6月8日

 土曜日に友人の結婚式に呼ばれたので長野市に向かう。この友人、同じ会社でいまは同じフロアが本拠地なのだが、なぜか名古屋でなく、長野の善光寺で結婚式を挙げやがった。行くだけで大変なのだが、友だちの一生に一回の日であるので、ロードスターで向かうことにした。

 ここで得意技の仕事づくりが炸裂する。途中、高速を松本で降りて小一時間ほど仕事をしてまた向かう。これで松本までの電車賃を請求してやるのだ。

 二次会はアットホームでなかなか良かった。三次会、四次会となだれ込み、気が付いたら午前4時。よちよちと千鳥足でホテルまで歩いて、ベッドに倒れ込んだ。9時半に起きてシャワーを浴びる。

 頭が痛かったのだが、せっかく長野に来ているのだから高原ツーリングをしない手はない。下道を走って野沢温泉村に行き、スキー場の斜面を登って奥志賀林道へ。ここは若干幅が細いのだが、50キロぐらいの道のりを延々と走り続けることができるお気に入りのコースなのだ。

 Freedomの外気圧補正の方向性を打ち出したかった。とりあえず、4連スロットルで外気圧補正がない状態では、まったく乗れたものじゃない。地上760mmHgある気圧も、標高1500m前後の奥志賀林道では640mmHgぐらいしかない。スロットルを全開にしても640mmHgのマップ(地上ではアクセルを開き始めたぐらいの吸気圧)しか読まないわけで、燃調が激薄でエンジンが回らないのである。これを補正でなんとかしなくてはならぬ。

 あれこれいじりながら走り回るが、フィードバック補正をいれないことにはまともに走れない。フィードバック制御を入れるとどうしてもギクシャク感が出てしまうので走っていても気持ちよくないのだ。アクセルを踏んだのにトルクが立ち上がるのが1秒ぐらい遅れてしまう。とても耐えられないのである。

 白根山のあたりまで行き、すでに標高は2000m。外気圧も590mmHgにまで下がり、地上でのアイドリングの吸気圧とそれほど変わらない状態。負圧も出ない。まあ、地上でも260mmHgあたりを指しているんだけれど。

 燃調はぐっちゃぐちゃで、フィードバックを外すと空燃比が17とか18になったりして、とても走れたモノじゃない。外気圧補正マップをいじって燃料を2倍増量してやってようやく走るぐらい。

 これはなんともならないと思い、路肩に止めて外気圧補正を考え直す。最後の手段を試す。外気圧補正のマップ方式から吸気圧変換方式に変更するのだ。

 吸気圧変換方式では、昨年9月に痛い目にあっている。富山へ行ったとき、途中の飛騨清美で燃調が濃くなりすぎてエンジンが動かない、という状態になったことがある。最初はまったく原因が分からず、標高が上がると不調になるのだから外気圧補正のいたずらだろうと思い、マップ方式に切り替えたら、普通に走り出した。だから、この方式は「使えない」と勝手にレッテルを貼っちゃったのである。

 一か八かでやったはずなのだが、ものすごく調子よくエンジンが回り出したので拍子抜けした。空燃比こそ高回転で10台を指すものの、まだ何とか吹ける範囲で収まり、地上に近いレスポンスが帰ってきた。もしかして、ほかのFreedom使いの人たちは外気圧補正で悩んだことがないのかもしれない。半年以上、悩んできたのは何だったんだろう。

 フィードバックを外しても濃いめの燃調だが普通に走る。素晴らしい。外気圧補正がうまく設定できなかったら、スロットル制御を試していたところだが、こんなにきちんと動くなら、もうDジェトロを捨てることはない。エンジンに問題がなくなり、ようやくツーリングを楽しめるようになった。

 山から下って気圧が上がっていくときに問題が出ないかをチェックしながら走っていく。白根山方面から軽井沢へ抜ける浅間白根火山ルートを転がり落ちるように下る。快調に走っていたら、万座ハイウエイの料金所前で突然、燃調が異常に濃くなり、エンストした。昨年9月と同じ症状である。外気圧補正の数値が異常であることは間違いない。

 調べてみると、外気圧補正ゲイン670mmHgの数値が1.6332というあり得ない数字が入っていた。ちなみに、610mmHgの補正値は1.1900である。どんなにおかしな数値か分かってもらえると思う。

 ほかにもおかしなところがないか調べてみると、690mmHgでは2.4100なんていう数値になっている。気圧が690mmHgに近づいたら燃料を吹きっぱなしにするような設定になっていたわけで、これじゃあエンストするに決まっている。なぜ、こんな異常な数値が入ったのかよく分からない。バグか? 昨年9月にこの異常に気が付いていれば、外気圧補正で悩むことなんかなかったのに。それでも、外気圧補正がまったくない状態で走った経験は、Freedomについての理解をより深める結果となったのだからよしとしよう。実際、トラブルが出たらすみやかに対処できたのだから。

 まともな数値を入れたら再び快調になった。松本に住んでいたときは、有料なので敬遠していた万座ハイウエイだが、次にいつ来られるか分からないから走ることにする。新緑の中を突っ走るとっても気持ちよい道。集団でのツーリングにはもってこいだが、料金は高め。

 浅間山を右手に眺めながら軽井沢へ。そういえば、先週がミーティングだったんだっけ。2週間連続。

 千曲ビューラインを走り、諏訪に向かう。和田峠を越えてそのまま諏訪の街に入ると込んでしまうので、扉峠からビーナスラインに乗る。ぜったい遠回りなのだが、エンジンが快調に回っているので浮かれていた。

 再び標高1500mの世界になったが、調子よく走る我がエンジン。ますますFreedomが好きになってしまった。すごい。

 諏訪に下り、高速代を少しでも浮かそうと国道152号へ。高遠に至り、長谷村から駒ヶ根方面に下って、天竜川沿いの細い県道を南下。飯田に至る。ここら辺で日没。

 さすがに、奥志賀林道から志賀高原、火山ルート、ビーナスラインなどなど、狂ったように走った疲れが出てきたので高速に乗ることにした。多治見まで高速代2500円。恵那山トンネルを通るとどうしても高い。

 今日一日で500キロぐらい。昨日と合わせて770キロぐらい走った。満腹。