7月22日

 家の前の植え込みに小さな鳥がうずくまっているのを発見した。僕が近づいても動く様子がないので、弱っているのかしらと思い、手を伸ばしても逃げない。逃げないどころか、指を近づけるとその上に乗ってきた。飼われているような鳥ではなさそうで、逃げないのは相当弱っているのか、と思ったので、放置したら猫に襲われたり暑さでまいってしまうと思って、一階の事務所の中に入れた。指の上でおとなしくつかまっている鳥はけっこうかわいい。

 仕事があったので、事務所に置いたまま出かけることに。とりあえず、いすの上に置いておくことにした。2時間ほどして帰ってきたら、同じ場所に同じようにうずくまっている。とりあえず、水をやろうとびんのふたに水を入れて口元に近づけてやったが、積極的には飲まない。

 はて、こいつをどうしようかとしばらく思案する。あまり鳥を観察することもないので、どんな鳥かも分からない。それでも、良く見ると、幼い鳥じゃないかという気がしてきた。人に対する警戒心がまったくないのも幼い証拠じゃないかしら。もしかすると、巣から飛び立つ訓練でもしていて、植え込みまで落ちてきたのかもしれない。植え込みが見える場所から親鳥が様子を見守っていたということも考えられる。

 すると、僕がやった行為は親切のようで、鳥にとってはかえって迷惑でしかないことになる。外に出て上空を見回すが、親鳥らしき鳥は見えない。事務所に入れちゃってから2時間ぐらいたったから、あきらめたのか、と勝手に心配になってきた。

 これはいかん、と元の場所に戻そうと思ったが、植え込みは日向になってしまっていて、そこに放置したらひからびてしまいそうなので、隣の畑のイチジクの木の枝の日陰になる場所に放した。

 鳥はそれから夕方ぐらいまでそこに止まっていた。大丈夫かしら、と窓から様子を見たちょうどそのとき、鳥がばばっと飛び立ち、ふらふらと高度を上げて、なんども失速しそうになりながら西の方に飛んでいった。

 なんだ、飛べるんじゃないか、と拍子抜け。鳥はふらふらしながらも、3階建ての屋根の向こう側まで飛んでいって見えなくなった。