7月10日

 「オーバーラップが大きいバルタイにおいて、吸気の排気側への吹き抜けは、リニアA/F計での空燃比計測にどう影響してくるのか」

 という難題をふっかけられてしまった。もし、空燃比が濃く表示されていると仮定すれば、12.5よりも少し濃くしてセッティングしてやらないと、パワーが出ない&ノッキングにも厳しいぞ、というわけ。

 そんな電話がかかってきたのが日付が変わる直前の時間帯だ。僕は大阪から帰ってきて、仕事場で残務整理をし、ちょうど我が愛車に向けて歩いているときであった。なかなか興味深い疑問である。実は同じようなことを僕も考えていた。でも、吹け上がり感で言えば、空燃比が13弱から11ぐらいまでは違いはあまり分からない。僕がへたれで鈍感だから、ということもあるだろうが。

 名古屋高速の入り口がすぐ近くにあるという場所であるならば、速攻でデータどりするしかあるまい。

 が、ガソリンがなかった。国道22号を岐阜方面に走るも、さすがに零時になると営業しているガソリンスタンドは少ない。2キロぐらい走ってようやく見つけたガソリンスタンドはセルフであった。

 実はセルフのスタンドで入れたことがなかった。リッターあたり1円か2円しか違わなければ、一回の給油で数十円しか変わらないのだから、やってもらった方が得だと思っていた。

 が、すでに日付は変わっており、次のスタンドを探しているだけ無駄な時間をすごしてしまうことになる。ノズルを持って、トリガーを引けば給油できるのだからとチャレンジする。

 料金を先払いしておき、ノズルを持ってじょぼじょぼとガソリンをタンクに注ぎ込む。ほかのスタンドのように、差し込んだままにしておけば勝手に切れる、という形ではなかった。給油の間、ずっとトリガーを引いていなければならないのはけっこうめんどくさい。

 じょぼぼぼっと、満タンになったところで、普通の人であれば終わりなのだろうが、何となく車体を揺すってしまう。揺すると、タンクにたまっていた空気がぼこぼこっとでてきて、あと1リットルは余裕で入れることができるのだ。揺すっては入れ、揺すっては入れを繰り返し、本当の満タンにして、いざ名古屋高速へ。

 まず、全開で空燃比12.5となるように学習を掛ける。2、3回ぐらい3、4速全開で走り抜ければだいたいの学習は済んでいる。Freedomはエライ。

 そして、空燃比マップをいじって、全開のとき11.5になるようにし、フィードバック補正を入れて空燃比を濃く誘導することにした。

 当時は、小雨が降っていた。路面も濡れている中、3速、4速とも7000回転まできっちりまわす。橋脚の継ぎ目ではタイヤが滑り、なかなかスリリング。そんな速度でも僕を抜いていくシーマやらベンツとバトルしつつ、様々なセンサーがどんな数値を示したかを記録する「ログ」を何回か取った。

 正直のところ、僕の感覚では空燃比12.5と11.5の違いは音以外は感じられなかった。家に帰ってログとにらめっこしているうち、意識を失う。