7月6日

 いま住んでいる江南市というところは、本当に道に迷う土地で、3月に来て4カ月がすぎ、すでに100回以上は迷っている気がする。会う人だれもがそう言うので、僕が方向音痴、というよりは、迷いやすい土地、と言い切ってしまって間違いない。

 最初は本当に焦った。どう考えてもつながらない道がつながっていて、「江南市は四次元空間があって空間がねじれているんだ」と本気で思ったほどである。よくよく地図を見ると、道が素直に東西南北を向いておらず、さらにまっすぐでなく交差点ごとに微妙に曲がっているから、ということが分かる。

 最初は本当に困った。一宮に行こうと適当に走り出したら、いつの間にか木曽川の堤防に上っていた、ということはしょっちゅうである。真っ平らな土地で、信州のように身近に山が見えないから自分がどの位置にいるのかは覚えない限り分からない。勘で走ると絶対に迷う。

 江南は犬山を頂点とした木曽川の扇状地にあり、昔の水の流れに沿ってすべては犬山方面めがけて道ができているから曲がりくねっている、という話しも聞く。そんな昔の道の形がいまだに残っている、というのはいかに行政がさぼってきて新しい道をつくってこなかったか、ということでもあると思うのだが、かえってこの時代にはこの曲がりくねった道も味があって良いかもしれない。