6月15日

 埼玉県のNBな方とツーリングに行くことになった。来年から一般車の通行制限が始まり、今年までしか走ることができない乗鞍スカイラインへ行こうと、前々から企んでいたのだ。お誘いのEメールを受け取ったのが前日の午後10時前。午前5時ごろには松本に来たい、というからずいぶん無茶な人だ。そんな無茶な誘いに喜んで乗る僕もちょっと感覚がおかしいのかも知れない。

 松本で落ち合い、国道158号を乗鞍スカイラインへ。安房トンネルを通って、入り口に付くと「長野県側通り抜け不可」の表示。スカイラインを往復すると3000円以上かかってしまう上、頂上の天候が曇りなので、さっさとあきらめた。木曽ツーリングに切り替えたのである。

 高山から木曽福島へ抜ける国道361号は、ダムサイト沿いを駆け抜けるなかなかスリリングな道だ。途中、国道のくせにすれ違いが怪しい道幅の個所がある上、トラックが走っているので、これまでタイヤスモークを上げて止まったこともしばしば。それなのに、「速いペースで走ってみたい」というリクエストがあったので、普段走っているようなペースで走ることにする。

 さすがに、後ろを気にしているので、アクセル全開、というわけには行かないが、ところどころ、トルクのあるNBに突っつかれてしまって、フルスロットルをくれてやることになる。NBってやはり、速い。

 木曽ツーリングに切り替えた、と簡単に書いているが、長野・岐阜県境から高山までは30キロぐらいある。さらに、そこから木曽福島までは80キロ。木曽から松本までは60キロぐらいか。とにかく、大変な距離なのだ。そんな距離をハイペースに慣れていない人を、有無を言わさずひきずり回すのだから、これはもう「しごき」である。

 だがだが、十分スパルタな走りで、こちらがへばりそうなくらいなのだが、ちゃんと付いてくる。こちらが焦るくらい。NBの速さを考えても、良く付いてくるな、とひたすら感心。途中、直線区間などは普通に流して走る。梅雨時の曇りだから、開田高原の空気がとても気持ちよかった。晴れていたら、地獄のツーリングだったに違いない。

 途中、NBと交換して走ったのだが、NBって「普通に」速い。アクセルを踏み込んで、ちょっとハイペースで走っている感覚なのだが、スピードの乗り方が違うのだ。やはり、メーカーのやるチューンはバランスが良い。すべてが総合して底上げされているから、アベレージが上がっても、無理がないのだ。

 松本でメシを喰らって、今度はビーナスラインへ上がる。落雷がありそうな霧ヶ峰にて別れて松本に戻ると総走行距離は350キロぐらいになった。松本から出発した人間がくたびれているのに、埼玉から来た人の疲労は推して知るべし、と思っていたのだが、長文の電子メールが日付が変わるぎりぎりに届いたところを見ると、余力があったらしい。

 超人だ。