9月14日

 我が家に親がやって来る。明日、北アルプスの常念岳に登る予定で、親父も一緒に行くことになったのだ。両親そろって、そろそろ到着する頃である。

 エンジン加工部屋の戸は固く閉ざして置いたのだが、もう開けてしまったかも知れない。中央に鎮座するシリンダーブロックやクランク、ピストン類が散乱している有様を見て、言葉を失っているだろう。さらに、物干場に置いてあるビニールに包まれた物体が、新たなエンジンであることを知ったら、腰を抜かすに違いない。いや、もう抜かしているかも。

 明日は、雨の確率が高くて、山登りには行けないかも知れない。そうなったらどうしようか。来て3年、何度か親も訪れているので、そろそろ行くところもなくなってきている。

 そうだ、親父に手伝ってもらって、エンジンスタンドにシリンダブロックを固定しよう。一人だとかなりの重労働でも、もう一人いれば楽々できる。

 自らの倒錯した趣味に親まで動員する。まさに、鬼息子。