ザァァァッーーーー。
という雑音が、昨日の夕方から左耳から聞こえだしたので、さすがにやばいと思った。どうも、のどの炎症が広がって歯や上あごが痛いと思っていたら、ついに耳まで到達してしまったらしい。粘りけのない黄色い鼻水がいつの間にか鼻からしたたっているような状態だったので、内耳の方にも変な液体が到達してしまったかも。ほっておくと中耳炎になりそうなので、しょうがないから、医者へ行った。
午後7時30分までの診察だったのだが、7時40分に電話して無理を言って診察してもらった。「夏風邪は治りにくいから注意しなくてはいけないよ。この土日は安静にしていてね」と医者から注意され、処方せんを出してもらってさて、薬局で薬を受け取らねばならない。
病院から出て、隣にある門前薬局の緑が丘薬局で薬をもらおうとしたら、、、…。すでに閉店していた。せっかく診察してもらったのに、薬がもらえなかったら意味がないじゃない。
今は、医薬分業が進んで、処方せんをもっていけば、どこの薬局に行っても薬を処方してもらえる。これだけ書くと、とても便利なシステムと思える。が、現実は違った。
門前薬局が閉まっていては仕方がないので、最近、家の前にできたスギヤマ薬局に行く。国道363号線沿いのこの薬局、まったく同じスギヤマ薬局が同じ国道沿いで、西に500mいったところに10年ぐらい前からある。同じ薬局が同じ地域に2軒あっても儲からない気がするのだが、最近はやりのドラッグストアのことだから、商圏もかなり狭く設定できるのだろう。それにしても、新しくできたスギヤマ薬局の前にはこれまた半年ぐらい前にできたユタカ薬局があるから、過当競争に決まっている。訳が分からない。スギヤマ薬局は処方せんを受け付けることができる保険薬局みたいだが、ユタカ薬局は違うみたい。新しくできたスギヤマ薬局はユタカ薬局をつぶすためだけにできた、ということか。
いつものことだけれど話がずれてしまった。新しいスギヤマ薬局に処方せんを提示して薬をもらうことにする。一応、薬剤師が2人はいた。最近はドラッグストアが過当競争になっていて、深夜まで営業していることを売りにしているのだけれど、薬を売っているのに薬剤師が不在であることもあると聞くから、スギヤマ薬局は少なくとも夜でも薬剤師がいることが確認できた。処方せんを受け取ってもらい、調剤室でごちゃごちゃやっていた。薬剤師が言うには、、、
「抗生物質と頓服以外のお薬がありません」
のだと。なんでも、僕のかかったお医者は個人の医院であり、処方せんに書かれているお薬が、一般に処方されているものと違って、かなり特殊なものだとか。「隣にある緑が丘薬局には置いてあるかもしれませんが、それ以外の薬局に行っても、こんな薬は置いていませんよ」と、若い女性薬剤師。
仕方がないから、周辺の薬局に在庫がないか問い合わせてもらったが、在庫はないとのこと。門前薬局の緑が丘薬局が時間外でも電話に出て対応してくれれば薬が手に入ったのだが、電話をかけても不通、とのこと。ようするに、ごほごほと咳が出て、耳垂れまで起こしている僕に、翌日まで薬無しで我慢せよ、ということなのである。
30分ぐらい待たされて、渡された薬は抗生物質だけ。今ある咳だとか、喉の痛みだとかを和らげる薬は翌日までもらえないのである。
仕方がないから、抗生物質だけもらって、帰宅。家にあるあり合わせの風邪薬だけのんで、寝たが、やはり寝ている間中、咳をしていたらしく、起きたら喉が真っ赤っかに腫れていた。なんてことだ。
昔は、病院で診察を受けたら、お金を払うと同時に薬も受け取ることができた。今は、病院で診察を受け、診察料を払った後、体が大変だるい病人なのに薬局まで足を運び、処方せんを提出して、しばらく待って、さらに薬剤師のやる気があるのかないのか分からない薬に関する説明を聞いてようやく帰って寝ることができるという仕組みなのだ。
「医薬分業」。理念はよろしい。薬剤師さんが活躍する場面を作るのは異議を挟みようがない。が、近所で営業している開業医が処方する薬すら置いていない薬局というのは、存在する意義があるのか。それなら、今まで院内にいた薬剤師が隣の敷地にある薬局に移って、高い手数料を取って、儲けているだけじゃないのか、とこんな疑問すらわいてくる。実際、従来あって病院でお薬を渡す方式より、院外の薬局で処方してもらう方式の方が、薬剤師さんに多くの手数料が支払われる仕組みに、保険ではなっているのだ。
足りなかったお薬は昼過ぎに家に届けてもらった。ただで家まで薬を持ってきてもらった、というのはなかなかサービスが良く感じられるのだが、病人にしてみたら、やっぱり咳でごほごほと寝ている間中苦しむよりは寝る前に薬を飲んだ方が良かったのである。
払うお金ばかり増えて、実は不便になっている、ということが実に多い、この日本社会。