7月17日

 「おい、うなぎを喰いに行くぞ」

と、職場の上司に誘われた。午後1時までぜったい席を離れることができない、仕事があり、午後3時からは東海市で仕事がある。そのきわどい時間帯にウナギを喰らうというのは、なかなかヘビーなスケジュールなのだが、富山のサーキットがホームコースであって、大阪や新潟ぐらいなら隣町ぐらいの勢いの僕のことだから、ちょちょいと時間を計算して十分、間に合うので昼メシをうなぎに決める。

 さて、ウナギ屋がどこにあるのか。最近は、ネットでいろいろな情報を取れるようにはなっているが、うまくて、今日すいている店などという便利なキーワードでは検索はできない。

 錦1丁目にあるウナギ屋を検索で探し、電話をかけたら「すいています」とのこと。さっそく職場場の4人で繰り出して、店に到着したら、錦橋のたもと、ヘルスが並ぶへんてこな場所の汚い店だった。食べてスタミナを付けてから、という合理的な考えなのかも知れない。

 ひつまぶしを茶碗によそってダシをぶっかけて食べる。時間がないのだから、かっ込んでごちそうさま。柳橋市場の中を通って名古屋駅に至り、名鉄に乗って向かったのは新日鉄名古屋工場である。

 でかい。製鉄所自体が一つの街だ。工場の中に、街中と同じ信号が設置されている。巨大なダンプカーが行き交い、煤煙のためか、路肩に植えてある木の葉や茶色く変色していた。タクシーの運転手曰く「端から端まで乗ると、メーターが2000円を超えますよ」。巨大な工場の巨大な溶鉱炉に圧延機で、ばかでかい鋼板をつくって、それがトヨタ自動車などに供給されているのだから、まさしく20世紀を象徴する場所であった。