「前のスタンドが大変なことになってるよ。行かなくて良いの?」と、市場で知っている人に声を掛けられた。エレベーターに乗る寸前だったので、何のことだか聞き直すことができなかったが、ピンときた。
市場のおっちゃんとともに、3階の窓からスタンドを見下ろすと、果たしてテレビカメラや中継車がスタンドを取り巻いていた。大曽根で爆発した人がガソリンを仕入れたのは、市場の隣のスタンドだったのである。消防法かなにかの違反容疑で家宅捜索があったらしい。
ポリタンク8本も持ち込んで、144リットルのガソリンを買ったら、絶対に怪しまれる。ポリタンクでは危険だし、大量すぎる。「機械の洗浄をする」といって買ったらしいのだが、別のスタンドでは無理だったろう。市場の隣なら、市場でつかうガソリンをポリタンクに入れて売るというのはしょっちゅうだから、怪しく思っても売ってしまったのだろう。
あのおばちゃんが住んでいる同じアパートに住んでいたんだよ、と市場のおっちゃんが近くに座っていたおばちゃんを指さしながら教えてくれた。世間は狭い。