江南の商工会議所に行ったら、中心市街地を活性化させるための会議をやっていた。TMOといって、国が5、6年前に大型のショッピングセンターの建設の規制を緩和したときに、中小企業である地方の商店街の人の不満をなだめるためにとってつけて作った制度をなんとか利用できないかと話し合った会合が開かれていた。こんなことを書いたって、多くの人はなんのことか分からないだろう。
江南市は繊維産業が盛んだった30年ぐらい前までは大変にぎわいがあったのだが、繊維の大きな工場が縮小されてからはまったくぱっとしない。江南駅前の商店街などは空き店舗率が8割を超えて、ほぼ壊滅状態。古くからある布袋商店街も、やっぱりぱっとしない。いまや、買い物と言えば、ジャスコかアピタかイトーヨーカードーかという感じで、大都市圏以外の商店街以外はだれも行かないから、全国、どこでも同じ現象が起きている。江南なんかは、名鉄に乗って20分で名古屋駅なのだから、みんな高島屋だとか松坂屋に行ってしまうので、さらに分が悪い。
で、会議でなにを話していたかというと、国が言い訳するためにとってつけたように作った制度をなんとか生かせないかという話し合いであった。いや、なんとか生かせないかという危機感があれば良いのだが、会議自体、国から「TMOを生かす方策を考える会議のための予算」が出ていて、それをもらったから仕方なく開いているような始末である。
で、話し合い自体も迷走。TMOという制度自体、分かりにくいし、みなさんあきらめムードが支配している。さらに、商店街を代表する人が集まっていて、そんな人は土地をたくさん持っている人であることが多く、商店街を復活させるよりも、ぶっ壊してマンションを建ててしまった方が儲かると密かに思っているのだから、斬新なアイデアが出るわけもなく、「良いアイデアがあったら聞かせて欲しい。今日は勉強させてもらいにきました」などと、まったくやる気なしのふぬけ意見しか出なかった。こんな会議を見ていてもまったくの時間の無駄だ。
江南の街づくりのために無制限にお金を使っていい、というならば、僕なら低床の路面電車を新しく敷く。江南駅から北へ江南短大に行き、それから西に曲がって滝高校ぐらいまでひっぱり、そこから布袋方面に向かってまた江南駅に戻る環状線だ。江南団地に行く別の路線も作っても良いかもしれない。
こんな話はまったく実現可能性がないのだが、街づくりのとっかかりには、こんな突飛なアイデアを出し合うことが大事だと思う。