「暇だ、何とかしろ!」
と、飲みのおさそいが知人からの電話があった。僕は今日も仕事の片づけがあって不本意ながら出勤していた。ちょうと抜けだし時であったので、良いタイミングであったのだが、あいにくロードスターが路上駐車したままである。お酒を飲んだら、不安な路上駐車を継続し、日曜日の明日にわざわざ車だけ取りに外出することを強制されてしまう。それは、避けたい。
お酒を飲まないで暇をつぶす。車がネックとなっているのだから、その車でツーリングに出かければよい。「秋みたいに爽やかな空気だから、開幌で走ると気持ちよいよ」ともちかけた。午後7時すぎに誘われて、ツーリングにご招待するのも僕ぐらいしかいないだろう。仕事を切り上げて、エンジンをかけたら、とんでもなくうるさく、乗り心地の悪い、人を乗せることができるような車ではないことを思い出した。
やばい。車好きでもない人間を、がたぴしゆれて、吸排気音がとってもうるさい車にしばらく乗せたら、怒ってしまうんじゃないかしら。ちと後悔しつつ、仕方がないので待ち合わせ場所の栄に向かう。
助手席に乗せて、なるべくアクセルを開けないよう、路面のひどい段差はさけるよう、細心の注意を払って走行した。走りながら、行き先を検討する。とりあえず名古屋高速を名古屋西めがけて突っ走る。
すると、遠くにナガシマスパーランドの花火がきれいに見えた。花火に誘われて東名阪に乗る。ちょうど良い時間に長島を通過し、思いがけず花火を楽しむことができた。なんとなく、奈良へ。
名阪国道を西へ。天理で下りて、奈良公園へ。暗がりの中、鹿が思い思いに芝生を食べていた。夜はてっきり寝ていると思ったのだが、元気に起きて、えさ食べていた。あまり近づくと、角でざっくりやられそうなので、距離を置いて鹿を観察した。が、深夜の10時すぎだから、神社仏閣はすべて営業終了している。どこへ行く宛もないのでそのまま京都へ。むちゃくちゃだ。
7月末だとは思えないほど、冷え込んで、薄着でオープンだと少し寒い。ヒーターをがんがんかけて走った。京都に到着したって、どこに行く宛もない。なんとなく嵐山に到着したら、渡月橋の回りはアベック(死語か?)ばかりであった。別にすることもないから、そのまま立ち去って、柄の悪い繁華街の渋滞にはまりつつ、国道1号から大津へ。
琵琶湖の湖岸道路をひたすら北上。昼ならば、左手に湖面が広がっていて爽快かもしれないが、夜は真っ暗な水面に街の光が反射するだけで不気味なだけであった。
米原から高速。名古屋に戻る。すでに時間は午前4時。
アクセルをほとんど開けずに、2、3000回転ぐらいでずっと走行していたから、すこぶる燃費が良かった。メーター読み389.4kmで30リットル給油。僕のクルマはファイナルが4.1でメーターが5%狂っているから、だいたい409kmで30Lの給油。ということは、燃費は13.6km/Lである。踏まなきゃどんなクルマも燃費が良い。