6月5日

 日本人の3割ぐらいは確実にテレビやラジオに釘付けになっていたであろう昨日の夕方、さすがに話の種として日本戦ぐらいは見ておこうと思ったのだが、5月に新任で長野に来たばかりのボスが顔を見にやってくるという、本当にくだらない会議のために、ささやかな希望も叶えられることはなかったのである。

 どうせ内容のない会議なのだが、いかにもしらけた場にしてしまうと、わざわざ遠く足を伸ばしてやってきた人に失礼というものである。あれこれとってつけたような意見を考え出して、それらしく話す。ささやかな苦労で会議らしい会議にはなった。

 夜開かれる会議だから、話が終わればそれでさようなら、ではないことぐらいは社会人の常識である。夜の帝王みたいな人だったら嫌だな、と考えつつ、恐る恐る出方を見てると、なんだか車でそのまま帰る雰囲気だ。

 松本の直属のボスの一存で近くのファミレスに行くことになった。おいおい、とこれまた冷や汗をかくことになる。いくらアルコール抜きの食事でもファミレスに行くことはないだろう。

 重苦しい気持ちでファミレスの席に座ると、長野のボス、「アルコール飲んで良いよ」と勧めてくる。どうも、帰るのではなく、飲んで松本に泊まっていくつもりらしい。それなら、最初から居酒屋へ案内したのに。

 まだ少し体調が悪い。ビールを飲んだら、せっかく沈静化している風邪ゲリラが活発になってしまうかもしれない。苦肉の策で、メニューに載っていなかったが、頼んで焼酎のお湯割りをもらう。

 1杯飲んだだけで、もうふらふらになってしまった。やはり体調が完全ではない。全身がだるく、頭もくらくらする。簡単に酔っぱらってしまった。正直、すぐにでもタクシーに飛び乗って帰りたかった。

 ところが長野のボスはまだ気が済んでいなかったらしい。そりゃあ、ファミレスでいくらアルコールを飲んだって、飲んだうちに入らない。物足りなさそうだったので、そのままさようならするわけにもいかず、次の店に連れて行くことになった。フォアローゼズのお湯割りをもらってちびちびやっているうちに時間も過ぎる。付き合いで飲む、というのは苦痛以外の何ものでもない。

 苦痛も終わったので、どうせタクシーで帰ることだし、仕事場の人といつものショットバーに行った。病人向けという、歯磨き粉のにおいと味のするカクテルを作ってもらい、1杯だけが2杯、3杯になっちゃった。

 体調が悪かろうがいつも通り飲んでしまったのである。だらだらとくだらないことを書いたのは、ただ単に、自分が飲んでしまった罪悪感を人になすりつけたかっただけなのかも知れない。

 人は毎日、言い訳ばかりして暮らしているのさ。