仕事に疲れてため息ばかりついている友人が、「ツーリングに連れて行け」というので、仕方なく1日をつぶすことにした。仕事がたまっちゃっていたので、ちょっとだけでも進めておきたかったし、ロードスターはISCVの配線が断線してしまい、アイドリングが1500回転になってしまっている。配線が繋がったり切れたり、微妙な状態になるのか、ぶおんぶおんと回転が上下して、しまいにはエンストする、という症状も出ているので、はんだ付けでもしてしっかり配線したいと思っていた。
が、暗い表情を見ると「イヤだね」なんて答えができなかったので、連れて行くことにした。
朝10時ごろ、迎えに行き、どこに行きたいか、と聞くも決まっていない。高速道路に入るまでに西か東かは決めないといけない。行けそうな範囲を絞れというので、東なら伊豆ぐらいまで、と答えた。
「だったら伊豆」と簡単に言う友人。せっかくだから、先端まで行きたいのだと。北陸の仲間は今日、能登をツーリングしているのだし、悪い目的地ではない。が、往復をしたら尋常な距離じゃない。僕にとってはたいしたことがないのだが、うるさく乗り心地が悪い僕のクルマで助手席に乗せられて、そんな距離を走ったらしまいには怒り出すんじゃないだろうか。
それでも、言い出しっぺに責任があるわけで、東名高速を東へ。九月も半ばなのが嘘みたいにクソ暑い。仕方がないから、クーラーを付けていく。それでも直射日光が当たって暑い。
やっぱりネオバは新ネオバになって若干乗り心地が良くなっている気がする。なのにグリップレベルはかなり上がっているらしく、ちょっとハイペースに走ってもまったく不安感がない。
順調に走っていたら、清水インターの先で事故渋滞。迷惑な人がいるものだ。仕方なく、静岡インターで下りて国道1号で伊豆を目指す。
沼津に入って伊豆半島に侵入したと思ったら、大渋滞。やっぱり狭い半島目指してたくさんの車が入ってくるのだから、込んで当たり前。覚悟はしていたのだが、すでに午後1時を回っていたので、予想外であった。
西側の海岸線を走り、途中、スカイラインを目指す。海からいきなり山になっている伊豆だから、高度を稼ぐと眺望が良いに違いない。果たして、山の上は気温もちょうど良く、下界では不可能だった開幌にできて、海が見えて気持ちがよい道であった。
半島中ほどまで尾根伝いの、ビーナスラインのような道をぶっ飛ばし、細いつづら折れを下って西伊豆へ。海岸線沿いの国道を走っていたら、いつしか辺りはうっそうとしたジャングルのような土地になっていた。ものすごいへんぴな土地である。
石廊崎に着いた頃には日没近かった。夕陽がとってもきれいだったのだが、ロマンチックな思いに浸ることもなく、下田に向かう。下田で海鮮料理を食べ、天城峠あたりを通って修善寺に至り、沼津、富士市。富士インターから高速をぶっ飛ばして、名古屋に着いたころには零時を回っていた。
走行距離650キロほど。運転する人間もおかしいが、ずっと乗っている人間もおかしい。