大阪の某氏のエンジンに火が入った。
NA8C RS-Limitedの彼のエンジンはBPである。僕が4連スロットルの新エンジンをつくったのに刺激されて、新しいエンジンを組んでしまったらしい。別に前のエンジンで調子が良かったのだから、新しいエンジンを組む必要もないのだが、あえて組んでしまうところがエンジンヲタクの悲しい性である。
エンジン本体はけっこう本気仕様だ。ボーリングしてNB2ピストンを組み込み、面研0.7mmで圧縮比は11.7あたりと、僕のエンジンと同じぐらい。これにマルハモータースの264度カムを組み込んだ。制御は、ノーマルのシステムのROMチューンを使っているから、シングルスロットルである。ノーマルエアクリ、マフラーなところが本気なのだか、本気じゃないのか意見が分かれるところであるが。
このエンジン、最大の特徴はコンロッドにある。ノーマルをあるショップに依頼して軽量化。必要と思われる部分まで削っちゃって軽量化してあるところがミソである。6月23日付けの日常を見てもらえれば、そのアクロバチックな加工のほどを分かってもらえると思う。
今日はちょこっと仕事をして、某氏の車がある三重・亀山のオリーブボールさんに向かう。名古屋高速から東名阪。鈴鹿で降りて、午後5時すぎに到着。が、某氏はまだたどり着いていなかった。何という奴だ。
本人が来る前にエンジンを掛けてもらった。とっても調子が良いことを期待していたのだが、期待を遙かに超える調子の悪さだ。アイドリングの音からしていまいちなのである。もちろん、ノーマルエアクリ、ノーマルマフラーで音が情けないことも原因の一つであるだが、それ以上に調子が悪そうなのである。
そうそうにエンジンを止めて、暗たんたる思いで某氏の到着を待った。ここまで調子が悪いのは、どこか組み間違いがあるに違いない。それを宣告するのは同じプライベーターとして、とってもつらい作業なのである。
暗い気持ちのなか、某氏が到着した。本当に不憫である。つくったエンジンがだめだめなんて…。んが、バルブタイミングを聞いてみると、in103度、ex105度、オーバーラップ56度というでたらめなタイミングであった。いや、でたらめではないのだが、ノーマルECUだとちょいとつらい。シングルスロットルでは本当に奥底までROMの解析を進めるか、Freedom制御にしない限りはアイドルの調子が悪くなるようなバルタイである。4連なら簡単に安定してアイドリングするのにねえ。
だから、オーバーラップが小さくなる方向でバルタイをいじってみるように助言。幸い、スライドカムプーリーに剥き出しスプロケであったので、ちょちょいのちょいでバルタイを変更する。
ちょいとアイドリングが安定した。どうやら、NA8Cのホッとワイヤー式のエアフロの方が、NA6CEのフラップ式エアフロよりも、オーバーラップの許容範囲が広いらしい。
何度かいじったら、どろっどろっどろっと怪しい感じなのだが、なんとか許容できるアイドリングになった。レゾネーター付きのノーマルインテークパイプだから、怪しさはある音だがとっても静かである。どうやら、バルタイを攻めすぎていただけのようであった。
乗って帰ることができそうであったので、大阪の某宅に向けて走ってゆく。大阪までの100何キロか、エンジンもブローすることなく走り抜いた。ま、普通のことであるのだが、使っているコンロッドを思い出すと、よく壊れなかったものだ、マツダの軸受、万歳と叫びたくなる歓喜に包まれる。
僕が組んだ今回のエンジン、20000キロ元気に回ればうれしいな、と思っていた。某氏が組んだこのエンジン、どれくらいの走行ができるのだろう。だれも、答えを知っている者はいない。