γGTPが慢性的に高い上司が何となくまっすぐ帰りたくなさそうであり、「飲みに行きたいな」オーラを発していたので、それを軽く受け流して帰っちゃおうかとも思ったのだが、その背中にすんなり家庭に戻りたくないサラリーマンの悲哀を感じてしまったので、付き合うことにした。
本山にある飛騨という居酒屋。昔は良く通ったものである。最近は改装してこぎれいになってしまったのだが、昔は壁や机が薄汚れていて年季が入っていてなかなか味のあるたたずまいをしていた。最近はこぎれいになってしまって今風の内装になってしまったのが昔からのファンとしては残念なところではある。だからといって、出てくる料理は以前と変わらず、ひょうきんなママも昔よりかえって若く見えるぐらい。正しい居酒屋であることには変わりがない。
軽く飲むと心に誓ったのだが、ポパイサラダにほっけに手羽先ぎょうざを頼んで懐かしさに浸っていたら、生中1杯、2杯、3杯、4杯、5杯。ついには6杯も飲んじゃって正しく酔っぱらって惨めな姿をさらすことになってしまった。さすがに割り勘では申し訳なかったので多めに出したつもりだったのだが、そこはっぱらい、いくら請求されたかも、どれだけ財布から出したかも覚えてはいない。
日付が変わった頃に帰ったのだろうか。朝、携帯電話の音で目が覚めた。飛び起きたら朝の4時半。なんだ、まだ寝たばかりじゃないか、と思って再び寝ようと思ったら、今日は早朝に市場に行く日であることに気が付いて、頭の中を駆けめぐるアルコールの残りかすを不快に思いつつ、慌てて家を飛び出しタクシーに乗った。酔っぱらっていても、ちゃっかりアラームをセットしておくところは、ちゃっかりものというか、サラリーマンの寂しい習性なのだな、と、妙にもの悲しさを感じてしまった。