9月12日

 アメリカのテロ事件で、なぜか休みがぶっ飛んだ。シリンダーブロックをプロの人に見てもらい、ボーリングが必要かどうかを判断してもらった上で、オーバーホール用のエンジンパーツを注文しようと思っていたのに、できなかった。

 あのビルには4年前の秋に行ったことがある。当時は爆破事件から4年後ぐらいだったから、また爆発物があるんじゃないかと、少々不安に思った覚えがある。警戒も厳しかった。他の観光客の例に漏れず、地上400メートルぐらいの最上階に上がって夕方のニューヨークの街を眺めた覚えがある。そのビルが、なくなってしまったなんて。

 当時のニューヨークは、景気も良かったからか、地下鉄に乗ってもそれほど怖い雰囲気ではなかった。立ち入ると危険な区域には行かなかったことは、言うまでもない。最初の晩に泊まったホテルは、危ない地域のすれすれにあり、向かい側の崩れかけたビルで、若者たちが集まってハードなロックのライブをやっていた。銃弾でも飛んできやしないか、不安だったなあ。

 僕の記憶の中ではキラキラしているあの街が、巨大な不幸に見舞われている。人はあまりにも受け入れがたい現実の前には、ただ呆然とするしかない。