。金曜日にロードスターで出勤して、仕事を終えてから富山へ向かう。午後6時半ぐらいだったか。
朝からの雨はほぼやんでいたものの、岐阜県にさしかかると雨に変わっていた。Freedomは雨でも問題なく動作して、高速道路も不安なく快調である。まだ全然セッティングが取れていないので、不満なところを直すために、パーキングエリアに止まる。助手席で常時センサーの状況をモニターしてくれているパソコンをぱちぱちといじって、空燃比が濃すぎるところを薄くする作業をする。他車から見たら怪しい車だっただろう。のろのろ走っていたと思ったら、突然猛ダッシュして走り去り、再びのろのろと走っているのだから。
飛騨地方にさしかかると、標高が上がったためだと思われるが、空燃比がどんどん濃くなっていった。気圧が下がったのは、パソコンの画面でも確認できる。ノーマルECUでも同じ現象が起こるのだから、この場は放置するしかあるまい。
東海北陸道の終点、清見インターで下りる。インターでお金を払って信号で止まると、
「ぽん」
と軽い音だけ残してエンストした。しょうがないな、とキーをひねってエンジンをかけるも、異常に濃い空燃比でアイドリングもままならない。ならば、とアクセルをあおって回転を上げようとしても、濃すぎて回転が上がらないのである。
夜の8時半。富山のみなさんはすでに宴会に突入している時間だ。遅れてしまってはかなわぬ、とかまわず走り出す。
古川に向かう峠を登り始めたものの、空燃比が濃すぎてエンジンがまったく回らない。空燃比計には10台の数字か「RICH」という文字が躍る。回転をいろいろ変えてみるものの、急な坂なのでだんだんとスピードが落ちてきた。仕方がないから脇に車を止めて、パソコンをのぞき込む。外気圧の補正関係が悪いんだろう。
どうやっていじったかは忘れてしまった。再びエンジンを始動しようとするも、初爆すらない。プラグがかぶっちゃったのかもしれない。あまりセルだけ回していると、孤立無援な山の中でバッテリー上がりという事態になってしまう。仕方がないから、坂道の途中にいることを利用して、セルを利用してバックして方向を変え、ごろごろと坂道を下っていく。速度が付いたところで2速に入れてクラッチをつなぎ、キーをひねるも、ぶすんぶすんと少しだけ反応するのだがいっこうにエンジンがかからない。しばらくから回ししておけばかぶったプラグも乾くかしら、と甘く考えて、4速に入れてしばらくエンジンをから回しし、キーをひねるもまだかからぬ。結局、坂を下りきってしまったので、街路灯のあるところに停車した。こまった事態になってしまった。
山の中で悩んでいて、あっと気が付いたら日付が変わっていて、宴会に間に合わなかった、なんてことになってもつまらないから、一大決心をする。トランクに入っているECUとエアフロを取り付けて、Freedomを外してしまうのだ。
外は雨ではないが、霧の中にいるような霧雨が降っている。回りはだれもいない山中。ネクタイのスーツ姿でエンジンルームに顔をつっこんでいる姿は異常である。
まず、プラグを抜いて見ると、わずかながらガソリン臭い。それでも、失火するほどでもないな、と感じつつ、念のためにライターで4気筒すべてのプラグをあぶってセット。それから、エアフロの配線につっこんであるFreedom用センサーの配線を抜いて、トランクからおもむろにエアフロを取り出し、接続。暗くてあまり見えないから、エアフロは置いておくだけにした。
それから、Freedomをカプラーから外してノーマルECUに差し替える。これでエンジンがかからなかったら事だなと不安に思いながら、キーをひねると、少し長めのクランキングの後、ぼん、と始動した。ああ、安定したノーマルって素敵。標高が高い場所なのて空燃比が濃いはずだが、軽やかに高回転まで回る。富山まで一気に走り抜いた。
そしてサーキットで再びFreedomに戻して、走行。低地では至って快調に回っていた。特に高回転の切れが少し良くなった気がする。
そして帰り。神通川に沿って岐阜へ向かう途中、空燃比が怪しげな数値を示すようになった。セッティングがおかしいのかな、と噴射料マップをどんどん削るもまったく薄くならない。やけくそになって半分ぐらいに削ったらまともな空燃比になってきた。
国道360号を走る。そうしたら、今度は濃く領域がとっても薄くなって失火するぐらいになった。他の領域と比べてもおかしな数値なので当たり前だよな、と感じつつ、再び濃くしていき、ぴったり空燃比があったところでとっても快調に回り出す。
ところが、ある拍子に再び調子が悪くなった。濃くて濃くて本当にエンジンが回らない。なによりも、高価な空燃比計のO2センサーが壊れてしまうといけないから、路肩に車を止めたら、エンストした。クランキングをしてみると、かろうじてエンジンが回ったが、300回転ぐらいでやっと回っている感じ。しかも、アクセルを少し開けてやらないと止まってしまう。おかしいな、と思いつつ、再びプラグがかぶったのかと、外してみるも、すすが思いっきりついているだけ。
再びエンジンを始動するも症状は変わらない。ぶるんぶるんと300回転ぐらいで回り、空燃比はRICHのまま。マフラーからは黒煙がもくもくと立ち上り、辺りがガソリン臭くなった。これは、完全にコンピューターがおかしい。
調べてみると、外気圧補正の方式が切り替えられるようになっていた。変えてみると、ばあぁんと、さっきまでの不調が嘘のようにエンジンがかかり、快調にアイドリングする。設定一つでこんなに変わるなんて。
けっこう難しい。もう少し詳しいことは本編で書くつもり。「いつ書くんだ?」という疑問が寄せられているので、こう答える。「可及的速やかに更新できるよう、前向きに善処いたします」