7月12日

 江南市の古知野の商店街の中にある、市の国際交流協会の拠点に出かける。

 古知野の商店街は昔はたいそうにぎわったらしい。周辺にある紡績工場で働く女工さんたちが集まる場所で、歩いていると他人の肩がぶつかってくるほどだったという。が、そんなのは40年ぐらい前までの話で、全国の他の商店街と同じく車社会化とそれに合わせた郊外の大型店によって客足が途絶えて、とっても寂しい地帯になってしまった。ちょっと西側にバイパス道路ができ、そちらに新しいお店がたくさん建ったから、江南で買い物をするにしてもそちらへ行く人がほとんどで、もしかしたら、江南市に住んでいても、駅の近くに昔からの商店街があることすら知らない人が多いかもしれない。

 で、6月にジャニーズの嵐が主演する映画の撮影が古知野の中の新町という商店街であった。「黄色い涙」という昔のドラマのリメークで、昭和30年代の高度成長期の若者たちを題材にしているらしい。東京・阿佐谷の商店街が舞台なのだが、レトロな趣のある商店街、ということで古知野の新町商店街の一角が、映画のメーンの舞台となる定食屋のロケ地に選ばれた。撮影中は、どこから聞いてきたのか、多くの若い女性が詰めかけて、狭い商店街は大混乱。それでも、若い女性がたむろする街並みを見て、半世紀前はこんな感じでにぎわったんだなあ、と感慨深く感じた。

 だが、ようするに昭和30年代が再現できる、ということは、その時代から進歩がなかったということで、商売をやっている人にとってそれは名誉なのかどうか。この際、そんな話は置いておくにしても、映画のロケ地になり、来春に公開されるのだから、それを最大限に生かして街づくりに取り込んでしまえばよい。レトロな街ということで映画監督が評価したのだから、映画を機にレトロ路線で売る街にすれば良いのだ。

 だが、当事者の商店主さんたちとお話しても、そんなアイデアはもっていないらしかった。8月の七夕まつりに合わせて映画撮影中の風景を紹介する写真展をメーンのロケ地で開くぐらいで、その後は、その場所を寄り合い所のような場所にする、というぐらい。まったくもって発展性がない。商店街が寂れてしまったのも、さもありなんである。

 まったく違った話になってしまったのだが、その寂れた商店街の一角に、市内に住む外国人が集まって助けあっている「ふくらの家」という場所がある。国際交流協会がコーディネートして、マカオから大学生がホームステイに来たということで、ウエルカムパーティーに顔を出す。ちらし寿司をたべたり、デザートの杏仁豆腐を食べたり、なんだか協会の一員にもなったかのようなずうずうしさでしばらく過ごした。

 これからの江南市を考えると、老若男女に外人が集うこの場所がとっても重要な場所になっていく気がする。が、行政も商店主たちもそのことに気が付いていないみたい。