フロント16キロ、リア12キロのバネレートと聞くと、恐ろしい乗り心地だと思われるかもしれない。マンホールのふたを踏んだだけで脳みそがシェイクされる、みたいな。走りながら会話したら舌をかみ切る、みたいな。
が、意外や意外、乗り心地はけっこう良いのだ。高速の橋の継ぎ目レベルなら、「たん、たん」と軽く乗り越える。路面がうねっているような場合で、ちょこっと飛ばし気味だとさすがに、トランク内の工具やらガソリンタンクやらが「がっしゃん」と音を立てるけれど、路面の凹凸に注意を払いながら運転しなくても、普通に運転していればOK。注意するとすれば、コンビニやガソリンスタンドの入り口でフロントバンパーを引っかけないようにするぐらい。
NA6CEの純正ビルシュタインを借りて付けたことがあるけれど、ショックの異常に固い初期の減衰やエブリタイム底付き状態のリアのバンプラバーのせいで、それこそ、マンホールの段差で脳みそシェイキング。継ぎ目に注意を払ってのろのろ運転しなければいけないほどだった(NB2のビルシュタインは良いよね)。雅久号の足は、バネなりの固さはあるけれど、伝わってくる衝撃みたいなものはそれほどきつくない。
足がENDLESSのFUNCTION Xだとは前も書いた。ノーマルだとフロント10キロ、リア9キロのバネなんだけれど、12キロ10キロでオーダーして雅久号に取り付けた。シェイクダウンのおわらサーキットでは、ブレーキで自由自在に車が動かせる感じで、ものすごく良いフィーリング。すっごく満足して使っていた。
乗り心地が良いのはバネ「X COILS」の良さがある。初期の段階からかなりつぶれた段階まで表示レート通りのつぶれ方をするというのが売り文句で、その通り、16キロでも間瀬の高い縁石に乗ってもけっこう普通に乗り越える。バネの売り文句を見ると、別のアメリカ産バネの売り文句と似ていることは内緒(笑)。
昨年1年間戦い、アンダーっぽい車の動きが気になり、バネは14キロ12キロに変更。さらに、減衰の問題もある、ということでこのシーズンオフにショックの減衰変更もした。けっこうご機嫌な感じにはなったのだが、まだアンダーぽいのと15インチ化でタイヤがホイルハウスに天突きしてしまったので、ストロークを規制する意味で16キロ化にして今の仕様となる。
もう一つ、重要な変更がアッパーマウントで、つるしではショックの軸をゴムブッシュで受けているのを、わざわざ他社のピロアッパーを購入して組み込んだ。12キロ程度のバネレートならゴムでもあまり問題なかったけれど、14キロにした途端、乗り心地がとても悪化した。間瀬サーキットの行き帰りの高速が苦痛になるぐらい。
アッパーマウントのゴムブッシュが悪いとうすうす分かっていたので、アッパーマウントをピロ化。ステアリングの切り始めのフィーリングが劇的に向上し、段差でのショックがウソみたいになくなった。その変化は、最初の交差点で分かるぐらいなもので、にやにやと笑みがこぼれるほど。
要するに、ダンパーの軸をゴムで受けているものだから、ストロークが発生したときに、ゴムがつぶれないとダンパーの減衰がまともにでない形になるのだ。減衰は30段調整できるのだが、ノーマルアッパーマウントでは2、3段ずつ調整しないと変化あいまいで良く分からなかったぐらいだが、ピロ化してからは1段調整ではっきり分かるようになった。
あれこれ書いているけれど、要するに、つるしの状態のままの場所ってケースの寸法ぐらいなの。それも切ろうとしたぐらい(これは間瀬耐久の特殊な場合)。こうやって書いていると、僕がすべて仕様を変えたみたいだけれど、基本的におおとろ監督が「こうしたら」というのを「うん、分かった」とすべてそのまま実行してきただけの話なんだけれどね。
ということで、間瀬耐久を通じてガソリンとタイヤと部品代と減衰変更工賃を惜しみなく注ぎ込んで磨いてきた足も、T.O.Racing
Factoryであっけなくそのまま買うことができます(笑)。間瀬耐久参戦車でおわらサーキット1番時計! 2009年シーズン間瀬耐久第1戦、ロードスターで1番!(去年から継続参戦しているの雅久号だけじゃん、という突っ込みはここでは聞かなかったことにしておく)。
車高を下げたい人でなるべく乗り心地を良くしたい人なら、つるしのバネの10キロ9キロを。サーキットと日常使用も考えている人は12キロ10キロ(TORFではこれがノーマル)を。間瀬耐久に出るなら16キロ12キロのスペシャルを! 雅久号も置いてあるので試乗もできますよ。
足回りは個人で悩んでいるよりもショップとかで相談しながら仕様を決めて、走りのアドバイスももらう方がずっと早いと思うので、足回りの新調を考えているのならお近くのショップに出掛けることをお薦めします。富山・石川・岐阜の飛騨地方のロードスター乗りならTORFへ。