5時15分に呼んだはずなのに、5時前にぴんぽ〜ん、と呼び鈴がなった。家人が寝ている時間帯なのに、まったく常識がない。風呂に入っていたこともあって無視していたら、10分後ぐらいに再びぴんぽ〜んと鳴ったので、「待っててちょ」と、タクシードライバーについちょいと強い口調で言ってしまった。
6時前に市場に到着すると、いつもいるはずのおっちゃんが見あたらない。おかしいな、と思って携帯に電話してみると、「緊急事態。悪い、ほかの人をあたって」と、弱々しい声が帰ってきた。なんでもぎっくり腰になってしまい、出勤したは良いが更衣室で動けなくなり、仕方なく車に乗って帰ったは良いものの、激痛で車から降りることもかなわず、家人が起き出してくるまで、車の中でうんうんうなっているんだと。痛みが分からない他人には単なるコメディーであり、おっちゃんにとってはトラジェディーだ。
仕事を済ませて、向かったのは豊山にある北部市場。ここで待ち合わせして、ある方の車に乗せてもらって、飛騨・丹生川村へ行った。東海北陸道をひたすら北上し、飛騨清美に至り、高山市内を通って乗鞍、松本方面へ少し走ってようやくたどり着く。
地理感がある人には分かるのだろうけれど、火曜夜に富山から帰ってきたルートの半分以上を走ったことになる。いや、僕は運転していないのだけれど。
実は明日夜も富山の走行会に参加するため、同じ道を走ることになる。本来なら、そのままどこかに滞在して富山に向かいたいところだが、明日も市場に行けねばならないという、仕事があれば思うようには動けないサラリーマンの悲しい宿命があるので、再び帰ることになった。週3回も飛騨地方に来る名古屋人…。
早朝に起きたため、非常に眠かった。さすがに助手席で寝るわけにもいかず、さらに寝られたら自分の命の保証がないため、運転席のおじさんのお話に合わせてしゃべりまくる。きっつい睡魔が襲いかかっているのに、寝られないこの苦痛。襲いかかっているのに、寝られないこの苦痛。いつもなら、近く感じる飛騨が、遠く感じた。