夜勤をさぼってビアガーデンに行ったダメージで、午前中は寝て過ごす。昼前まで寝ていても大丈夫。やはり真夏は過ぎ去ろうとしている。
寝ていてはもったいないので、久しぶりに「でたらめドライブ」に出掛けることにした。出発したのは午後1時半。
ひところの暑さではないとはいえ、開幌状態にすると、刺すような日差しでたちまち汗だくとなる。でたらめドライブなので行き先はない。とりあえず進路を北に取る。長野県の東部や南部は良く走るのだが、北部は新潟へ行くときに通過したことぐらいしかなかった。まだまだ暑いことだし、長野県北部の高原を目指すことにした。高原で景色の良い静かなところが見つかれば、しばし止まって本でも読んでいたい。
松本の北、筑北と呼ばれる地域の走り慣れた道をゆく。松本と長野の境とも言える聖高原を抜け、長野市へ入る。善光寺の横を抜け、七曲がりという急坂を上ると、飯綱高原へ出る。ごみごみしたリゾート地ばかりで、いいところはあまりない。野尻湖を見たくなったので、向かう。
ちょっと脇道をすると、黒姫高原。黒姫山が迫って見えて、なかなか景色がよいが、あまり標高が高くないので涼しくない。野尻湖畔でのんびりしようかな、と思ったものの、湖上にスワンの遊覧船が大量に浮かんでいるのが目に入り、一瞥をくれただけで走り抜ける。こうなったら、目標は高原巡り、ということにして、斑尾高原に向かう。この時点で午後4時前。
斑尾は、そこそこ標高が高く、飯山の街を見下ろす景色はなかなか良いのだが、やはりありきたりの観光地。リゾートホテルに乗用車がずらりと並び、テニスコートにうじゃうじゃ人がいるような場所。車を降りる気にすらならない。
千曲川に向かって急坂を下る途中で地図を見る。志賀高原はまだ行ったことがない。野沢温泉村から奥志賀高原に入ることにする。地図を見ると、いかにも心細い道。走りたい放題だろう。
野沢温泉村の温泉街を抜け、山を上り始めたのが午後5時すぎ。林道のような心細い道が50キロほど続いている。暗くなる前に走り抜けたい。なんせ、携帯電話も通じないし、崖から落ちたら、だれも救助に来てくれない。路肩には「自信のある人だけ入山してください」などと、空恐ろしい言葉の看板が立っている。
標高1200〜1300メートルほど。くねくねした細い道が延々と続く。対向車もほとんどいない。走っているうちに、雷雲へ向かっていることに気付く。これぐらいの標高になると、雲が近い。いかにも電気を発生しそうな不気味な雲が真っ正面に見えて、しかもそこへ突っ込もうとしているのだから、不安になる。せめて幌でも閉めようかしら、とも思ったが、面倒なのでそのまま走る。
しばらく走ってようやく奥志賀のスキー場やホテルが現れた。人気のないところをしばらく走ったので、人の気配を感じてホッとする。
志賀高原へ。国道292号に入り、横手山のわきをすり抜けると群馬県。ここら辺は実に標高2200メートル。森林を抜け、切り立った岩がつくり出す絶景を横目に、走る。雲が多かったのが残念。改めて来てみたい。
万座ハイウエイに入った頃には辺りが暗くなって来た。しかも、分厚い雲の中に突入。厚い霧で前がよく見えない。霧がフロントガラスにぶつかって水滴となる。まだ開幌状態。稲妻が光らないことを祈る。標高が下がってきて、小雨となっても、意地で開幌状態。料金所のおじさんが変な顔をしていた。
国道144号に入り、小雨の中、一般車と走りながらも、まだ開幌。鳥居峠を越え、長野県の真田町に入った頃には雨もやんでいた。さすがに菅平高原に寄る気にはならず。上田市内で給油。燃費が悪い。
国道143号で松本に向かう。青木峠に地蔵峠。国道とは思えない心細い道。街頭すらないので、突然現れるヘアピンカーブに驚きながら、走り抜ける。
ようやく松本に戻る。そういえば、朝から飯を食べていないことに気付き、中華料理屋で回鍋肉定食を喰らう。店の前でようやく幌を閉めた。午後9時すぎ帰宅。
さすがに、6つの高原を回り、曲がりくねった道ばかり350キロほど走ると疲れます。さあ、オイル、どのくらい減っているかな。