いつの時代も、先端を走っているのは商工業者の人たちかもしれない。
ここ10年、まったく行政の活動がなかったかのような町、江南市で、商工業者が暴れ始めた。財政が悪化し、市民への負担が増えていく中、28人いる市議会議員はまず負担を求める前に自ら範を示すべきだということで、半分の14人にしちゃえ、と、なかなか正しく、それでも乱暴な意見を突きつけ、ぜんぜん議員定数を減らす動きがないものだから、署名を集めて直接請求という手続きに打って出た。
有権者数の50分の1の署名を集めて提出すれば、議案を提出することができるのが直接請求。議案を提出したところで、自らの仕事を奪われることになる議員は否決するに決まっている。決まっているのだがそれでもまったく妥協せずに「半分に減らないと意味がない」と突っ走るところが、経営者の本能なんだろう。
議員を半分に減らせば3億3400万円使っている議会費を半額とまではいかないけれど、かなり減らすことが可能だ。仮に1億円ちょっと浮いたとしたら、国や県のお金ももらって3億円の事業をすることができるから、お金がない市にとってはかなり大きい。んが、狙いはそこばかりじゃない。
市議会議員は江南市の代表なのだが、実態は自分が地盤とする地域の人たちから票をもらって、地域の代表の意味合いが強い。地域の代表と言えば聞こえがよいが、次の選挙でも当選するように、いかに地元の人たちの要望を市政に反映させることができるかを考えているだけなのである。ようするに「あそこの道を直せ」「あそこに公民館を早く作れ」ということを聞いて実現しようとがんばっているだけなのである。
議員を半分にしてしまえば、地域からの票だけじゃなく、市全体から支持を受けないと当選しない。すると、細かい地域のことばかりでなく、全体のことも考えて働くようになるでしょう、というのが本当の狙い。
半分になることはないにしろ、危機的状況にも気づかず、のほほんと過ごしてきた人たちに喝を入れる意味はあるんだろう。