6月5日

 携帯電話のアラームで目を覚ましたら午前4時45分であった。前日の飲みではビールだけにしておいたのが正解で、少し残っていたものの、何とか起き出すことができた。

 外はもう明るい。さすがに夏至が近づいているだけあって、日が昇るのがかなり早くなった。天気も良いので、仕事なんかほっといて、ロードスターでツーリングに出かけたい気分になる。

 しかし、市場のおっちゃんが寂しがることを考えると行かねばならぬ。暴走軽トラやフォークリフトが行き交う中を命からがら歩き回る。冷凍マグロ。養殖鮎。ウナギに、サワラ、太刀魚などなど。イサキが旬らしく、イサキの入ったトロ箱がものすごい量積まれていた。

 おっちゃんとともに魚の煮付けの朝食を喰らい、8時前にいの一番で仕事場に上がる。だれもいないフロアの片隅にあるソファに寝そべって本を読んでいたら寝不足がたたってそのまま10時すぎまで記憶が途絶えた。

 「あいつは朝から寝てばかりいる」。近くを通りかかったお偉いさんは、あんぐり口を開けていびきをかいている僕の間抜けな顔を見て、左遷スケジュールを練り上げたに違いない。