6月2日

 古いものを守ることが、これからは大切なのだと思う。

 江南市の布袋町にその昔あった、郡役所の鬼瓦がある、という話を聞いたので、見てきた。明治17年ぐらいに建てられた建物の鬼瓦である。

 その昔、町や村では能力が低いので、郡ごとに役所が置かれていた。北尾張で言えば、丹羽郡と葉栗郡にそれぞれ県の役所が置かれて統治のためのいろいろな仕事をしていたらしい。

 たぶん、明治の政府ができて間もないころ、政府の権威を見せつけるために、かなり立派な構えの建物が建てられたんだろう。それはそれは立派な建物だったという。大正、昭和の時代となり、昭和30年まで県の事務所として使われていた。が、昭和40年ぐらいに壊されちゃったという。濃尾地震でもそれほどダメージがなかったらしいので、かなり頑丈だったんだろう。そのまま残していたら良かったのに、と非常にもったいなく思う。

 その建物の鬼瓦である。大屋根の鬼瓦でなく、正面玄関の車寄せにあった鬼瓦だったのだが、それでも幅1.5メートルもある立派なものだ。役所に勤めていた人が建物を解体した業者にお願いしてもらいうけ、そのまま30年以上、家の庭にころがしてあったという。文化財が残るときって、そんなもんだ。

 布袋はそんな立派な建物が建てられるほど重要な場所だったのだが、いまは見る影もない。が、そういう土地だったという記憶を掘り起こすことや、その記憶に誇りを持つことが、これからの時代、とても重要な意味を持つことになると思う。