5月14日

 いつもよりちょっと早く起き出して、ロードスターに乗り込む。クランキング1発でエンジンは始動するが、アクセルをちょっと踏んでやった方がベター。ぎゅんぎゅぎゅんぎゅ、がろん、が、がろっ、ぼろっぼろっぼろろ、ぼっぼっぼっぼろっと怪しげな音が朝の住宅地にこだまする。仕事で松本に行くので、慣らしをかねてロードスターで行くことにしたのだ。午後から1時間ほどの仕事の予定だから、ちょっと早めに出て下道で行くことにする。

 4連スロットルとポン付けではないちょいと作用角の大きなハイカムのエンジンの感想は? と聞かれたら、こう答える。「フツー」

 強がりではない。本当に普通なのだ。異常なのは音ぐらいか。うるさい車は嫌いなのだが、勢いでこうなってしまったのだから甘んじるしかない。とはいっても、巷で言う「爆音」ではない。高回転で踏んだら、どうも爆音になりそうだけれど。

 4スロで世間一般で言われている評価は、「高回転全開は良いのだけれど…」、「低速トルクすかすか」「アクセルワークがシビア」「低回転で気難しい」などなど、ちょっと普通の人では近寄りがたいものばかりだ。が、全然そんなことはなかった。きわめて普通に走ることができる。街中もまったく問題なし。5速2000回転で国道を走れるし、3速1500回転ぐらいでゆっくり走ることも可能だった。

 僕も「4スロ難しい神話」を信じていた1人であったので、正直言って、今回付けてしまってどうしてもセッティングが取れなかったり、ツーリングで面白くないエンジンになってしまったら、シングルスロットルに戻そうと思っていた。が、そんな不安は一気に解消し、これなら乗っていても良さそう、と思えるぐらいである。我慢するのは音ぐらい。

 まだ5000回転弱までしか回していないし、アクセルもほとんど踏んでいないからまだ評価が変わるかもしれないが、それでもアクセルに対してリニアにトルクが出てくるし、あまりぎくしゃくもしない。セッティングが煮詰まってこればかなりスムーズになりそうな予感である。

 今まで回した4000回転までの話なのだが、確かにアクセルを踏み込むと、口径が大きすぎて吸気の流速が一気に落ちるのか「がぼぼぼぼ」と盛大な音だけしてあまり前に進んでいかない、という状態になるのだが、その状態になる前はちゃんとぎゅっとトルクが出てくる。

 行きは高速と下道で、帰りはオール高速で走った。あまり踏まない回さない慣らしの運転で、セッティングが合っていなくて濃い空燃比という条件で燃費は正確には計算していないが、リッター11キロちょっといった感じ。極端に悪い、ということはなさそうである。サーキットで高回転を常用したらかなり悪くなると思うけど、それはノーマルエンジンでも同じこと。

 とりあえず、月曜日に走り出してから、今日まで750キロ乗った。今回は慣らしをじっくりしようと思っている。