6月27日

 30年ぐらい前、尾張地方は繊維産業で大変なにぎわいを見せていたらしい。江南市もその例に漏れず、グンゼやシキボウの工場を中心にとっても盛っていて、中心部の古知野の町なんかはかなりにぎやかだったらしい。んが、今は見る影もなく、商店街はシャッター街になり、昼間でもだれもいないゴーストタウンのようになってしまった。日本全国、大都市以外の商店街はどこでも同じ状況なのだが、一つ、古知野の町が違うのは、行政の支援がほとんどなく、放置されてしまったことだろう。

 買い物ならジャスコやイトーヨーカドーに行けば良いと、若ければそう思うのだが、年を食うとそんなわけにもいかない。まず車を運転して行かねばならないし、食品を買うにもだだっ広い売り場を回るだけでも歩き疲れてしまう。家のすぐ近くにある商店で、顔見知りからものを買った方が本当は便利だし、じじばばが増えるこれからの時代、地元の商店街ってかなり重要になってくるはずなのである。

 んが、古知野の町は衰退しきってしまった。どうもここ数年のうちに、名古屋から電車で20分の立地を生かして、シャッターが閉まったお店なんかはぶっ壊し、マンションが何軒も立つような気がする。そうなれば最後、古知野という町があった、という記憶だけが残って後にはひょろ長いマンションが林立するだけである。

 商店街が衰退した契機の一つがやっぱり、ジャスコやイトーヨーカドーのような郊外型の大型店ができたからである。で、江南の場合は、アピタができてからかなり地元の商店街の景気が悪くなったらしい。今でこそ、小ぢんまりとして中途半端な大きさのアピタなのだが、与えた影響は大きかった。

 で、25日に、シキボウの工場跡地に、バカでっかいアピタ江南西店がオープンした。中に入っている本屋やCD屋や服屋や食品、レストラン街は、間違いなく江南市でトップクラスの売り場があるお店で、あるおっちゃんなんかは「もうこれで商店街も壊滅だわ」と尾張弁で話していた。ま、全国どこの街でもこれと似たような状況だ。

 で、テープカットには満面の笑みで市長が出ていたらしい。出るのは良いけれど、もう少し街のことを考えるべきだ。