フロントブレーキのオーバーホールをやった。これまでブレーキのエア抜きさえしてことがないのに、突然オーバーホール。ブレーキパッドや足回りを交換する前にエンジンを交換しちゃったりと、なんだか僕はステップアップの順番が狂っている。
半月ほど前、足回りの交換をしているときに、フロントのブレーキがキーキー鳴いてうるさいので、パッドの角を削ることにした。パッドをはずし、ブーツの様子を見てみると、ぽろりとブーツの一部分が破れてしまったのである。
さすがに、ここが破れるとやばい。ピストン部分に砂が入ったり、ブーツを取り付けている場所が錆びたりすると、キャリパー交換となり、数万円が飛んでいってしまう。見なかったことにするわけにもいかないので、とりあえずゴミが入り込まないように破れた箇所にグリスをてんこ盛りに塗っておいて、シールセットを注文した。
油圧関係、特に、ぜったいミスを犯してはならないブレーキの整備はこれまでディーラーに任せていた。NA8Cのブレーキ移植も、何もかも。たぶん、松本にいたら、すぐにディーラーに持ち込んでオーバーホールしてもらっただろう。しかし、名古屋に来てしまい、近場に信頼できるディーラーをまだ捜していない。変な整備をされるくらいなら、自分がやった方がましだろうと考えたのである。甘い考えかもしれない。
ブレーキフルードを買いにオートバックスに行ったら、Quaker StateというマニアックなメーカーのDOT4がおいてあった。Quaker Stateのエンジンオイルはロードスターにぴったりでとっても良かったので、衝動買いしてしまう。350ccを2本。
家に帰り、フロント部分をジャッキアップしてウマをかける。キャリパーを取り外し、まず、ブレーキを踏んでピストンを抜く。本当は、穴からエアを吹き込んで外すらしいけれど、素人はそんな道具は持っていない。
フルードがだだ漏れになってしまった。とりあえずブレーキホースを切り離して、先をビニール袋に包み、なるべく高い場所にやっておく。
抜いたピストンはとてもきれいでぴかぴかであった。シリンダーも錆びはなく、状態は良かった。ブーツさえ破れていなければ、オーバーホールも不要だったのに。
パーツクリーナーを豪快に吹いて、汚れを落とす。ピストンをウエスで磨いてぴかぴかにし、シリンダ側の溝も念入りに清掃する。
まず、ピストンシールというOリングのようなものを溝にはめる。これは簡単。次はブーツ。どちらが表かは何となく分かったのだが、溝にはめるのがなかなか難しい。溝とブーツにそれぞれ、付属のピンク色のグリスを薄く塗り、きれいにはめる。これがなかなか難しくて、念入りにチェックすると、案の定、溝から浮き上がっている。何度も何度も押さえつけて、なんとかぴったりはめることができた。
今度は、ピストンをはめ込む。これが難しくて泣いた。ただ押さえ込んだだけでは入らない。ブーツをめくってゴムを伸ばし、ピストンをはめ込んでいくのだけれど、ブレーキフルードを塗ってあるから滑るし、裏側半分がとっても入れづらい。PBの千枚通しのようなピックツールを駆使してようやくはめ込むことができた。ブーツに穴をあけないか冷や冷やした。
あとはピストンを押し込んで完成。元通りに組み立てて、ホースを接続し、エアを抜く。ブリーダーのプラグがあんなに小さいとは知らなくて、あわてて近くのホームセンターに8mmのメガネレンチを買いに行った。本当にエア抜きをしたことがないことがここでも分かる。
エア抜きは2人でやるものだそうだが、以前、アストロへ行ったときに耐油ホースとワンウエイバルブ、タンクからなるエア抜き用のツールを買ってあった。素人メカヲタクとして、まず形から入っている、といういい加減さがここからも分かる。
ホースを取り付けて、ちょっと緩かったのでタイラップで締めてエアを吸い込まないようにし、ナットをゆるめて、踏み応えのなくなったブレーキペダルを2、3回踏み込む。ホースを見てみると、大きな空気の固まりがぼこぼこと浮き上がっているのが見えた。リザーバータンクを空にしないように、フルードを継ぎ足す。
ブリーダープラグを締めて、ブレーキペダルをぎゅ、ぎゅっと何回か踏む。再びプラグをゆるめると、さらにエアが出てきた。ここら辺の手順は、いい加減である。けれども、元のような踏み応えになったから大丈夫だろう。
同じように反対側もやる。やはり、ブーツ取り付けとピストンはめ込みが難しかった。
リアは1年前にオーバーホールしてあるから、良いだろう。と書くと、愛車の状態を熟知して、考えて判断しているように見えるけれど、本当はリアブレーキのシール類の多さを見て怖じ気づいてしまったのである。とっても難しそう。それでも、エア抜きだけやっておいた。
とりあえず、ブレーキがちゃんと利くか、安全な場所でフルブレーキをしなくちゃ。利かなかったらどうしよう…。