9月30日

 壊れたプジョーの座席レバーを観察してみると、どう考えても使い続けるうちに壊れる構造になっていた。レバーの回転部分には金属の板がはめてあって一見、補強してあるように見えるのだが、レバーの軸の部分には補強がまったく効いていない。軸を回転させる方向に動かしている分には問題ないのだが、別の方向に力がかかるともろにプラスチックに力が加わるようになっている。例えば、乗るときにレバーに足をぶつけたりすると、そのまま力がプラスチック部分にかかる。

 206の場合、同じ形のレバーが座席の左右に付いている。僕が破壊したのが、助手席の右側に付いているレバー(右ハンドル)。運転席の左側に付いているレバーもぐらぐらしていたので、外してみると、案の定、レバーの軸部分が割れて崩壊しかかっていた。ちょっと触っただけでぽろりと割れてしまった。何とかはまっていただけの状態である。

 道具箱の中で不良在庫になりかかっていたプラリペアを使い修復を試みる。買ってはあったのだが、使う機会がなかった。こういう場所にこそ使うケミカル。壊した責任を取る、というよりはヲタク心に火が付いた。

 粉末と液が合わさると、樹脂になる性質。接着剤のようでちょっと違う。説明書を読みながら、「ニードル法」と呼ばれる使い方で修復してみる。

 液剤をスポイトと注射針を使って吸い取り、粉末の上に一滴垂らす。すると液剤と粉末が混じり玉ができる。その玉を針で突き差して持ち上げ、補修したいところに持って行き、接着面に置く。そのままでは玉になったままなので、スポイトを少し押して液剤を追加。玉に掛けると、どろりと接着剤のようになる。接着面に適当にのばし、接着したいパーツを押し付ける。接着面も溶かしつつ、自らが固まって固定する感じ。接着剤ではないので、液剤が揮発して固まるまでに少し時間がかかるが、固まると一つの部品だったように固定される。

 パテのように盛ることもできるので、強度を高めるように盛っておいた。不格好だが、新品パーツより強度は出ていると思う。

 取り付けて見るが、いかんせん、プラスチックのパーツだけにボルトの力がかかる構造なので、なんとなくぐらぐらする。それでも、レバーがちゃんと元通りに付いて、座席の角度調整もできるみたいだから、一応は大丈夫だろう。

 運転席の右側のレバーも怪しくぐらぐらしているので外そうとしたらぽろりと落ちた。こちらも同じように直す。恐縮することしきりの後輩。こちらは単に車ヲタクの好奇心を満たしただけだ、というのは内緒にしておこう。